いつだったか、朝日新聞の折々の歌に、以下の文があった。
「右の句も、蛍火が寒色系統の青でないから「情」が湧かない、と言っているのは、理屈でないだけに説得力があり印象的。」(一部抜粋)
これが句会で問題になった。
① まず、「蛍火は青いかどうか」
信号を青と言う、しかし緑だ。青嵐は青いか、緑に決まっている。つまり、日本人は、緑を青ともいうのだ。蛍は、草むらや木立にいる。暗い中で光を放てば、緑がかってしまうのだ。
結論は「蛍火は青い」
② 次は、「蛍火が青いと情が湧くのか、湧かないのか」
結論は、「青いからこそ、情が湧いた」
③ 二つの結論に従い、この句を解釈すると、
「蛍火が青いからこそ、私はあなたに情が湧いています。蛍って、ほんとうに素敵」
「青くなかったら、情が湧かなかったと思いますわ」
これでは終わらず、ついに銀座の真砂女さんの店「卯浪」に行って確かめてみようということになった。
一杯飲んで、機会を見て彼女にその質問をした。真砂女さん曰く、
「その折々の歌は読みましたが、あれは間違っている、とは言えませんでしょう」
ゲンペイボク(源平木)、ゲンペイカズラ(源平葛)とも