土地には必ず所有者がいるが、昔は、山に入って山菜を採るのに不都合はなかった。地主は、土地が減るわけでなしと、山菜くらいは地元住民に自由に採らせていたわけだ。
さて、この句「これより入るべからず」に作者の目が止まったのだが、その土地は全く手入れされておらず、草が生い茂り、薮からしに覆われていた、という。
整備された公園の芝生ではあるまいし、誰も入る気になるわけもないのに、唯々、所有権を主張する「看板」が虚しく草々に絡まれていたのだ。
やぶからし(藪枯らし)の名前の由来は、樹木などに巻き付き藪を枯らしてしまうので名付けられた。別名ビンボウカズラ(貧乏蔓)は、枯らされた土地の持ち主が貧乏になるからだとか。
だからこの句、現代社会に対する皮肉の句と十分に言えるだろう。
オニシバリ(鬼縛り)