私の仕事場は、標高400メートルの山中にある。直近の県境の川、千歳川まで、直線距離で3キロメートルはあると思う。そんな山の中に、ある夜突然、蛍が一匹現れた。
私は、その瞬間「母だ」と直感した。どうしてそう感じたのか、未だに不思議でならない。つまり、こんな山中に蛍が現れた不思議、そして「母だ」と直感した不思議。この山に住みついて30年、蛍が現れたのは、その時一度切りである不思議。
蛍に関して調べてみたところ、亡くなった親しい人の魂が蛍となって現れる、という話が、古くから色々伝わっているのだ。私だけではないこの事実に、更に驚かされた。
ヤマボウシ(山法師、山帽子)