いままで、なぜ気づかなかったのだろう。
ここに咲く「アキアジサイ」の存在。
今とてもきれいな葡萄色に咲き誇っている。
小学校の庭に咲くこのアジサイ、6月に満開になった頃は
真っ白な大輪が咲き誇り、目を惹かれたのを覚えている。
その後、徐々に色を変え、あの猛暑の日差しの下では、
しなびた薄茶色になってもまだ咲いているアジサイを
とても不思議に思って眺めたことも覚えている。
そのまま、散りゆくものだと思っていたら・・・、
今また正に、なんと美しい姿で、大輪の花を咲かせていることか!
「アキアジサイ」という花は、アジサイとは別の種類の花なのだと思い込んでいた。
まさか、梅雨からずっと咲き続けているものだとは、今までまったく知らずにいたのだ。
去年はどうだったのだろう?この場所でこんなに美しい色で咲いていたのだろうか???
もしかして、あの猛暑とこの妙な温かい気候のせいで、今年の花だけ
こんなに色鮮やかになったのだろうか。
ふと、去年のお彼岸のことを想う。。。
母の古い友人に、母はアジサイがとても好きだったと以前わたしが話したばかりに、
そのひとはあちこちお店を探してアキアジサイを母のお墓に供えてくださったのだ。
「この時期でも咲いてるアジサイが見つかってよかった。」と、
朴訥なそのひとは電話の向こうで嬉しそうに仰った。
お店に並ぶ「アキアジサイ」はたいへん高価なものだというし、
何より、母に供えるお花のために時間を割いて探し回って下さるような方が
身内の他にひとりでもいてくださるということに、ただただ感動してしまった。
本当にありがたいことだ。。。
このアキアジサイ、真冬にはいよいよ散って、
長い花の時期の役目を終える。
そして次の新緑の季節には、やわらかなきみどりの葉をつけ、
6月にはまた真っ白な大きなまあるい花を咲かせてくれることだろう。
時間は廻る。
滞ることなく、正直すぎるほどに、きちんと廻ってくる。