:〔続〕ウサギの日記

:以前「ウサギの日記」と言うブログを書いていました。事情あって閉鎖しましたが、強い要望に押されて再開します。よろしく。

★ つぼみ

2022-11-06 00:00:01 | ★ ホイヴェルス著 =時間の流れに=

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つ ぼ み

ホイヴェルス著 =時間の流れに=

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つ ぼ み

 花は蕾にひそんでいて、蕾を眺めただけでは、どういう花が咲くかわかりません。春の暖かい陽ざしを受けて蕾が開くと、花の美しい姿、輝かしい色、うるわしい香りが現われ、うてなの底には、おいしい一滴の蜜もたまります。これらはみな太陽のおかげです。太陽はその光線と土の能力の調和した働きをもって花を咲かせる計画を、蕾のかくれたところにたたみ込みました。そして、あるうるわしい春の朝に秘密を開いて、花の完全な姿を輝かしたのです。 

 大天使ガブリエルがナザレトの家に入る前は、マリアのみ心は蕾のようでした。どういう花が咲くかは人々がマリアを見てもわからず、またマリア自身もその心の豊かさを見ることはできませんでした。聖寵みちみてる者だということもご存知なかったのです。天使によって神の聖言が光線のように心の蕾にさしたとき、人類の春の朝は訪れて、人間の最も美しい花が開き、マリアのみ心はあらゆる美徳を表しました。天使との対話によって花のように開く心を眺めることは常に我らの慰めと楽しみであります。 

 天使の挨拶を受けてマリアは驚き、だまって案じました。そして天使のお告げの長い言葉を終わりまで聞きました。この天国からの報告はおわかりにならなかったのです。なぜならこの天使の申し込みは今まで蕾のような心のうちに感じていたことと合うでしょうか。マリアはその心を神にだけ献げたいのです。天使の言葉と今までの神の導きがどのように合うかわからなかったので天使にたずねました。マリアの質問に天使は非常に確信ある態度で説明を述べるのです。この「告げ」によって人類の真の喜びがもたらされる、という天使の確信をもった言葉は、今二千年の後にもその新鮮さを少しもなくさず、その喜び失いません。

 マリアは天使の言葉を聞き心の中で考え合わせました。真にこの瞬間には天と地は期待のあまり息を止め、おとめの返事の言葉を待ちました。これは本当にいつまでも讃美すべき瞬間です。この瞬間に最も美しい花は心に開きました。もはやマリアは恐れません。疑問は何も残らず、明らかに神の申し込みはご自分の前にあって決定を待っています。神秘的な神の恩寵は今こそ、おとめの心の中でできる限り働いています。こうして口を開き、マリアの心からの言葉の香りは立ちのぼりました。

「我は主のつかいめなり、仰せのごとく我になれかし」

 不必要な無益な躊躇と遠慮はなく、最も完全に神の申し込みに対する心の決定を発表なさいました。この心の決定は完全に開いた花の美しさ、あらゆる徳のうるわしい姿と香り、信仰の光り、信頼の深さ、すべての人間の愛にまさる唯一の深い愛、同時に驚きに満された謙遜を述べています。どうして神は全ての女の中から、この小さいものをお選び下さったのでしょうか。初めから偉大なご計画に基いて、この人類の春に無限の憐みをもって心の蕾をお開き下さったのでしょうか、この悟れない神のみ恵みに対して「仰せの如く」というただ一言をもって、人類の最上の幸福、永遠の御者の永遠の聖言の母になることを謙遜にお受けになりました。後になってどんなに重荷になるか、まだ知りません。まずこの幸福で十分です。

 私たちは世の嵐とちりの中で、神はマリアの心の蕾にどれほど多くの賜ものをかくし給い、大天使の言葉をもってどんなに美しく完全な花を咲かせ給うかを深く思い、この天使の言葉を誦えましょう。

「めでたし聖寵満みてる者よ!」

太陽は神 蕾は人間

 太陽は神 蕾はマリア様

  マリア様の蕾は神の恩寵の暖かい陽ざしを受けて花開き

   美しい姿、輝かしい色、うるわしい香り、うてなの底の一滴の蜜・・・

 神様が無から呼び出された創造の木は138億年かけて成長し、その先端に蕾をつけた。

 大理石のギリシャ彫刻のアスリート像のように均整の取れた肉体、システィーナ礼拝堂の天井の天地創造の一枚に描かれたアダムの若い美しいからだ。人類の母、アダムの配偶者、ビーナスよりも美しいエバ。2人は宇宙の神秘の木の若枝の先端にふくらんだ蕾が割れるようにして美しい花を開かせた。無原罪の人祖の誕生だった。

 神様は、こともあろうに、人間を愛するあまり、三位一体の神の命の究極の秘密=理性と自由意思=までも与えてしまわれた。こうして人間は小さな神の如きものとして誕生した。

 誕生の瞬間に悲劇が起こった。理性と自由意思の試運転で人間は失敗した。神に愛された人間に嫉妬した嘘の父「悪魔」が、蕾のうてなに一滴の毒を落とした。欺かれた人間は神のみ旨の上に自分の意志を置き、無謀にも神よりも偉いものになろうとした。危惧された可能性が現実のものとなってしまった。

 人は原罪を犯して楽園を追われ、天は閉ざされ、死が人類を支配し、こうして、神の創造の計画は無残にも失敗に終わった。

 しかし、神様はプランAが不調に終わる万一に備えて用意しておられたプランBをさっそく始動された。現代人の歴史感覚で言えば、恐らく数万年前に起こった失楽園の出来事の後、

 アダム→カインとアベル→ノアの洪水→バベルの塔→アブラハム→イザク→ヤコブ(イスラエル)→ヨゼフ→エジプト移住→モーゼ→出エジプト→シナイ山(十戒)→約束の地→バビロンの捕囚→メシア待望→マリア様(蕾)の誕生

まで、救いの歴史は順を追って展開し、最後に期待に満ちたもうひとつの「蕾」まで届いた。平凡な無名の処女(おとめ)は神の恩寵に満たされた。

「我は主のつかいめなり、仰せのごとく我になれかし」

 大天使ガブリエルのお告げに、マリアはそう応えた。神は、天使たちは、そして全宇宙は、このひとこと、彼女のいのち懸けの自由な承諾の言葉を、息をひそめ、固唾をのんで、待った。

 無原罪の乙女は身ごもって無原罪の男の子を産んだ。ナザレのイエス、三位一体の神の第二のペルソナ、永遠のみことば=「神の子」=は「人の子」として生まれ、見えない神は見える肉体を身にまとった。「おとめ(処女)は母」となり、造物のはした女は「造物主なる神の母」となった。神秘的な永遠のパラドックス。

 第二のエバ=マリア=と第二のアダム=イエスは、第一のカップルが失敗したテストに命を賭してパスし、十字架の上で死んだイエスは三日目に復活し、マリアは腐敗を免れて天に上げられた。閉ざされていた天は再び開かれ、人類に終わりの日の復活と、永遠の命が取り戻された。アレルヤ!!

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