福島の話が連続すると、ブログのアクセスが減る。これはその話題に対する読者の関心が薄いと云うことだろうか。
或いは、真面目な話に人は長く耐えられないのかも知れない。
そういうときは、肩の凝らない軽い話題に限る。
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ローマで 「サーカス」 を見る
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75才のお爺さんになっても、私は何故かサーカスに心ひかれる。
ローマは東欧、ロシアまで地続きだから、ヨーロッパ中のサーカスが入れ替わり立ち替わりやって来て、絶えず何処かでテントを張っている。
先日、アッピア街道を郊外へ向かっていると、環状高速道路と交差する少し手前でやっていた。時間があって、吸いこまれる様に入ってしまった。 「リディア・トンニ」 一座、と言う事は、座長は女性か?
開演35分まえ。切符売り場には親子連れが並んでいる。ためらわず一番いい席を求めた。大枚20ユーロ。前から2列目。意外と安くないですか?子供半額として、孫を3人連れたお爺ちゃんのお財布の負担は50ユーロ。後ろの席はもっと安い。庶民の手の届く範囲ですね。
開演を待つ間、子供たちは馬やラクダに乗って円形の舞台 (だから 「サーカス」 と言う) をゆっくり回る
「サーカス」 の縁は順番を待つ子供たちでごった返す
女性を乗せた黒い十字架の板はおへそを中心にぐるぐると早く回転する。頭が上、左、下、右と激しく位置を変える。それをめがけて目隠しをした粋なお兄さんが短刀を投げる。ガツン!ガツン!という音を立てて板に刺さる。回っているのに何故か正確に両脇の板にだけ刺さり、彼女は無傷だった。ハラハラさせられる一場面だった。
風船人間。これが身軽に片手で逆立ちしてとび跳ねたり・・・
分かりますか?数匹の子犬達の演技。愛くるしくて、滑稽で、客席は拍手と爆笑だが、写真では・・・。
写真が無力なのは、巧妙な、ハラハラさせる一連の大型手品もだ。それも巧く写っていなかった。 諦めて紹介を省く。
フラフープも器用なお嬢ちゃんの域をはるかに超えている。これ、クルクル回っているのですよ。
大ボリュームの音楽に合わせて、カラー照明が絶えず激しく点滅するので、
同じ露出でも写真の上がりの色合いは全然ちがう。
白馬の群舞は幻想的で美しいの一言に尽きる
15分間の休憩時には、ポップコーンと白い綿菓子が定番メニューだ
中休みの間も子供達はサーカスの中をさっき演技したばかりの白馬に乗って優雅にお散歩となる。
海賊にふんした男と縫いぐるみは、休憩中観客席をまわり子供たちと記念写真を取る。此れもサーカスの収入になる。
後半が始まった。 象さんの上には綺麗なお姉さんが。
ジョグラ―のこん棒も上下左右に激しく飛び交っているのだが、静止画面では感じがいま一つ・・・。
空中演技もカメラでは捕えられない。スポットライトは明るいが、場内は意外と暗いのだ。一瞬静止した時はまだいいが、激しく動かれると流れてピントが全く合わないのだ。写真は全部失敗。
大人の雰囲気のモダンダンス。美しいと思った。
二本のポールの下を半円形の台が支えている。絶えずぐらぐらするのでバランスを取る。
それだけでも大変なのに、両手と片足で二本のポールを操りながら、自由な片足の甲に受けたボールを蹴上げて頭で支えたさいころ型の枠の中心で受け止める。3度失敗して4度目に見事成功! 大喝采!!
猛獣使いはサーカスの花。4頭のトラは一見借りてきた猫のよう。火の輪くぐりの時は照明を落としたので写真にならなかった。
ピシリと鞭がなる。棒で突くと、ガオ―!と吠えて、爪を立てた前足で反撃の構え。相手は猛獣。事故とは隣合わせだ。
早くもフィナーレ。猛獣の金網の内と外にオールスター勢ぞろいの御挨拶。
ピエロもこのとき半泣きの顔だった。そういう一面に僕は惹かれるのかも知れない。
そう言えば、ルオーの絵のピエロも、厚化粧の下で泣いていたのではなかったか。
こういうとき、平面顔のアジア人より絵になるなと思った。事実だから仕方がない。
この人達、子供たちを相手にしているが、真剣に自分の芸に生きているな、と思った。 さて、神父はどうだろう?
帰り道はもう夜だった。 もう一度ローマでサーカスを見ることがあるだろうか? と、ふと思った。
(おしまい)