自称無趣味の著者がいろんな趣味に嵌まっている人にインタビューしたり、
実際に体験した結果を綴ったエッセイ。
登場するのは、鉄道マニア、航空ファン(航空無線)、寺社巡り、切手収集、
郵便消印スタンプ収集、蕎麦うち、ヨガ、環境マニア、防災マニア、カメ飼育、
ボウリング、ゲーム、茶道、スターの追っかけ、ガーデニング、登山など
様々な趣味に打ち込む人々が紹介されています。
趣味というのは基本的に「暇つぶし」であって、持て余す時間をどう埋めるかと
いうことから発生したそうです。日本では江戸時代の士農工商の階級制度の中で
趣味人が増えました。農工商に属する人達は生きていくために仕事があり、
趣味をやる時間が無いのですが、武士はお役人なのでヒマが多い。
彼らが持て余すヒマをいかに楽しむかというところから、趣味という習慣ができたわけです。
趣味に嵌まる人は、ただ漠然とやる人はほとんどいなくて、それぞれ独自の動機や考えがあり
その道ではかなり詳しい。でも趣味に打ち込む理由には??が付くような人も少なくないようです。
退職して持て余す時間をいかに過すかというのが中高年のテーマ。
若者は自分の趣味の分野で、あまり目立たなくてもいいから「認められたい」という欲望が
趣味に走らせるわけです。なので、同じ分野の仲間が増えてくると存在感が無くなり、
違う分野に移っていく人もいる。一方、ひたすらマイペースの人も居て、そういう人は
自分の満足が重要で他人を気にしない人もいたりする。でも彼らには独特の価値観があって、
無趣味の一般人には、なかなか理解してもらえない。
興味があったのは、航空マニアの世界です。航空雑誌の編集者によると、飛行機に流れる人には
現在2つの流れがあって、ひとつは鉄道からの移籍組、もうひとつはガンダム等のアニメ、
マンガの影響からの流れがあります。鉄道組は、マニアの数が増えすぎて鉄道で自分の居場所を
無くした人が、飛行機でもやるか(まだ少数派だから)とやり始める人たち。
マニアは増えすぎるとマニアにならないという宿命があります。
また、戦争アニメものから軍事に興味を持つ若者は、戦争をイメージでしか捉えられないので、
軍用機も自衛隊もアイドル感覚で見ているらしい。中高年とは、別次元で軍事を捉える若者が
増えているということかもしれない。
一口に趣味と言ってもいろいろあって奥が深いです。この著者もいろんな趣味人にあって、
趣味をやる動機や理由に対して不思議に思うことが多数あり、とにかく数多くの素朴な疑問を
趣味人にぶつけていますが、最後まで納得できない感じです。
まあ世の中にはいろんな趣味人がいるもんだなと思わせるルポで、とても参考になりました。
自分の趣味は、やっぱり読書。自分だけの読書の世界。