眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

恋する棋士

2021-02-12 16:06:00 | 将棋の時間
 君はよく考える人だ。若い頃の私は今と比べれば考えることができた。それにしても君にはとてもかなわない。暇さえあれば君は将棋のことばかり考えている。暇という概念はもはや存在しないのだろう。言われてやる努力なんて続かない。本当に強いのは自然と向かう者。つまりは恋する者だ。恋は誰にも止められない。強くなるかどうかは恋するかどうかによって決まるのだ。すぐに醒めてしまうような柔な恋じゃない。終わりのみえない探究の恋だ。恋する者は強い。そして恋することによってどんどん強くなって行くのだ。もはや手に負えないことは明らかではないか。
 銀を出る手、香を打つ手、馬を引く手、歩を叩く手……。次の一手は、君にいい手ばかりがある。つまりは君が必勝だ。私はもうとっくに倒れている。それでも君は先の先を考えているんだな。私に勝つくらいは簡単すぎる。すぐに終わらせることもできるのに、未来へ力を溜めている。
 若い頃に比べ私は物わかりがよくなりすぎたようだ。
 さあ、投了の準備はできたぞ。
 私は君の敵じゃない。

「失礼します」

 そして、君は席を立った。
 私はゆっくりと身支度を整えながら勝者の帰りを待っている。

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【新小説指導】読者の居場所

2021-02-12 00:33:00 | 新・小説指導
まずあんた
行間が狭い!
きつきつやないか

どこに書いてるの?
ハンカチの上ですか?
米粒ですか?
駐車場か?
何も節約することあらへん

「スペースはあんねんから」

もっと優雅に空けたらええねん
難波から本町くらい空けてみ

読者はどこにいますか?
月の上ですか?
大草原ですか?
長居公園か?
ちゃうわー!

「読者は電車の中にいます」

あんたの読者は
きっつきつの通勤電車の中や
それでなくともしんどいねん
いっぱいいっぱいやねん
重たい本なんか持てません

片手でスマートフォンを持って
読んではんねん

あんたはアンドロイド?
アイフォーンか?
どっちでもええねん

必死で足踏ん張って
小説を読んでるんや
わかる?
なんでや思う?
どっか行きたいねん

「どこにも逃げ場ないからどっか行きたいねん」

ページをめくるんちゃうねん
スクロールさせるんや
そういうとこも考えなあかんねん

書くいうのは想像することです

あんたは文字をおにぎりみたいに固めて
詰め込んでるけど

「あんたの小説は弁当箱かいな」
スペースはあるやないの
節約することあらへん
空けたらええ
難波から南森町くらい

ばーっ













思い切って空けたらええねん
そうしたら世界は変わって見えますよ
スペースあんねんから
スペース見つけて
そこにピサトを走らせたらええねん

「言葉のピサトをみんな待ってますよ」

身動き一つもできへん
読者の心を動かしたりー

あんたそれができんねん

考えたらできんねん

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