眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

さよならフォーメーション

2021-02-18 05:34:00 | 夢追い
 廃棄された椅子はまだかけることができた。真夜中にミニトマトを食べるのは、クリエイティブを炸裂させたかったからだ。テーブルがガタガタと震える。近くに霊的な何かが降りてきたせいだろうか。冷たい風がおぼろげな断片をさらって行く。風だけを頼りにしたい。僕はもう空っぽになりかけていた。

 橋を渡ると爆音が響いた。トマトを持っていれば、襲撃されることはないだろう。渡り切ったところで家が反対方向だと気がついた。

 部屋のあちこちに飲みかけのトマトジュースがあった。甘いものが欲しくなって、残ったミニトマトの1つにはちみつを垂らした。はちみつの蓋が突然消えた。さっきまであったのに、いくら捜してもみつからない。いつの間にか、窓が開いている。風に引き入れられたカーテンが、ちょうど子猫のような形になった。

 本と本の間から何かわからないコードがみつかる。テレビだか、ゲームだか。何でもいい。捨てようか。何かわからないシャツも、捨てようか。シャツのようなパンツのような、わからない奴。



「さよなら」
 目も合わさない。別れの言葉がそれだけ。またねの1つもないとは、僕らはいったい何だろう。ああ、友達とは難しいものだな。
 朝が近い。おにぎり2つしか食べていなかった。
 スーパーの前では夜を通して作業する男の姿がある。開店時間をたずねると無言で上の看板を指した。8時30分。中途半端に早い。
「わしらより早いでー」
 スーツ姿の酔っぱらいが看板の下でくだを巻いていた。

 コンビニの前に立つが開かない。ドアは手動になっていた。中に入ると大勢の男たちで賑わっている。夜の間は立ち食い寿司屋になっているのだ。お弁当やサンドウィッチやアイスやお菓子やカップ麺など、昼間売られている商品の一切が姿を消していた。
「テイクアウトで」
 数秒前に入った男が大将に慣れた様子で注文している。
「4ー4ー1ー1で」
 数字が何を指すのかさっぱりわからない。

「一人前持ち帰りで」
 女将さんに言って丸椅子にかけた。
「時間がかかるから奥へどうぞ」
 奥のソファーには誰もいなかった。畳の上に新聞や雑誌が散らばっていて、隅っこには無数の縫いぐるみが山積みになっていた。
 テレビ画面に映る大家族の映像を、興味ありげに睨みつけた。
 きっと時間がかかる。前の男が凝った注文をしたからな。

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【振り飛車note】振り飛車のテーマ

2021-02-18 03:19:00 | 将棋の時間
 時間に追われ飛車を打つ。打ち下ろさなければ始まらない。しかし、即座に角を打たれて飛び上がる。よりによって打った場所が悪かった。「痛い!」叫んでも手遅れだ。飛車か玉を取られてしまう。
 角が怖い。少し気を抜いていると思わぬところから飛んでくる。飛車は当然のように強いが、本当に恐ろしいのは角の方だ。
 だから、居飛車党はやたらと角の頭を狙って攻めてくる。
 角をどのようにして守り、さばき、ぶった切るか。それが振り飛車の基本テーマとなるだろう。

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