しんちゃんが一番星をみつけたとキラキラ笑い僕に言ったの
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僕はそれより先にみつけた星があったとは言えず、こっそりと空から引き抜いてポケットの中に隠した。しんちゃんがうれしそうなことが一番だから、その気持ちを台無しにすることはできないから。言わなかったことは、うそをつくこととは違うよね。ねえ、しんちゃん、明日は晴れるよ、気持ちいいよ、どこか行こうか、ねえねえ、どこ行こうか、海がいい……。
「今日はいつもよりも明るいね」
しんちゃんが疑いの眼差しを僕に向ける。ポケットの中で、星がだんだんと成長しているからだ。もっと明るくなる前に、僕はこの星をこっそり食べてしまうんだ。
「ねえ、しんちゃん。ジュース買ってきてよ」