「川っぺりムコリッタ」 荻上直子監督 △ ☆
監督自身の小説を実写映画化しました。
ある過去のため孤独な青年山田(松山ケンイチ)がハイツムコリッタで暮らし始めます。塩辛工場の社長(緒形直人)から「更生できない人はいないから。まずは一日一日を過ごすんだ。」と励まされイカにまみれながら働きます。ひっそりと暮らしたい山田でしたが隣の島田(ムロツヨシ)が強引に風呂を借りに来たことから関わりが始まります。ハイツの住民は大家の南(満島ひかり)は母子家庭、お墓の営業をしている溝口(吉岡秀隆)は父子家庭、とそれぞれが日々生きることに精一杯ながらも小さな幸せもあるのでしたが・・・。
お金がなくておにぎりも買えない山田が給料をもらって米を買い炊きたての御飯を食べる場面が秀逸です。当然のごとく隣の島田も「おかわりはしないから」と言いつつ「山ちゃんご飯炊くのうまいね。」と頬張る姿を見ていると「今夜はご飯にしよう!」と思ってしまいます。小姑的に言えばピーが鳴ってからあと10分くらい置いてしゃもじでご飯の上下をひっくりかえして再び10分置くと最高になるけど。映像はとてもおいしそうだったからまいっか。(フードスタイリスト飯島奈美)
買い物袋からネギが飛び出しているとちゃんと味噌汁にネギが入っていてそれもざっくり切ってある感じ、細かいところがリアルでした。
おくりびと役の柄本佑の風呂敷の包み方が美しい。「ハケンアニメ」とは全く違う役ですがこちらもぴったりでした。
ちょっとしたところにも薬師丸ひろ子など実力派の俳優が登場しています。江口のりこも目力強い!
タクシーは出てきましたが、やたらに車が出てこないのもミニマムライフ風でよかったです。(☆)
なお、ムコリッタというのは仏教用語で約48分のことだそうです。転じて「ささやかな」という意味にもなるとか。
タバコは、とんでもない存在の人がタバコをもっていて残念でした。だから早く死んじゃったのかな。