無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

ちょっと今から仕事やめてくる

2017-06-11 | 2017日本語映画評


「ちょっと今から仕事やめてくる」 成島出監督 △

 北川恵海のベストセラー小説を映画化しました。
 仕事のノルマがきつく上司にはパワハラを受け、電車に飛び込もうとしていた隆(工藤阿須加)は、小学校時代の同級生ヤマモト(福士蒼汰)に助けられ、その後何度かピンチを救ってもらいます。しかし、ヤマモトは得体が知れず調べてみるとなんと3年前に自殺していたのです。訳がわからなくなりヤマモトの経歴を知る人(小池栄子)を訪ねるのでした。 
 暴君のような上司役の吉田鋼太郎とその暴君の下でエースとして活躍するワケアリの先輩黒木華がそれぞれ好演しています。某広告代理店並みの「なんだこりゃ」と思える十訓も効果的で、現代社会の問題を浮き彫りにしました。ただ、(以下ちょっとネタバレ)解決先は日本国内にはなかったのでしょうか。日本の子どもだって天使に変わりはありません。小池栄子の下で働くという選択もあったのではないでしょうか。海外に出れば解決するというものでもないと思うのですが。
 タバコは、ほとんど無煙でしたが、なんと主人公二人が食事とお酒を楽しむ寿司屋のカウンター席の客が喫煙していました。(2回)2020年に向けてタバコ規制を世界水準にしようと厚生労働大臣が頑張っているという矢先に飲食店、それも寿司屋、それもネタに近いカウンター席で堂々と喫煙する大人はいかがなものでしょうか。この場面は本当に残念でした。


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花戦さ

2017-06-10 | 2017日本語映画評


「花戦さ」 篠原哲雄監督 △ ☆

 戦国時代の華道家元池坊専好(野村萬斎)が、暴君秀吉の非情な振る舞いに対して花をいけることで諌めるという物語です。
 記憶障害があり家元には向かないと思っている専好ですが、その奇抜な発想の生花は織田信長にも認められます。秀吉(市川猿之助)の時代になって、専好の尊敬する茶道の利休(佐藤浩市)と秀吉との関係が悪くなると、秀吉は、利休を、そして庶民を些細な罪で獄門にするのでした。専好は家元の立場を捨てて花で秀吉に立ち向かいます。
 チャンバラの時代劇は殺陣を中心としたアクション映画ですが、この作品のように時代劇を描いて現代の問題に警鐘を鳴らすという社会派の時代劇も年に数本は見たいものです。
 それぞれの俳優の名演に唯一若手の女優森川葵がかつての葉月里緒菜を思わせる儚さのある表情で映画のまさに花となっていました。
 某国のトップは「一般の人は関係ない。」と言って共謀罪を通そうとしていますが、沖縄の反辺野古新基地建設闘争では見せしめとしてリーダーを逮捕しています。権力を持つものの恐ろしさをこの作品では娯楽映画ではありますが厳しく問い詰めています。生けられる花も美しくあわせて楽しめます。(☆)
 タバコは、華道の弟子(高橋克実)が一度キセルを一服しました。(△)
 

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光をくれた人

2017-06-09 | 2017外国語映画評


「光をくれた人」 ダレク シアンフランス監督 米豪ニュージーランド ☓

 ステッドマンの小説「海を照らす光」を映画化しました。
 第一次世界大戦で生き残ったトム(マイケル ファスベンダー)は臨時の灯台守として働きます。そして、地元で知り合った美しい妻イザベル(アリシア ビカンダー)とオーストラリアの孤島ヤヌス島で暮らすことになります。愛し合い幸せな生活を送っていましたがイザベルが流産、死産をしてしまいます。そんなときに死んだ男と赤ん坊を乗せたボートが流れ着きます。自分の娘として育てますが、町には本当の母親ハナ(レイチェル ワイズ)が悲しい思いをしていることをトムは知るのでした。
 生みの親か育ての親かというテーマは古今東西ありますが、この作品ではトムの本当の母親への思いとイザベルへの愛との葛藤、そして自己犠牲の道を選ぶトムが主役です。
 タバコは、ハナが一度喫煙しました。辛い時のタバコという印象でした。(☓)


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ゴールド 金塊の行方

2017-06-09 | 2017外国語映画評


「ゴールド 金塊の行方」 スティーブン ギャガン監督 米 ☓☓☓☓☓PP

 1990年代に実際にアメリカで株式市場に大混乱を起こした事件を映画化しました。
 ケニー(マシュー マコノヒー)の会社は代々鉱山事業で成功をしていました。しかし、ケニーの代になり大失敗し破産寸前になります。そこで地質学者のマイケル(エドガー ラミレス)と組んでインドネシアの熱帯雨林の中に金脈を探るのでした。死にかけたりしながらも大きな金脈を当て一攫千金を得たはずでしたが・・・。
 金(きん)というよりはそれが生み出す金(配当金というマネー)に一喜一憂する人々がおかしくなります。お金は額に汗して稼ぐものなのではないでしょうか。でも、ラストは結構痛快です。
 タバコの方は痛快とは程遠く、ケニーが殆どの場面で喫煙していました。マシュー マコノヒーは前作でもニコチン依存症を演じていて、本当にもう危ないのではないかと心配です。 


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美しい星

2017-06-08 | 2017日本語映画評


「美しい星」 吉田大八監督 ◯

 三島由紀夫の異色のSF小説が原作です。時代を現代にし大胆な脚色で映画化しました。
 当たらないので人気のある気象予報士大杉重一郎(リリー・フランキー)はあるとき自分が地球を救うためにやってきた火星人であることを知ります。一方、同じ時期に息子の一雄(亀梨和也)は政治家の秘書(佐々木蔵之介)と出会い、自分が水星人であることがわかります。大学生の娘暁子(橋本愛)は、金星人のシンガーと出会い自分は金星人であることを知るのでした。
 荒唐無稽な話ではありますが、エイリアンが出てくるわけでもなく、変身をすることもないまっとうな家族ドラマです。社会の中にはこういう宇宙人のように怪しい輩は時々現れますね。広い意味では地球人も宇宙人なわけですから、温暖化には宇宙的に見ても対策をしなければいけないでしょう。
 タバコは、なし。無煙です。


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家族はつらいよ2

2017-06-01 | 2017日本語映画評


「家族はつらいよ2」 山田洋次監督 ☓☓

 山田監督得意の人情コメディです。前作「家族はつらいよ」と家族のメンバーはそのまま変えずに今日的な問題を絡めた作品にしました。
 主人公の平田周造(橋爪功)の愛車には最近傷が増え、家族は「そろそろ運転免許証の返上をさせないと・・・。」とあれこれ説得します。しかし、車がないとどこへも出かけられず「死ね!ということだ。」と周造は反発します。そんな折、居酒屋のかよ(風吹ジュン)を載せてドライブ中工事現場の誘導係をしている高校時代の同級生丸田(小林稔侍)と出会います。再会を喜んで小さな同窓会をし、ベロベロに酔った周造は丸田を自宅に泊めます。そして次の日、免許証問題で家族会議のために集まった平田家のメンバーにそれどころではない大事件が起きてしまうのでした。
 高齢者の交通事故と孤独死、その上家庭介護の現実など他人事とは思えない年代層の観客の共感を得る内容です。相変わらず「おなじみのギャグ」で笑わせてくれるだけでなく、社会問題への憤りなども納得で考えさせられます。
 しかし、小さなことですが、映画ではやってほしくないことも幾つかありました。たとえば「ギンナン」を一度に大量に食べることです。中毒を起こす危険があります。また、丸田が仕事着に消臭スプレーを吹きかける場面がありましたが、消臭・防臭スプレーなどは化学物質を拡散させ健康被害が大きな問題となっています。それについては「香害」(岡田幹事著)で大きく取り上げられています。
 そして最後に毎度のことですが、タバコです。今回は実際に口にしたのは居酒屋で1回でしたが、1941年生まれの橋爪にとっては命がけの一服になるのではないでしょうか。山田監督は「受動喫煙対策」を骨抜きにしようとしている某政党のタバコ族議員と同じですね。他の社会問題では弱い物の立場を考えられるのになぜタバコだけは世界標準を理解できないのか、不思議でなりません。2020年東京は居酒屋も含めて飲食店は全面禁煙でないと世界に笑われます。
 5月30日の東京新聞の泉谷しげるさんのコラムをぜひ読んで勉強していただきたいものです。
 

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