海外旅行で使う私のスーツケースは傷がついている。乱暴に扱われたんだろう、へこんでいる。団体旅行で飛行機に乗る度に添乗員さんから大丈夫か、今回のフライトでついた傷か、毎回聞かれる。もう面倒なので、新しいスーツケースを鞄屋へ買いに行った。
鞄屋には、スーツケースはかなりの数あるが、色の変化がない。飛行機に乗り、スーツケースを取る際に、なるべくわかりやすいようにと、目立つ、変わった色を物色するんだが、平凡なものばかり。店員さんと話していると、それなら色の付いたハンカチを結んでおけば? と言われる。なるほどそうか、それでいいのか!それならハンカチを変えるだけでいい。スーツケースの色を変えるという先入観があり、気がつかなかった、こりゃ安い。
先入観と言えば、先日の中小企業診断士の研修で、ある先生が企業研修の受講生に、最後に言う言葉を思い出した。ちょっと長いが、思い出して書いてみる。
水槽に、カマスが沢山泳いでいる。カマスには最初、エサをあげるのだが、ある時、透明ガラスに餌を入れる。するとカマスは初めガラスを突っつくが、その打ち止めてしまう。餌が取れないからだ。そしてガラスを取っても、先入観のあるカマスは餌を取ろうとはしなくなる。じゃあ、取れるようにするには、どうしたらいいか?
別のカマスを一匹入れる。ここは仮に赤いカマスとしよう。赤いカマスは、当然餌を取る。見ていた先入観カマスたちも、だんだん赤いカマスのマネをして、餌をとるようになる。「研修を受けた皆さんは、職場に帰って赤いカマスになるんですよ!」
私の場合、鞄屋のお姉さんが赤いカマスだったようだ。