話は2月に遡る。今、建設業界では、労働安全衛生法の改正で、安全帯が変わろうとしている。安全帯とは、高所作業で、万一墜落しても途中で安全に止めてくれる安全具だ。従来は、「胴ベルト型」が標準だったが、これがより安全性の高い「フルハーネス型」に変わる。フルハーネス型とは、腰や肩にもベルトをして支えるため、荷重が一か所に架からず、安全性は増す。落下して宙ぶらりんになると、従来の胴ベルト型では、圧迫されてあまり時間をおけないが、フルハーネス型は時間が延びる。安全性が増加する墜落制止用具だが、この使用に際しては、経験に応じて全員、特別教育を受けないといけない。これが大変なのである。
私の契約している動画会社さんから、突然、すぐ特別教育の動画を作ってくれと注文が来た。何でも、教育が間に合っていないそうだ。2月から施行なんだが、教育機関がさばききれないほど受講生が来ているという。そしてその教育をするインストラクターは、公的機関で養成するが、このインスタラクター教育は来年3月まで一杯だそうだ。というわけで、急遽、教育ビデオを作ることになった。
フルハーネスは、私は登山の時に、岩山でフックをロープにかけたり、架け替えしたりして登る訓練の経験があるため、さほど難しくはない。
まず、自分がフルハーネス従事者の教育を受ける。こちらは東京都内で滑り込みセーフで受講できた。そして次のインストラクタ―になる人向けの教育は、空いている大阪の教育機関を見つけて、泊りがけで行って、教育を受けた。
そしていよいよ、パワーポイントの作成。これはいいのだが、実技が問題だ。ビデオじゃ実技の代替にはならない。ビデオで実技の方法だけ示して、後は実際にやってもらうことにする。またフルハーネスの効果を収録するのに、ぶら下がり健康器を買って、ぶらさがるビデオを撮ることも考えている。
しかし、法改正は時期がわかっているのに、なんでこんな風になるんだろうか。私は売上が増えるからいいけどね。