本当はエビ🦐のことだけを書いておきたいのですが(笑)
足運びについて少しだけ触れておきます。こんなことやらなくても「速くなる」というのはあります。それでも積み上げていく形の中でやってきた私にとってはこの辺りの基礎基本は外せない。実際にここができてくるだけである程度走れるようになります。卒業生が走れるようになってきたようです。これはかなり喜ばしい話です。基礎基本。それは人によって違うと思いますが。
前の記事の最後に「腰押し」と「3歩」について触れました。この辺りのことは書いておいた方がいいのかなという気はしています。前回は構えから動き始めることについて書きました。0からの動き出し。ここには大きなエネルギーを使います。構えの腰の高さについて少し書いたのかなと。
一歩目の引き出しで身体は前方向に進んでいきます。が、この段階で腰も同じように水平方向に進むことになります。これまで見てきた中では「スタートが苦手」という選手が非常に多い。大半の選手は苦手なのです。で、見ていると「腰の移動」がほとんど作れずに足だけを速く動かすというのがあります。その場足踏みのような感じです。「腰の移動」がないのに進みたいから足だけ動いて進まない。どうにもなりません。
そんな時に「腰押し」がいいと思います。前足の所から2.5足から3足長くらいのところにマークを置いてそれを一歩目で越える。この時に腰が残って足だけでいったら進まないので、タイミングを合わせて腰を押してやります。膝の引き出しと腰の移動が同時に起きるようにする。この時に水平に腰を押してあげるとスタートの動きに近づきます。腰が上や下にならないように押す方の技量も必要です。浮いたり潰れたりしないように水平方向に進む感じを作ります。
これで一歩目の重心移動を作るようにしています。そしてその時の一歩目の接地の角度が前の記事にも書いた「脛の角度」が40〜45度、「膝の角度」が90度という感じです。身体の傾きもあるので止まらずに進むことができます。分割的な練習の方法ですが走る中で全ての動きをやるのは難しいと考えています。だからこそ抜き出してその要素を身につける。特別な練習と位置付けるのではなく走る時には全てそこを意識して始めればいいと思っています。この辺りになると「本気で速くなりたい」と思う者しかできないという感じになりますが。意識せずに走るだけの選手では動きは変わりませんから。
タイヤ押しの意味はこの部分にあると思っています。効率良く加速するための動きです。地面に力を加えるための足運びを身につける。それだけではなくきちんと腰が前に進むというのが大切です。
1歩目だけならそれなりにできます。それを今度は3歩または5歩でやっていきます。私は個人的に5歩がいいなと思っています。これは感覚的なものですが。スタートの反応が良くても一歩目接地の位置がズレてしまったら間違いなく「止まる」感じになります。起きてしまう要因にもなります。だから一歩目だけではなく動きの連続性を考えて3歩から5歩はその動きを続けます。
私は個人的にここまでの局面を「一次加速」だと思っています。0から動き始めたそれを更なる加速につなげていく。ここで崩れてしまったらもう二次加速のイメージが作れないと考えています。だから一次加速の局面はかなりしつこくやります。今ここだけを徹底的にやらせてもらえるなら感じ的にもかなり変化を生み出せると思っています。自分の中で感覚が研ぎ澄まされてきた感じがあるからです。緑色の学校に行くかもしれないという部分があるのでその時はある程度精査して伝えられたらと思います。
単純に走るだけではなく道具を使うといいと思っています。この局面ではマークなどの目安になるものを使います。私は「マーク5歩」という感じでやっています。この5歩に関しては速く進むというよりは「安定させる」ことを求めています。1歩目からピッチを上げていくというのではなく最初は0から動き始めたものを前方向に安定させて進めていくための準備だと思っています。
だからこの局面で重視するのは「ピッチ」ではなく「リズム」。同じリズムで5歩が動けるとそれ以後の流れが上手く作れる。ここでリズムが変わると止まったら浮いたりしているということです。その場足踏みにならないようにマークを置くとかなり効果があると思っています。「速く動く」だけであれば最初からできますが、それでは重心移動が生まれません。強制的に前に進むためにマークを利用するのです。
これは失敗したケースですが、初任校で2年次にインターハイに出場した選手がいました。3年次には絶対に勝負したいというのがあったので課題である「加速段階」を克服するための練習を増やしました。元々ピッチが上がらないタイプだったので最初からピッチアップして走るイメージで一冬過ごしました。かなり速く動くようになった。見た感じも力感があり速い。
が、春先「マークが遠く感じる」と言い出しました。速く動くことを重視したので遠く感じるのかなと思っていました。実際は速く動くことを意識しすぎて重心移動が伴わない中で速く動いていたのです。だから見た目は速く見える。が、進んでいない。悔やんでも悔やみ切れない失敗でした。本当に申し訳ないなという気持ちで一杯でした。
そのこともありきちんと近くで見ながらと遠目に見ながらの両方で走りを見るように心がけるようになりました。今同じ状況であれば本当に勝負できるレベルまで力が上がっていたのかもしれないと思います。私風情が何をいうかという話かもしれませんが。
足運びと重心移動。ここは大きいと思います。タイヤ押しで行う足運びは3歩、最大で5歩維持できたら十分だと思います。たった5歩のためにどれだけ時間をかけてやるのかという話になりますが。何もしなくても走れる選手であればそこまで考えなくても良いと思います。が、私が今やりたいなと思っているのは長いスパンでみて正確に走りを作っていけるかどうかです。高校の陸上競技でできるのかどうかも含めて考えていきたいと思っています。
まとまりませんが。腰押しと最初の5歩の話でした。