こちらも思うがままに。
卒業生に対して「スプリント」を少し見させてもらいました。越権行為だと思っています。そのことに関しては監督さんに謝罪しました。本人が「何とかしたい」と思っていることに対して、少しでも力になれたらと思っています。これは「自己満足」だと思います。感覚的に確認をすること、崩れているであろう部分を修正することが少しできれば変わるのではないかと思っていたからです。
走れる選手は「進む能力」が高いと思います。元々それができる選手もいます。が、積み上げていってやっとできるという選手もいます。これまでの経験上、「圧倒的に速い」という選手は出会ったことはありません。不器用で上手くできないけど一生懸命やるという選手が多かった気がします。だからこそ時間をかけて取り組んでいくことで変化が生まれる。大人数の指導には向かないタイプのスタイルかなとは思っています。
で、本題。動きを見ていると「進みたい」というのが出てきます。そのため「膝締め」ができなくなる。欲張るので膝が開きます。膝が開くと「接地」の場所が前にずれる。さらにそれにより「足が遅れる」部分があります。kd先生が以前から言われていますが「重心移動のない中での感覚づくり」が重要だと思っています。私たちは「普通の選手」をどうすれば「強くできるか」を考えてやってきました。「普通の選手」が強くなる方法があれば「強い選手」はより強くなるのではないかと。ここも正解かどうかは分かりませんが、時間をかけて少しずつ移動ができればいいのかなと思っています。地味ですが。
やっている選手は一生懸命です。思い込みでやっていてもそれを一生懸命にやります。正確な動きではなくても一生懸命やる。今回動きを見ていた選手は監督さんからも「真面目によくやる」と評価をいただいていました。が、思い悩む部分が大きくなるので上手くいかない。これも性格だと思います。不器用なので多くのことを一度にやろうとすると失敗します。様々なベースが上がっているのは間違いない。普段の練習でやっていることは間違いなくレベルアップにつながっている。少しの「きっかけ」で何か変わるのではないかと思っています
「接地」と「切り替え」がずれている。それだけかなと思っていました。動画で何度か見ましたがやはり「目の前で見る」ことで課題が顕著になります。普段やっていることを大きく変えるとかは不要だと思っています。やっていることに「正確性」を加えるだけで動けるようになるのかなと。ベースアップしていると思うので「正確な動き」がどれだけできるのかだと思っています。
私は個人的に「確認」しながらやるのが好きです。やってみたときの感じがどうか。何か変化があるか。無理やり「良くなりました」と言わせる意味はありません。その選手にとって何がプラスになるのかを把握することが必要です。タイプもあります。真面目にやりすぎる選手に対して(これは他の選手に対しても同じではありますが)多くの情報を与えすぎるとよいことにはならない気がします。「新しい技術」とかではなく「基礎基本」に特化してやっていくことが一番の近道なのではないかと思います。
やはり「接地場所」と「切り替え」が重要なポイントだと思っています。ymd選手と少し話をしましたがヨンパをやるためには少し接地を長くしてストライドを伸ばします。決められた歩数で走らないといけないので「切り替え」の部分よりも「ストライド」が必要になる場面が多いからです。スイングのタイミングがほんの少し遅くなることで少し浮きながら走る感じになります。その部分も考えながら「接地」と「切り替え」を見ていく。多くのことを考えるのではなく「シンプル」に考えていくようにしたいと思っています。
どうしても「あれこれやりたい」という感じになります。が、たくさんのことを処理できる部分は少ないと思います。オリンピックに出場する選手の「感覚」を雑誌などで見ることもあります。が、それはその選手に「固有の感覚」だと思っています。それを真似てやれば速くなるというわけではない。最も重要な部分はシンプルに必要なことに特化することではないかなと思っています。難しい言葉を使うと「知っている人」みたいな評価を受けます。が、それを良いと思う指導者もいると思いますが、今の私にとってはそんな評価は一ミリも興味がない。大きな力を地面に伝えてその方向を変える。それだけではないかと思っています。
時間をかけて「重心移動が小さい」状況で足運びと接地のポジションを作る。少しずつ進んでいく。3か月くらいかけてやっていくことで自然に進めるようになると思います。「縦」の動きが「接地」の部分、「横」の動きが「切り替え」の部分かなと。「横」の動きになってくると「接地」がずれる。そのずれが速く走れない原因だと思っています。着目点だけはっきりさせれば実は誰にでも指導ができるのではないかと思っています。
「速く走る」ためには「進まない」という矛盾した内容になりますが。進もうとすればするほど動きが崩れます。さらには「加速段階」に動きに関しても「重要なポイント」があると考えています。ここの区間は「足運び」と「リズム」だと考えています。まーこんなマニアックな話を楽しく聞いてくれる人は少ないので。「スタート」について某大監督に聞かれました。そのチームの選手のスタートに関して聞くと「もはや1からやり直すほうが良い」という結論に。興味のないスプリント分野にまで手を伸ばそうとしている大監督に請われて教えに行けるというのはありがたいなと思います。
こういう部分に関しては「一切隠す必要はない」と思っています。持っているものをシンプルに伝えていくことが必要かなと。自分で持っていて秘密にするって意味がない。誰かに伝えてやってもらうことで初めて意味が出てきます。崩れた動きの要因は「接地」のずれと「切り替え」のタイミングであることが多いと思っています。今回指導させてもらったときには顕著にその部分でした。こういう機会は本当にありがたいなと思いますね。気持ちが乗ればまた書きたいとは思いますが。
その気になれば…ですが。