ぼちぼち。
今回も「基礎的なこと」をやっていきました。中学生もいるので補強も入れておきたいなと思う部分があります。そこが不足していく。これは難しい。こういう場で求められるのは「技術的なこと」です。ひたすらハードルを跳ぶことのほうが喜ばれるかもしれません。しかし、それでは「一時的な満足」でしかなく「長い目で見た時」にプラスにはならないと思っています。だから意図的に「基礎の基礎」として示しています。
前回はそれほどやりませんでしたが今回は「抜き足」のことをやりました。「抜き足」を大きく動かしてしまう選手が多いからです。「バイオメカニクス」や「見た感じ」の動きと「実際の意識」は違うと思っています。一番いやだなと思っているのは「抜き足」が寝てしまう部分です。ハードルドリルの時によくあるパターンの動きです。ここは何度か書いていますが。
連続写真や静止画像で「ハードルを越える」場面が示されます。まーこんな感じでしょうか。(一応フリー素材)
抜き足が「倒れる」形で示されています。ハードルを跳ぶというのはこんな感じなのかなと。しかし、実際にドリルの時に「抜き足が横」になる感じだと実際の走りの時には「上手く抜けない」という感じになります。この動きを意識すると股関節が上手く使えないままになる。前まで持ってきて落とすという動きはできなくなります。ここは大きな課題です。股関節が弱いからそういう動きになるのかもしれませんが、どうしても「前まで持ってくる」ことができなくなるのです。
そこで段階を追って「ハードル壁」のところからやっていきます。壁を使って「抜き足を立てる」動きをします。連続で足を抜いていきます。重心移動がない中でやっている動き。重心移動がないので抜き足を立てて前に持ってくるのがやりやすくなります。そこから段階的に前に進んでいく。進む段階になるとどうしても「抜き足が寝る」という感じになってしまうので、一歩進んで元に戻るの繰り返しになると思っています。
今回は抜き足の動きを修正するために色々とやりました。「連続歩行」で抜き足を立てる。そこから「連続抜き」にして「抜き足」を立てて持ってきて前で落とす。そこから1歩歩行で「抜き足」を立てる。ここをどれだけできるかだと思っています。歩行や連続抜きの時には「膝」の位置が「腰」より高い位置を通すことが必要だと考えています。正面から見たときに「膝」の内側が正面を向いている。膝頭が正面から見える状況では「抜き足が寝ている」という状況なのでよくない。とにかく「立てて抜く」という感じです。これにより「股関節」が上手く使えるようになります。これは実際にやってもらったら分かると思うのですが。走る時に「股関節を上手く使う」ことができれば走り自体も変わってきます。だから「スプリントドリル」にもなる。ここは意識づけの一番重要な部分だと思っています。
更に「抜き足」に関していえば「締めて持ってくる」ところが重要です。大きく抜いてしまうと「抜き足」の回転運動の運動エネルギーが大きくなります。それを打ち消そうと思えば上半身も大きく動かないといけない。大きなブレを生み出します。練習中にイメージで話すのは「輪っかの中を通す」という感じです。リードアームを前から後ろに引きます。その「引く腕」が「輪」のイメージで行う。手を伸ばして大きく動かすのではなく、肘が曲がりながら「輪」を作るのでその「中」を抜き足が通る感じです。その「輪」よりも外を通ると抜き足が大きくなりすぎてブレが生まれます。表現が難しいのですが「抜き足を立てる」のと「縦抜き」をするのは違います。「抜き足を立てる」時のイメージは「膝がわきの下に来る」という感覚。「縦抜き」は股関節が全く使えずにハードルを高く跳んでしまって抜き足が縦抜きになる。同じような表現ですが全く違います。
ここを意識しながらやってきます。細かい部分は説明せずにある程度の「形」を説明しながら。この時にymd選手が中学生に「つま先が落ちないように」というのも言ってくれていました。助かります。私がすべての情報を提供するのではなく、気づいたときにフォローしてもらえることでプラスアルファの情報を提供できます。私は意図的に「最小限の情報」でやろうと思っています。多くの情報を一度に提供すると間違いなく「飽和」してしまって処理できなくなるからです。必要に応じて提供する必要はあると思いますが、それは最低限の情報にしておきたい。特に中学生に「理解してやる」というのは現状では「不可能」だと思っています。まずはやってみる。ある程度できるようになったら「理屈」も伝える。「知識先行型」では中高生は上手くいかない気がするので。
更には「抜き足の接地場所」も重要になってくると思います。抜き足が開いて前接地になる選手が多い。これはトップレベルになっても生まれる現象です。しかし、開いて接地してしまうと間違いなくブレーキになります。そこは避けないといけない。これは導入段階から習得させたいところです。今中学生向けにこうやって練習会をする理由は「間違った動きを習得させたくない」からです。ハードルが上手く跳べる選手は特別意識しなくても跳べます。しかし、それだけではなく「より精度を高める」ことを考えると「本当に必要な技術」を習得させたいなと思っています。
2回目のハードル練習会ではここまでとしました。少し股関節補強も実施しましたが。そのおかげで15分ほど時間がオーバーしました。申し訳ないことです。これにより「次回から行かない」となるかもしれません・・・。申し訳ない部分があります。やったことがどれだけ効果があるのか。やってよかったと思ってもらえるのか。ここも自分自身の中で不明です。次回、誰も来ないという状況が生まれるのではないか。そういう不安の中でやっているのです。
指導している姿が「楽しそうだった」と言われました。確かに。こういう場面で指導させてもらえるのはありがたいことです。それを今後の自分の指導にどのように生かすか。「やりたい」と思う選手に対して何が提供できるか。そこが重要です。