kanekoの陸上日記

毎日更新予定の陸上日記です。陸上競技の指導で感じたことやkanekoが考えていることなどをひたすら書きます。

必要な動きだけにする

2022-12-16 | 陸上競技

前の記事の続きに関わる部分です。

 

本当は多くのことを時間をかけてやりたい。でも、それは不可能。そうなると「何を捨てるか」という選択になります。同時に「何を残すか」も重要になってきます。

 

私自身、走るのに必要な要素はたくさんあると思っています。しかし、それを全部やるのは難しい。ある程度の競技レベルになったらそういうものもできるのかもしれません。中学生や高校生が「すべてのことをやる」という感じになると情報過多となり飽和状態が生まれます。そうなると「良いこと」をやっていても吸収されなくなる。それどころか処理できなくてマイナスになってしまいます。そうであれば「何を残すのか」というのが重要になってくるのかなと。

 

技術的に必要なことはたくさんある。が、絞るとしたら「力を逃がさない」「力の方向を変える」かなと思っています。地面に力を加える。それが跳ね返ってくる。上方向の力を前方向に変える。シンプルに考えるとそこが重要になってくるかなと。繰り返しになりますが本当はもっともっとたくさんあります。「知っている」ことと「練習に取り入れる」ことは別問題だと思っています。「知識量の勝負」ではないので。どうしても「最新の理論」のようなものがあるとそれを取り入れたくなります。本当の効果があるかどうかは別にして「強豪校がやっているから」というのも出てきます。そこにどのような「意図」があるのか分からずに「真似をする」というのは良くないなと。

 

で、限られた時間の中でやることは「力を逃がさない」「力の方向を変える」というシンプルなものになります。もちろん、この前提には「膝締め」が必要。ここができているというところから「シンプル」にやっていければいいなと思っています。膝が開くと「運動エネルギー」が大きくなってしまいます。足の付け根から足先までの距離が長くなれば長くなるほど「動かすのにエネルギーが必要」になります。そうであればできるだけコンパクトにするほうが良い。同時に「円運動」よりも「直線運動」のほうが無駄な動きが少なくて前側に速く持ってこれる。この二つのことをやるために「膝締め」をします。これができると自然に接地の位置もよくなる感じがあります。

 

ここもかなりの時間を要します。ハードルドリルなどを利用しながら徹底的にやってく部分があります。そして「力を逃がさない」というところ。地面に接地した瞬間に関節が弛んでしまって緩衝してしまうことがあります。よく話をしますが「体操競技」の着地ですね。様々な動きをしてから「着地」をします。この時に「止まる」必要が出てくるので「足首」「膝」「股関節」を曲げて力を最大限に逃がします。逃がさないと地面からの反発があって動いてしまうからです。

 

走るという競技は「止まる」ためにやっているのではありません。地面に力を加えてからその力を緩衝せずに前に進んでいかないといけません。地面に力を加えない限り跳ね返ってくるものもないので、つぶれながら走ってしまうと「筋力」に頼った走りになると思います。それはかなり効率が悪い。だから無駄な力を使わずに地面に伝えた衝撃を上手くもらうようにするのです。

 

理論的な話になって面白くないかもしれませんが。何度か「体幹を締める」と書いていると思います。この感覚は「身体を締めて力を受け取れるようにする」というものです。身体がこんにゃくのようにフニャフニャしていたら地面からの力をもらうことができません。100%の力をもらえるように「体幹を締める」ことで力を逃がさない。体幹強化をするという理由の一つにはここがあります。意図的に「接地した時に固める」という動きを何度もやっていきます。ダメージはあると思いますが、この感覚を身に付けられるかどうかで「力がもらえる」かどうかは決まってくると思っています。

 

その前提のもとに「力の方向を変える」という動きを入れるといいと思っています。地面に大きな力を加えて跳ね返ってくる。が、そのままでは上方向に力が逃げてしまいます。進みたいのは前方向なのに上方向に力が逃げてしまったら意味がありません。だから「力の方向を変える」ことが必要になります。その役目を果たすのが地面に接地している「支持脚」の反対側の足、「遊離脚」です。「支持脚」は地面に力を伝えてその跳ね返りをもらうための「道具」としての位置づけになります。その方向を変えるのが「遊離脚」です。フォローレッグという言い方をしていますが。

 

地面にたたきつけたボールをバットで打つことをイメージしたら分かりやすいと思います。叩きつけたボールは何もしないと真上に跳ねて終わってしまいます。それを前方向に飛ばそうと思ったら跳ね返ってきたボールをバットで水平方向に打ってやる必要があります。このタイミングが遅ければ上方向に飛んで行ってしまう。バットで打つ役割を果たすのが「フォローレッグ」です。

 

表現的に「前に前に」という言い方をしています。これは「反対脚を早く前に持ってくる」という意味合いです。地面からの力を推進力に変えていくために「前に前に」足を運んでいく感覚ですね。常に自分の身体の前側で足を動かし続けたい。「足が流れる」という表現を使うことがありますが、足が身体の後ろで動いたら当然前には進みません。「フォローレッグ」が地面を離れて接地するまでの時間というのはほとんど同じだと思っています。その動きが身体の前側まで持ってきているのか身体の後ろ側になっているのかだけの話。太ももの質量は当然ながら大きい。重たいものが後ろ側にあって前に進むはずがありません。できるだけ身体の前にないといけないのです。

 

そのためには「高い位置で膝が入れ替わる」という感覚が必要。低い位置で入れ替わると「タイミング」が遅くなるので後ろ側になってしまいます。だから「力の方向を変える」ために「高い位置で膝を入れ替える」という練習をします。支持脚は力を逃がさないようにする。そのタイミングで膝の位置が一番高い位置に引き上げられている。これだけ。

 

細かいことをたくさん書いていますが、こんなことを高校生にすべて理解させて練習をさせるのは不可能だと思っています。「分習法」というのがありますが、「局面」を抜き出してその部分だけを強化する。「意識付け」だと思っています。本来「ドリル」というのはそういうものかなと。そこだけやっても上手く走れるようにならないのでどのようにして組み合わせていくのかが重要になる。時間を変えて「動き」をやるなら「膝締め」が出てきているという前提の中で「力を逃がさない」「力の方向を変える」という部分かなと考えています。練習ではこの動きをするために「必要なこと」だけをやる。

 

元々、このblog自体は「私が思うこと」を勝手に書いているだけです。それが「面白い」か「面白くない」のかはよくわかりません。更新していなくても訪問してくださる人もいます。何を期待されているのかは分かりませんが。一人の人間として「思うこと」を書く。それが誰かに対するメッセージになるのかもしれない。ある人にとっては「意味がない」内容であってもある人にとっては「意味のある」内容になっているのかもしれない。そんな難しいことは考えずに自分の思うことを書き続けていけたらとは思っています。

 

できれば「エビ日記」にしたいくらいですが(笑)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

身体の使い方を覚える

2022-12-16 | 陸上競技

これもこの冬にちょっとやっておきたいなと思っている内容です。ここに関しては前任校ではかなりやっていました。陸上競技に関しては主たる道具が「自分の身体」です。スパイクなども必要ですが、身体をどのように動かすかというのは大きなポイントになります。

 

筋力的に上げていかないといけないというのはこの部分があるからです。出力を高めることで地面に伝える力が大きくなります。また、体幹といわれる「身体の中心部分」が強くならないと走るときにブレてしまって前への推進力が得られません。一歩一歩エネルギーを無駄にしてしまうのでロスが生じてしまいます。だから「身体づくり」が最優先事項だと考えています。ある程度の「走る才能」があれば「身体作り」をするだけで勝手に走れるようになります。身体能力の部分は否定できない「差」になります。

 

週3回の練習をするにあたって「火曜日」「金曜日」は「身体作り」がメインだと思っています。時間をかけて体幹部の筋力を上げていく。動きながら鍛えるというのがプラスになるかなと思っています。思い出したように補強をするのではなく「練習の主要部分」としてとらえて必ず入れることが重要だと思います。高校生レベルでは「技術的な部分」よりも「身体作り」の成果のほうが明らかに出やすいと思っています。個人的な感覚ですが。

 

それに関わる部分ですが、「体幹を鍛える」というだけではなくそれを「使える」ようにしないといけないと思っています。「火曜日」「金曜日」が「鍛える」のであれば、「木曜日」は「使える」ようにする日に設定するといいのかなと。前任校ではこの日に「ダンス教室」としてマネージャーにダンスを教えてもらっていました。自分の身体がどのように動いているかを知るためです。走るばかりではなく「使う」ことが重要かなと。

 

木曜日はバランス系の練習をしてから「シャフトトレーニング」。これは「上半身」と「下半身」の連動を意識したものです。「上半身」でシャフトを動かしてそのタイミングに合わせて「股関節」を曲げる。スクワットのような感じですが、その動きと「上半身」の動きを組み合わせます。シャフト自体の重さはあまり関係ない。狙いは「上半身」と「下半身」の動きが連動すること。タイミングが合わない選手が多くいます。これを繰り返していくことで「使い方」を覚える。

 

それに「DM∞」を組み合わせます。東京高校で実施していた「その場で受ける」というのがありますが、これに関してはどこで見ても「正確な動き」になっていません。実際に東京高校で教わったときに「正確にやらないと意味がない」といわれていました。本当に必要な動きができていない。意識づけが難しいのだと思います。そうであれば単純に「強く投げる」ほうが分かりやすい。DMをもらったときに体幹を締めるというのが必要なのですが、八の字に動いてやっていく中で「強く投げる」というのが求められます。「締める」感覚は別の練習でやって「分かりやすい」形でDMを投げるほうがいいかなと。筋力が上がっても「強く」投げられないのであれば意味がありません。自分の身体を上手くコントロールして「DMに力を伝える」のです。これだけでも「使い方」が身に着くと思っています。難しいことをしない。

 

で、手押し車と足押し車をやります。使った体幹を少しずつ動かしていく。手押し車などは効果は高いと思います。体幹部を締めた状態で手足を動かす。走る時と同じ動きです。ここが正確にできるかどうか。速い動きになるとそれができなくなります。体幹がブレてしまう中で手足が動いてもロスするだけ。それがなくなるように「締めた状態で動かす」というのが重要。倒立歩行もどきも入れています。まだまだですが。

 

更にセラチューブを使っての「股関節補強」を。これもなかなか難しい。選手によっては「適当」になってしまいます。何度か指摘しますが「自分はできている」と思っている部分もあるでしょうから「修正しよう」という感じにならない。ここは難しいですね。まー結局は「結果につながらない」というだけですから、私は「情報の提供」をするだけかなと。全ては自分自身に返ってきます。身体の使い方が上手くなったとしても結局は「速く走れるかどうか」なのですから。

 

で、ハードル股関節を入れる。「体幹を締める」動きに「股関節を動かす」というのを加えているのでそれを少しずつ前に進めていく。動きの中で「体幹を締める」部分と「手足を動かす」というのをやっていきます。その場でやっていたものを前に進めていくという流れです。見ていると「股関節の硬さ」が顕著に出てきます。ハードルを使うと明確になります。超えていくときに腰が抜けてしまう。股関節の柔軟性を高めるのも各自の取り組み次第だと考えています。練習中にやることではない。自分自身で柔軟性を高めるための努力をしてもらうだけです。やるもやらないも自分次第。

 

「できない」を「できる」に変えていく必要があります。この辺りは難しい部分があります。ある程度運動能力があって「なんとなくできる」という選手ほど「動きが雑になる」傾向があります。細かく意識しなくても「できる」ので。本当に細かくやろうと思えばこういう時に時間をかけてやっていくことが重要です。でも「できてしまう」選手はここの部分がなかなか伝わりません。しつこく言っていくのが良いのでしょうが。

 

もう少し書いておきたいなと思いますが、いったん記事を変えておきます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする