前の記事の補足。なかなかうまく書けないのですが。
色々な形で色々な選手に関われる。これは本当に幸せなことだと思います。その中で「楽しい」とか「面白い」と思ってもらえる部分に関してはこちらがありがたいなと思っています。「よその子には優しい」と言われる部分もあります。実際は「きちんとやろうしている選手に対して」はこちらもそれなりに応えたいなと思うだけです。それが「日本一を目指す選手」であっても「県総体に出たい」と思う選手であっても。
例えば「リレーだったら県総体に出れる」というのがあります。役員の関係で山口県では各チーム「リレーの出場はできる」という前提があります。初任校での話を少し書きましたがこれは「個人種目での出場が0」の年でした。県総体を経験する機会さえないという状況。「リレーだったら出られるから出ておく」というのではありません。今後のことを考えて「チーム作り」のために必要だと考えて「4継で出場する」ことを目指しました。ここでは「参加する」というだけではなく「準決勝に進む」ことを目標に掲げました。
当然ながら「無謀な目標」だったと思います。ほとんど練習に参加していない3年生の選手と長距離2名、入ったばかりの1年生。それで「準決勝進出」なんてバカみたいな話です。が、本気でその部分を目指しました。出るからには「一つでも上を目指す」という感覚です。この時から「3年生になったら中国大会に出場しよう」と1年生には話していました。女子1人だったのでかなりしんどい部分もありましたが、3年生の時にマイルで中国大会出場。2年生の冬には走れる選手が3人しかいない中で「中国大会にリレーで出場する」という気持ちでやっていました。実際にそれを成し遂げる。本当に感動しました。その年から最低でも中国大会出場するチームになっていきました。本当に0からのスタートでした。
先日、「リレーで県総体へ」という選手たちと関われました。その時当時のことが思い出されました。今回は3年生2人2年生2人のメンバー。3年生は「最後の県総体」です。きちんとフィニッシュさせてあげたい。顧問の先生も「準決勝を目指してやる」と言われていました。こうなると当時と完全に重なります。これからチーム作りをしていく。その立ち上げの部分だと思います。知らないことばかりだったと思います。それでも目を輝かせて話を聞いてくれていました。「参加する」というところだけではない目標があるのです。
2年生には「今回の県総体で学んだことが間違いなく来年につながる」という話もしました。きっとこの子たちが中心となってチームを作っていくことになるのだと思います。人数が大幅に減るということでしたが「志」がある選手たちであれば組織は変わります。伝統的にやっていた「理由がわからない練習」なども見直すきっかけになるのだと思います。練習時間の確保が難しい環境の中であれば「効率よくやる」というのが重要です。その部分を学ぶ機会になる。
グランドではスパイクを履かない。それが「伝統」だったということでした。これも面白いですね。しかし、それは変えていくことができる。そうすることでトップスピードが出せるようになりもっともっと速く走れるようになります。そうなるともっともっと楽しくなる。0.01秒でも速く走る。これが陸上競技の楽しさです。他者と比べる部分も出てきますが実際は自分自身との戦いです。競技レベルによって「目指すところ」は違ってきます。それでいいと思っています。だから「日本一」を目指してもいい。「県総体でリレーで準決勝」を目指してもいい。
が、私の中でどれだけ力があっても「一生懸命になれない」選手に対しては何もやりたくないなと思う部分があります「教育に関わるものとして間違っている」と言われるのかもしれません。しかし、この部分は譲れない。「一生懸命にやる」中でしか見えないものがあります。単純に体を動かすだけを目標するというのもありなのかもしれません。そうであればそれは「陸上部」です。私は「競技を通じて成長する」という部分が重要だと思っています。練習中に手を抜いたり文句を言ったりしながら練習をするのであれば「やらないほうがいい」とさえ思います。誰のためにもならないから。「やりたくない」と思っている人に「なぜやらないの?」と聞くのはおかしな話だったのではないかと思うのです。
今回。「速く走りたい」という気持ちはあるのです。しかし、その方法がわからない。それは私が初任校で経験した部分と同じなのではないか。そういう選手たちが実はたくさんいる。そこに何かしらのきっかけを与えてあげられたら私が存在する意味があるのではないかなと。その話を聞いて指導者が「面白いな」と興味を持ってもらえたらもっともっと楽しい。選手だけが変わってもそこに関わる人たちが変わっていかなければまた同じことになるのだと思います。「一生懸命にやりたい」と思う人たちは少なからずいるのだと思います。しかし、人に聞いたりするのは敷居が高い。そこに私にできることがあるのかなと感じました。
競技レベルに応じて指導する内容は間違いなく変わります。段階があります。すべての選手に画一的な指導しかできないのであれば合わないと思います。目の前の選手に対して何が提供できるか。何を求められているのか。ここを自分の中でわからなければいけない。それを見極めていくことも私の中では最高に楽しいなと思います。
別に「県全体の強化」を考える気はありません。立場的なこともあるのでこういう書き方をしたら親しい指導者に怒られそうですが。「競技力向上」のために尽力しろと怒られますかね?!しかし、この部分は「原点」なのかなと思っています。自分が何をしたいのか。「陸上競技って面白い」と思ってもらえる機会があれば役割としては果たしているのではない中と思っています。「強化」と「普及」という違いがあるのかもしれません。陸上競技はシビアなので「速い者が速い」というのがあります。ここは避けて通れない部分です。速ければ何をしてもいいのかという話でもない。だから私は「一生懸命にやっている選手」の味方でありたいなと。「指導方法がわからない」という方の力になれたらなと。
自分自身の中で「やりたいな」と思うことが少し明確になりました。これをどのように体現化していくか。どうなるのかわかりません。それでも自分にできることはしたい。若い指導者に何かしら伝えられることがあるかもしれない。年上の方であっても「どうしよう」と思っている方には少しは役立てるかもしれない。申し訳ないですが「守備範囲は狭い」です。話ができる範囲が狭いのです。お許しください。
環境が変わり色々と思うこと、考えることがあります。その中で気づけることがたくさんある。ありがたいなと思います。周囲の方々に感謝の気持ちしかありません。誰かの役に立てればいいなと思いながら。結構真面目に。