
照る日曇る日第998回
ヒロインの一番大切なものを奪い去っていく自称「親友」の女に対抗して、ヒロインは「親友」の息子を思い通りに躾て復讐を図ろうとするが、最後は眼の前のおしいそうなものを何でもかんでも欲しがる女に地獄の道連れにされるという怖いお話なんだが、登場人物たちがまるで著者による不器用な操り人形みたいで、「ああそうかよお」というほかない人工感と生硬感に覆われていて、全編全面的にあまり共感できない。著者が褒めたたえる谷崎文学とは月とスッポンの大違いずら。
明らかに「民衆の敵」と思えどもその民衆が彼を支持する 蝶人