蝶人狂言綺語輯&バガテル―そんな私のここだけの話 op. 266
第8回 「初節句/わが子の初節句の会での父親の感謝スピーチ」
テーマ=愛する長男の前途に幸多かれと祈念する
本日は皆さまご多忙中にも係わりませず、わが子浩太の初節句の会へお運び頂きましてありがとうございました。
*1家内の涼子ともども厚くお礼申し上げます。
*2結婚以来約五年、浩太は待ちに待った私どもの第一子でありました。
ところが皆さまもご存知のように浩太は非常な難産でして極めて危険な状況もあったのですが、幸い担当のお医者様と何よりもここに同席しております家内の頑張りで、昨年の夏、元気な赤ちゃんが無事に誕生いたしました。
*3その節は父母はじめ皆さま方に多大のご心配をお掛けして申し訳ありませんでした。幸いその後の経過は順調でご覧のように元気はつらつ、丈夫ですくすくと成長しておりますので、どうかご安心下さい。
*4最近は少子化が進み、核家族が多くなり「一人っ子」「鍵っ子」が増えてきました。
それで思うのですが、若いお母さんははじめて出産する時に大変な不安とプレッシャーを感じます。たったひとりで出産という初体験に立ち向かわなければなりません。
そんな時に“母親業の大先輩”であるおばあちゃんがいてくれたらどんなに助かることでしょう。
わが家は幸いなことに七十歳になる母、そして七五歳の父が健在で、浩太の出産前後から初節句を迎えた本日まで、出産・育児について実にきめ細かく、かゆいところに手が届くアドバイスをしてくれました。
私を含めて12人の子供を産んで育ててきた“おばあちゃん”の経験と知識は絶大です。お陰で家内も私も大助かりです。
一般的に、生物としてのヒトの基本は二歳までに決まってしまうと言われています。
その重要な時期に非力で若輩者の私たち夫婦だけでなく、父と母二人の頼りがいのある助っ人の協力を得られたことを心より感謝しています。
*5前途多難の二十一世紀ですが、私は時代を動かし、新しい世の中を切り拓くのはやはり一人一人の人間だと思います。
雨にも負けず風にも負けないしっかりした自分を持った浩太になって欲しい。
そのためには親である自分自身がしっかり生きていかなければならない、そう思っています。
*6長い人生の第一歩を踏み出したばかりの浩太ですが、どうかこれからも長い目で暖かく、そして厳しくご指導頂けたら幸いです。
○ スピーチのポイント
1) 同席する妻の貢献について触れるのを忘れないように。
2) 初節句以前の印象的な事件やエピソードを前置きにすると話しやすくなります。
3) お世話になった方、これからもお世話になる方に感謝しましょう。
4) 父親、母親の両親が出産や育児に協力してくれるケースもあります。初節句の場を借りて改めて謝意を表するのも悪くないでしょう。
5) この際、父親としてわが子をどのように育てていくかを述べ、周囲の理解と協力を得ることも必要ではないでしょうか。
6) 最後に出席者全員に今後の指導、鞭撻をお願いしてスピーチを結びます。
ノーベル賞は文学自体とは無関係ハルキよ焦るなわが道を行け 蝶人