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あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

国立劇場で鶴屋南北作通し狂言「霊験亀山鉾―亀山の仇討」をみて

2017-10-06 10:51:45 | Weblog


蝶人物見遊山記 第255回


片岡仁左衛門が浪人の藤田水右衛門&謎の町人古手屋八郎兵衛&八郎兵衛に扮して、返り討ちに次ぐ返り討ちなど悪行の限りを尽くすという触れ込みですが、初日の翌日の公演のせいだか、なんだか緊迫感に欠け、空気が散漫、演技のアンサンブルの緻密さもあまり感じられませんでした。

2幕第2場駿州安倍川返り討の場でも、洗練された美術の粋を見せつけながらも、極悪の怖さ、恐ろしさが伝わってこないし、2幕第4場駿州中島村焼場の場では、突如死体を入れる棺桶が一挙にたち割られて水火の中から藤田水右衛門が登場するのですが、これとてもいわば想定内のクライマックスシーンに過ぎません。

掉尾の亀山祭敵討も妙に気の抜けた大詰めで、討たれた藤田水右衛門が起き上がって、「今宵はかような次第にて」と口上を述べ、出演者一同に丁重に挨拶されての打ち出しとなりましたが、どうにもしまらない。これでは只今巷を賑わせている巨悪の2人の悪役ぶりには到底敵わないのではないかと思った次第です。

出演は片岡仁左衛門のほか、中村歌六、又五郎、錦之助、歌昇、橋之助など。なお本公演は来る27日まで半蔵門にて上演ちう。観劇の際はあらすじをかなり詳しくネットなどで予習しておかないと細部がてんで理解できず楽しめませんので要注意。


 くたばれ安倍くたばれ小池と言いながら草取りをする神無月5日 蝶人

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