ある晴れた日に 第544回

くやしそうでもうれしそう藤井六段に敗れた師匠
掌に栗の実3個を握りしめ神無き月を歩み尽せり
打ち上げの花火の100年の歴史を伝えて早大前三朝庵昨日
指一本で世界中の人々を一喜一憂させる快楽
身も蓋もなきわたくしが歌う身も蓋もなき歌
10本の木に促されて10通りの新しい生き方を提案す
4Kとか8Kだのが始まった新たなテレビを買えとごとくに
楽しみは11時に大船の「とんでん」に行く日曜日
行き合えばバウバウバウと吠える犬私に恨みがあるのだろうか
朝夕に行きかうあまたの犬の中必ずおいらに吠える犬あり
おーいお茶の缶の蓋のバイ菌気にせずぐいぐいと飲む
ノンアルのビールの蓋のバイ菌を少し気にしてグイグイと呑む
もしかしてバイ菌が付いているのでは そう思いつつ切手を舐める
夏来れば腋の下の毛を見せよ
太陽に腋窩唇からナイフ
口臭の強き女の接吻長し
真夜中にミンミン鳴くので眠れない
人世は読み書きそろばん絵空事
喜びもはた悲しみもニルアドミラリ
風強き日には胡蝶も翅休め
健在を新作で知る秋の朝哉
生き恥を晒して生きん七十四
万感を4文字に込める年賀状
改元より廃元の声列島に聞こえず
圧力をまだ掛けていいか問い合わせ
その夕べ2万枚のCD腐り果て大聖堂の空に鳴る音楽
「9時半に出れば充分間に合うよ。栄プールは10時に開くから」
SNSの有名人の友達にしてもらうオラッチは小有名人になったのココロ
労働者のやる気を殺いではいけないと所得を少なめに公表したゴーンさんの優しい心
ゴーン、ゴーン、ゴーン、カネが命のゴーンさん カネと共に去りぬ
黒柳徹子が死んでも「徹子の部屋」で自らを悼むだろう黒柳徹子 蝶人