あまでうす日記

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ウラジミール・ナボコフ著「ルージン・ディフェンス 密偵」を読んで

2019-01-26 10:33:36 | Weblog


照る日曇る日 第1193回



本巻におさめられたのは「ルージン・ディフェンス」と「密偵」の2作ですが、前者はチェスの名人の多難な足跡を描いて秀逸です。

著者自身による「あとがき」を読むと、チェスについて造詣の深い著者は、この小説にゲームの特性や定理を取り込んだ手法をちりばめたそうですが、んなこたあまんずどうでもよろし。

チェス以外には、才覚も、社会性も、生きるすべもなき、脳たりんのお人好しのボンクラが、一人の女性に深く愛され、そして死んでいくまでの純真な道行が、読む者の心を揺り動かします。

その感動に比べたら後者の面白さは、ほとんど題名だけというてもよろしいでしょう。



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