あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

小川糸著「ライオンのおやつ」を読んで

2020-06-20 11:11:49 | Weblog


照る日曇る日第1414回

「食堂かたつむり」とか「ツバキ文具店」とか「つるかめ助産院」とかこの人はタイトルをつけるのがうまい。もしかするとご本人ではなく編集者のネーミング化もしれないが。
今回の「ライオンのおやつ」も傑作で、私は百獣の王のおやつだから、きっとイグアナとかアライグマなどの小動物がいっぱい出てくるのではないかと期待していたら、案に相違して瀬戸内海の島にある「ライオンの家」というホスピスで最後の時を過ごす33歳の女性の物語なのだった。
「ライオンの家」の名物は3時のおやつで、そこでは百獣の王のようにもはや何ものにも顧慮することもない死に瀕した人々がリクエストするさまざまな思い出がこもったお菓子が供されるのだった。
と種明かしたところで筆をおいて、あとは語り部のいつもながらの巧みさを巧みに伏せたナイーヴな語りにお任せしたいと存じます。


 百獣の王に喰わせてしまいたしこの国の王とその手下ども 蝶人
コメント
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