あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

「夢は第2の人生である」或いは「夢は五臓六腑の疲れである」第87回

2020-07-07 10:43:02 | Weblog


西暦2020年睦月蝶人酔生夢死幾百夜


アオイケ夫婦と一緒に中国の田舎の山を登っているのだが、山が乗っているプレートが違うので、アオイケ夫妻は猛烈なスピードで山頂めがけて上昇していったのであった。1/1

イケダノブオは、森ん中のおばあさんのろうけつ染めを映像に収め、「これから私の最後のパフォーマンスをおめにかけましょう」というのであった。1/2

うらぶれた素人オケに「第9交響曲」演奏の依頼があり、それを済ませて駅構内に入ると、エキコンをやっていたので、思わず私が歌い始めると、隣のオッサンから「お客さん、主旋律を勝手に歌ってもらっては困る」と文句をいわれた。1/3

公凶放送も、民放も、現地中継を放棄した後も、私らミニ地域放送局だけは、その虐殺映像を流し続けた。1/4

往年の大女優でもある有名デザイナーのアシスタントをしている私だが、彼女が超不得意なメンズのフォーマルウエアのデザインで四苦八苦しているのを見るのは、どうにも耐えがたい。1/5

退職軍人のチャーナイ氏に請われてジャングル映画に出ることになった。「正面を向いて立ってください」というので、言われたとおりにしていると、目の前に大蛇がぶら下がってきたので、慌てて逃げ出した。1/6

医務室へ行くと、2人の女子社員が、制服を着たまま布団の中で身悶えしているので、「大丈夫?」と声をかけると、彼らは、ちょっと身動きしてから、姿勢を変えた。1/6

これまで大事にしてきた天然物の魚と本水が、一瞬の不注意から濁水にまみれてパアになってしまったので、私はイケダノブオの誘いで熱海に赴いて、もういちどやり直すことにした。1/7

沖縄の綺麗な海で泳ごうと、遠路遥々飛んできたら、海水浴場は、もっと遠路から遥々飛んできた世界中の観光客で一杯だった。1/8

困ったことに完全AI制のわが社では、夕方の6時になって「さて残業しようか、それとも帰ろうか」と迷っている社員に対しても、さっさとご飯と味噌汁の簡単な夜食を供してしまうのである。1/9

環境問題の死命を制する大問題の投票に、無惨にも敗れ去ったこの男は、かてて加えて、広大な自宅が、失火で一夜にして燃え尽きてしまったので、絶望して世を去った。1/10

正月に夢を見たが、それは正月に夢を見ているという夢で、夢の中では餅つきが出てきた。1/11

この節は、中央線の快速も各停も、しょっちゅう爆破されるので危険だ。都心へ向かうなら、地下鉄なら比較的安全だというのだが、それだって当てにならない。1/12

わが社の花形デザイナーが、フリーランスになって飛び出すという噂を聞いた私は、それなら、自分がその跡目を襲ってやろう、と密かに決意した。1/12

私はいろんな大学を受ける人たちのために、夜中じゅうライトアップしてあげていたが、それがどんな役に立つのか、考えたことはなかった。1/13

「セイコウしても、セイエキが出ないんだね」と医者がいうたので、「しかり。さながら渓谷の空音の如し」と答えたら、「それはどういう意味ですか?」と医者が訊ねたが、私にもしかとは分からなかった。1/14

山陰線の夜行で帰省したら、知り合いの女が、「彼女は鮨屋の娘なんやけど、大阪で企画と営業を両方上手にやっとるんやて」と教えてくれた。1/14

報道統制が酷くなってきたので、心ある報道者たちは、密かに裏チャンネルを作って、真夜中にゲリラ放送をするようになった。「#内緒内緒のあのねのね」で検索すると、あの公凶放送ですらも、物凄い安倍蚤糞の巨悪暴露放送を敢行している。1/15

おらっちは、暮らしに窮した隣家の要請に応えて、隣接地を次々に買収していったので、いつのまにか当地でも指折りの大地主に成り上がっていた。1/16

「決して開けてはならない」と言われた瓶の蓋を開いた途端、やはりアラジンが飛び出してきたので、私は「違う、違う、そうじゃない。お前じゃないんだ」と叫んだが、もう遅かった。1/17

おじいちゃんは、ガラガラの山陰線の上り列車の3等席で、揺本に振った「クハ」、「モハ」といった列車の略称記号を、皺だらけの左指で示しながら、幼い私に、金春流の素謡の初歩を教えてくれた。1/18

2階で寝ていると、2人の女が布団に入ったり、出たりするので、寝られないから、「お前たちは誰だ?」と訊ねたら、「元ダンサーです」と答えるので、「じゃあ、今は何なんだ?」と聞いたが答えは無かった。1/19

ヴェルディ大全集のCDの中に、1枚だけ尺八の演奏が紛れ込んでいたが、これが果してヴェルディの曲なのかどうか分からない。もしそうなら、世紀の大発見だ。1/20

会議では「日本からアジアへ、そして世界へ」というような言い方は、かつての帝国主義時代の外国侵略や植民地支配を想起させるので、やめたほうがいいだろうというような発言があったが、他の誰も何も言わなかった。1/20

五輪音楽代表決定戦で、ある選手が、投げられてきた幼虫の塊を空振りしたという理由で、敗退したが、これは見当違いも甚だしい。音楽と野球はジャンルが全然異なるのだから。1/21

編集部でうろうろしていたら、ある人物を紹介された。「どういうお仕事ですか?」とたずねたら、「表紙専門デザイナーです」という返事だったので、そーゆー職種もあるのかと驚いた。1/22

パスポートも航空券もないのに、空港にぶらりとやって来た私だったが、滑走路の隅っこに停まっている小型機に忍び込んで眠っているうちに、私は海上を飛行していた。1/23

それにしても、飛行機の長旅にもめげず、よくも遥々極東の島国まで歌いにやってくるものだと、オペラ指揮者の私は、西欧の歌姫たちに敬意を抱かざるを得なかった。1/25

私は一晩中不要スーツの補修にあたっていた。朝が来ると、それが廃棄される運命にあると知りつつ。1/26

我が家のfaxは出版社と接続されているので、編集部に出入りするfaxは、同時に我が家のfaxにも入ってくるのである。「それがどうした?」と聞かれても困るが。1/27

玄関に2人の客あり。1人はタナカコーキ、もう1人は近所の奥さん。前者は海外留学の打ち合わせだろうが、後者の用件は、聞いてみないと分からない。1/28

ビルの角で携帯が入ったポシェットを拾ったので、警察に届け、自分の名前を書いていると、その前の欄に私と同じ会社の同僚のヨシダ嬢の名前があったので、偶然とはいえ、少し驚いた。1/28

出張が終わって自宅に帰ろうとしたら、その途中で、なんかのはずみで、大川に鞄が飛び込んでぶくぶく沈んでいく。さあ大変だ。どうしよう。重要書類が、みなずぶ濡れになってしまうではないか。1/29

ぼくらは惑星探検隊。いよいよ新惑星に着陸するのだが、誰が行くのか指令がない。ヒグマ選手が「オレ行きます」と勝手に乗り込もうとするので、「ちょっと待て!」と、おらっちは止めた。1/30

私たち医学部の新入生に対して、癌検査が行われたが、独りだけ該当者がいて、気の毒にも、治療終了まで自宅待機になってしまった。1/31


 コウくんの大嫌いなソーメンを誰か別のメニューにして! 蝶人
コメント
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