あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

笹井宏之歌集「てんとろり」を読んで

2022-08-31 11:05:38 | Weblog

照る日曇る日第1780回

 

26歳の若さで2009年に惜しまれつつ急逝した歌人の最後にして2番目の歌集です。

 

おらちはこおゆうのんが好きかな。

 

 あんぱんがたべたいひととあんぱんのあいだに物凄い滝がある

 

 わたしだけ道行くひとになれなくてポストのわきでくちをあけてる

 

 くだもののように熟れつづけるひとをとりあえず新聞にくるんだ

 

  さいころにおじさんが住み着いている 転がすたびに大声がする

 

  したいのに したいのに したいのに したいのに 散歩がどういうものかわ 

  からない

 

  鳥取に鳥を求めるひとなどをほんとうは愛していたかった

 

  ほんとうにわたしは死ぬのでしょうか、と問えば杉並区をわたる風

 

 

   法師蝉鳴けばつくづく思わるる葉月は悲しきことばかりなり 蝶人

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