あまでうす日記

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「夢は第2の人世である」あるいは「夢は五臓六腑の疲れである」第119回 

2022-12-05 09:36:24 | Weblog

「夢は第2の人世である」あるいは「夢は五臓六腑の疲れである」第119回 

 

西暦2022年文月蝶人酔生夢死幾百夜

 

私と世間がどんどんかけ離れていくので、どういう訳でそうなってしまうのかをつらつら考えながら、両手を広げて調べてみたら、そもそも私の手相には、とてもとても大事な世間線が、はなから欠落していたのだった。7/1

 

長い昼寝から目覚めてぼんやりと薄目を開けてみると、そこに誰かが棒立ちに立っていて、「神社、テンプルでしょ?」と訊ねるので、そこが我が家だということが分かった。7/2

 

早めに飯を喰うておこうと思って、御膳の上の一膳の上から軽く布巾を掛けたのだが、他の連中もおんなじようにしたので、どれがどれだか分からんようになっちまったずら。7/3

 

我々は、その海岸でしばらく野宿することになりましたが、砂浜にしゃがんで、ウンコしていると、むかし昔子供の頃、一家そろってここで海水浴を楽しんだ日のことが思い出され、懐かしくて堪りませんでした。7/3

 

ホストのおらっちの月極めの仕事は、男漁りをする人妻を午前に1人、午後に2人お相手することだったが、それだけでは到底食べていけないので、夜中から朝までに1人3万円の仕事を何口か取って、ようやく糊口を凌いでいた。7/4

 

木下サーカスのテントが、一夜にして皇族の野宿テントに変身していくのを、おらっちは呆然と眺めていたのよ。7/5

 

「ちょっと聞いてみなさいよ」と言われて、彼女がそのフォルテピアノを叩くと、けっこう大きな音がけたたましく出て来たので、驚いたずら。7/6

 

その大金持ちは、自分の正妻の絵を掛ける代わりに、妾の肖像画を飾っていたので、周りの人々は、なにか良からぬことが起こるのではないか、と、ひやひやしていた。7/7

 

大河と思ったのだが、実際は白い紙が流れているだけだ、と気づいたので、思い切って身を乗り入れたら、これがけっこう流れが速いので、えらく戸惑っているところ。7/8

 

1945年の夏、もうどうあがいても日本が勝利することはないと分かったので、おらっちは、裏の物置から竹槍を取り出して一度しごいてから、無人の大通りへ飛び出していった。7/9

 

新幹線に飛び乗ったが、もうすぐ降りなければらなないのだが、切符なしで飛び乗ったので、「切符を見せろ」と言われたら困ってしまうので、いっそこのまま乗っていようかと思う。7/10

 

美大のギューちゃんといえば、まるで巨大な象のような異様な体躯の持ち主だったが、見かけとは裏腹に、とても善良なお人好しだった。7/11

 

名古屋支店の人事課に勤務するおらっちが作った社長、取締役人事を含めた新年度人事計画は、大阪支店、東京本社のそれとはまるで内容が異なっていたので、3つの案は、ちょうど関ヶ原の上空あたりで、行きあって浮遊していた。7/12

 

久し振りに教壇に立ったおらっちは、「さてそれでは、ここで永田氏が詠んだ代表歌を2首紹介しませう」と言うたものの、その歌の初句すら頭に浮かんでこないので、満場の失笑を買いながら退場する羽目に陥ってしまったずら。7/13

 

新旧2つの百年戦争が同時進行しているので、どっちにどのように加担していいのか、さっぱり分からずにいる。7/14

 

2階から茫漠と広がる工業地帯を眺めていたら、稠密に展開される工場、人家、路地、道路、電信柱、送電線、町内掲示板などの物件が、この地を支配する5つの豪族の銘柄別にたちまち区分けされていくので驚いた。7/15

 

アジア太平洋艦隊の米国海軍の駆逐艦に乗って、半年間訓練を受けていた間に、ラストコンドにホルトを入れられて失神したことがあったので、それ以来、船には乗らないようにしている。7/16

 

予を殺害せんとしている男からの殺人予告書が届いたが、余は「なんだトレンドに乗りやがって」と思っただけで、それ以降は、ことさら注意を払わなかった。7/17

 

ひよっこの♂♀判定器を、ヒトに宛がうと、以前なら直ちにいずれかの判定が行われたのだが、最近では、判断するのをひよって、いつまでたっても♂♀言わない判定器も出て来たずら。7/18

 

餌をやると、嘘から出た誠のように、死んだ金魚が浮かび出てくるので、おらっちは、この金魚は生と死を体現しているのではないか、と思うようになったずら。7/19

 

社長をやっている旧友が、「ぼくちゃん「チャイコフスキイ」とか「交響曲」とか「6番」とかいう商標を登録したんや。これで大儲けするんや」とほざいているので、呆れたホイ。7/20

 

その貴族は、領民の不逞の輩をピストルで銃殺したあと、「記念写真を撮りたいのだが、カメラはないか?」と訊ねたので、おらっちは「んなもん、ここにはないずら」と答えた。7/21

 

その純綿プロジェクトを、どのメーカーが担当するのかは、まだ決まっていない。71/22

 

おらっちは、とうとうインポテンツになっちまったよおなんじゃが、最終的に確かめるのが怖いので、あえてそのままにしておるのよ。7/23

 

「コロナ第7波」が猛威を振っているにもかかわらず、蝶よ花よと遊び歩いている連中が多いので、「魔法のはたき」をひと振りして、あらゆるワクチンが目で見えるようにしてやったら、その日以来、誰一人外出しようとしなくなったずら。7/24

 

10回目となるとさすがに詩集の校正ももう修正する個所もなくなったので、おらっちはおまけに書いた映画シナリオの校正をしてみようかと思ったのだが、これは本来は黒澤監督の仕事なので、下手に怒らせるとまずいと思って、触れずにおいた。7/25

 

43丁目のソニー・コロンビア映画の近所に、おらっちが、昔大変お世話になったバークシャ・アウトレット・レコード社の建物が見えたので、えらく懐かしかったずら。7/26

 

大阪市警が急遽でっちあげた暗殺犯人だったが、何者かが、あっという間に、そいつを暗殺してしまったので、事件は迷宮入りになってしまった。7/27

 

夜中に口笛が聞こえたのだが、誰が吹いた口笛だか分からない。もしかするとおらっちが自分で吹いた口笛かも知れないので、自分で吹いてみようとしたのだが、これって自分の夢の中の話だから、実際にその口笛がさっきの口笛と一緒かどうかを正確には判断できないだろう、と思って止めたのよ。7/28

 

前回の選挙では10万票を得て2名の当選者を出したわが党だったが、今回は8万票に減って、なおかつ2名の候補者を立てたので、ふたりとも落選してしまったずら。7/29

 

中国のナントカ大学に入学したんやけど、その名前が難しすぎて読めへんし、書けへんし、発音すらできへんのんで、困り果てとるずら。7/30

 

おらっちは「美術手帖アーチスト・ランキング」のベスト10に入ったらしいが、にもかかわらず、労作はこれまだただの1点も売れたことが無く、個展の口がかかったこともなかったので、なにかの間違いだろうと思ったずら。7/31

 

   竜電の緩んだ廻しを玉鷲がさりげなく締める土俵の下で 蝶人

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