あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

「4月のカルテット」

2024-04-23 11:39:52 | Weblog

私の最新の詩が、さとう三千魚さん主宰のweb詩誌「浜風文庫」に掲載されましたので、

御用とお急ぎの無い方はご笑読くださいな。

 

https://beachwind-lib.net/?cat=20

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これでも詩かよ 第311回~西暦2024年卯月の歌

2024-04-23 09:48:15 | Weblog

同志少女よ、誰を撃つ

 

春だった。

ある晴れた日の、朝だった。

 

チボー家の人々は、誰も徴兵されなかったのに、オレっち、ジャックだけが徴発された。

どうだ、カッコいいだろう?

 

で、まさか戦争が始まるとは、夢にも思ってもいなかったのに、それが突然始まったときには、驚いた。

 

オレは、動員されて戦場に赴いた。

稠密に張り巡らされた塹壕の中で、

まるで芋虫のように、ゴロゴロ蠢いていた。

 

テキは、豊富な物量に物を言わせて機関銃でガンガン撃って来るが、

こっちは弾丸不足なので、

三八銃で、パチパチ撃ち返すのみだ。

 

仕方がないから、オレは一計を案じて、

オリベッティのタイプライターを、機関銃のように塹壕の上に持ち上げ、

広辞苑のように部厚くてまっ白な本の上に、

ダダダダダと、戦いの文句を撃ち込んだ。

 

テキが、機関銃でガンガン撃って来ると、

こっちは、オリベッテイでダダダダダと撃ち返す。

 

ガンガンガンガンガンガン ダダダダダダダダダダダダダダダ

ガンガン ダダダ ガンガン ダダダ カンダタ ガンガン

 

どうだ、これが戦争だ。

これが凄絶な撃ち合いじゃ。

 

すると、

塹壕の上に据えた書きかけの白い詩集を、

食草のカンアオイと間違えたギフチョウがとまろうとしているのを見つけたので、

オレは、つと身を乗り出して、その黒と黄色の羽に触ろうと、腕を伸ばした。

 

途端に、ダンと一発。

続いてダンと、もう一発の銃声が、

鳴り響いた。

 

噂の女スナイパーが、オレの両眼を、見事に撃ち抜いたのだった。

 

真夜中に「対潜水艦戦訓練」をやってくれとだあれも頼まん 蝶人

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