照る日曇る日 第2090回
素直に結論を述べようもないこわいようなタイトルのこの本に、もちろん著者は無理や無茶をせずに、ヴァルター・ベンヤミンやハイデガーやクレーやカンデインスキーやゴッホ、浦上玉堂や雪舟、蕪村、カフカ、中原中也、ディラン・トマス、ボブ・ディラン、マイルス・デイビス、モンク、アファナシエフ、李白、エミリー・ディキンソン、吉本隆明、田村隆一、吉岡実、パウル・ツェラン、石牟礼道子、西脇順三郎、ジョナス・メカス、ブランショ、折口信夫、ジョン・ケージ、武満徹、谷川俊太郎、タゴール、ランボー、石原吉郎、谷川雁、アルトー、ネルヴァル、ルイ・アームストロング、白石かずこ、諏訪優、ヴァレリー、ボードレール、ジミヘン、道元、ソシュール、ニーチェ……
などなど、錚々たるビッグネームとの出会いを挙げて、みずからの詩観の成長と変遷をライヴパフォーマンス的にモノガタルのだが、人は詩人になるために、あるいは詩とは何かを見出すために、かくも壮麗無比なる城砦に登攀せねばならないのだろうか?
すでにとっくの昔にその答えは出ているからこそ、吉増剛造は、吉増剛造的詩作をケイゾクしていると思うのだが。
希少なる天然ウナギを捕まえる悪辣非道な猟師よくたばれ 蝶人