照る日曇る日 第2100回
ポルトガルの抵抗詩人が文章、その息子が挿画を担当した格調高い絵本を読みました。
「戦争は、日常をずたずたにする。「進行していますね」と耳元でささやかれる病気のように。」からはじまり、「戦争は、何も聞かない、何も見ない、何も感じない」、「戦争は、自分がどこで恐れられ、歓迎されるのかを、よくわかっている。」、「戦争は、あらゆるありとあらゆる恐怖が集まって、残忍な姿に化けたのだ。」、「戦争は、何も知らない人たちの柔らかな夢に入り込む。」と続き、「戦争は、轟音とカオスだ。」「戦争は沈黙だ。」で結ばれる17の定義ないし箴言を、独自の空間で反芻、深化、拡大したのがアンドレ・レトリアの見事な挿絵だ。
その中に「戦争は、物語を語れたことがない。」という謎めいた文章があって、アンドレは堆く積まれた蔵書に権力者が火を放つ情景を絵にしているが、これはちょっとした意味のすり替えで、父親はもっと高尚な別のはなしをしているのだろうと思った。
戦争の起こるとこまでぐんぐんと近づいてきたキシダ内閣 蝶人