こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

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よりよく生きるにはどうしたらいい?

医療事故防止のための、日々の小さな努力

2013年06月01日 | 病理のこと、医療のこと、仕事のこと
不肖コロ健、病院でリスクマネージャーというのを仰せつかっている。
担当部門は病理診断部と臨床検査部。
これらの部門でトラブルが発生した際に、報告を受け、再発防止のための方策を一緒に考える。

医療事故は大きく2種類に分けられている。患者さんに重大な障害が起きてしまうような場合をアクシデントとし、アクシデントになる手前、患者さんに障害を及ぼすようなことなく終わった場合をインシデント、とする。
アクシデントは論外で、あってはならないことだ。

一方、インシデントはよくおこる。
検査部門でいえば、取り違え、報告間違えなどだ。
どれも、ダブルチェックなどで確認されて、インシデントで終っているが、ひとつ間違えたらアクシデントになる。

先日も、検査結果を誤って報告したことが問題となったことが新聞報道されていた。


「人間は間違えるものだ」ということは、だいぶ浸透してきたが、
「人間は人目を気にするものだ(だから、失敗は隠そうとする)」ということは、自分自身のこともあるのでなかなか認めたがらない。
失敗を明らかにして、人の意見を聞いてその失敗が二度と起こらないようにすることはいいことだが、権威だの名誉だのを気にする人はいまだに多く、報告したくないと感じるようだ。

私自身、リスクマネージャーをやっていながら、インシデントまがいのことをしてしまうことがある。どこからが、インシデントで、どこまでがそうでないのか、その自己判断も難しい。


ただ、たしかなことは小さなインシデントを放っておくと、ある日アクシデントとして、重大な事象が発生するということ。
「あれ?やっちゃった。」というようなこと、一つ一つをおろそかにせず、振り返っていくことが、医療事故防止の最善の策だと、やっとわかってきた。
日々の小さな努力が必要であり、その環境を整えなくてはならない。
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