こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

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STAP細胞論文の感想(4)・・・成果至上主義の果てか

2014年12月27日 | 病理のこと、医療のこと、仕事のこと

STAP細胞に関する問題について、理化学研究所が最終的な調査結果を発表した。

内容は思っていた通りだった。8月に自殺した笹井氏にすべてを押し付けるようなことはなくよかった。小保方さんは、真相を語るつもりはないようなので、もうこの話は終わりということだろう。

弱酸による細胞分化のリセットという「STAP細胞もしくはSTAP現象」という仮説を、無理矢理に事実にしようとした結果、別の細胞を使って、ありもしないデータをでっち上げ、論文化まで突き進んでしまった。皮膚や大脳の細胞から胎盤の細胞ができてしまう、そんな夢のような話を私はNatureという超一流科学雑誌に掲載されたということで頭から信じた。

この問題はこれで終わるが、このような問題の再発防止に自然科学界は努めなくてはいけない。科学者の功名心や焦りをあおるようなことはせず、本当に学問を愛する人が、真摯な気持ちで研究を行うことができる環境を作っていかねばなるまい。

 

研究者というのは職業人であると同時に夢追い人でもある。研究費は天から降って来るわけではなくて、日本の場合多くは貴重な税金である。

すべての研究が華々しい成果を上げるということはない。だからといって、成果のあがらない研究が無駄かといえばそうではない。健全な科学文化が醸成された上で、正しい、社会に役立つ研究がでてくる。

研究のための研究、論文のための論文という成果至上主義の蔓延が、今回の問題の根底にあったとしたら残念なことだ。

 

知りたいことを真摯な気持ちで 
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理研「STAP細胞はES細胞の混入」 NHKニュース詳報 12月26日 12時18分

STAP細胞の問題で理化学研究所の調査委員会は26日会見し、小保方元研究員が新たに2つのねつ造を行っていたと認定したうえで、STAP細胞を培養・凍結保存していたものはES細胞だったことを明らかにしました。
ただ調査に対し論文の著者らは故意の混入を否定していて、誰が混入したかは特定できなかったとしています。

理化学研究所の調査委員会は26日午前会見し、STAP細胞の問題を巡る調査結果について報告しました。
その結果、STAP細胞を培養・凍結保存していたものはES細胞で、STAP細胞の証拠とされた緑に光るマウスやテラトーマと呼ばれる細胞組織などはES細胞が混入した可能性が高いとし、小保方元研究員らが主張してきたSTAP細胞の作製の成功という論文の内容を否定しました。
また、多くのES細胞の混入があることから故意である疑いが拭えないとしましたが、調査に対し、論文の著者らは故意の混入を否定していて、誰が混入したかは特定できなかったとしています。
さらに、小保方元研究員が新たに2つのねつ造を行ったと認定し、論文の多くの図や表のオリジナルデータについて特に小保方元研究員のものが一部を除きほとんど存在せず、本当に行われたのか証拠がない実験もいくつか存在することも明らかにしました。
ただこうした調査は、ことし春、論文に多数の疑義が出されたときに始めていればもっと早く結論を出すことができたと指摘されていて、問題が長引くことになったことなど今後、理化学研究所の責任が問われることになりそうです。

野依理事長「信頼回復に全力」

STAP細胞の問題で調査委員会の報告書が提出されたことを受けて、理化学研究所の野依良治理事長は記者会見には出席しませんでしたが、次のようなコメントを発表しました。
「理化学研究所の研究者たちによる論文が社会の信頼を損なう事態を引き起こしたことに対し、改めておわび申し上げます。これを受けて懲戒委員会の審査の再開など、規程に基づく必要な手続きを厳正に進めて参ります。着実に、規範の再生のためのアクションプランを実施していくことにより、改革を進め、信頼回復に全力を尽くす所存です」などとしています。

小保方氏「ES細胞混入させていない」

理化学研究所の調査委員会の桂勲委員長は、調査で小保方元研究員に3回にわたって聞き取りを行ったことを明らかにしたうえで、「小保方さんにESの混入についてどう思うかと聞いたところ、混入の可能性もあるということは言っていた。
聞き取りの最後に改めて『私たちはES細胞であるという十分な証拠をもっています』と伝えたところ、こちらから聞く前に小保方さんの方から『私はES細胞の混入をしたことは絶対にありません』と否定した」と述べました。

小保方氏が不正認めたと判断

理化学研究所の調査委員会の桂勲委員長は、小保方元研究員が論文を書く際、実験データの操作を行ったかどうかについて記者からの質問に答え、「われわれは小保方さんが不正を認めたと判断した」と述べました。
理化学研究所の調査委員会の委員長を務めた国立遺伝学研究所の桂勲所長は記者会見で、「STAP論文の問題は、特殊な研究室で起きたことではなく、どこでも起こりうると考えて研究室を運営してほしい。
『ねつ造・改ざん・盗用』があるかないかというのが倫理教育ということではない。
もっと広い観点から、研究者にとって責任のある研究の在り方ということも含め倫理教育を考えた方がいい。
実験ノートがないことはねつ造でも改ざんでもないが、研究者の責任ある行為ではない」と指摘しました。
そのうえで、「生命科学の研究室は競争的資金を取れないと生き延びられないので必死になっている。
しかし、特許を出すことに集中して科学の基本が忘れられていはいけない。
科学の基本は、有名になりたいからとかノーベル賞を取りたいからということではなく、自然の謎を解く喜びと、社会的責任をどう果たすのか、その2つが重要だ」と述べ、科学の原点に立ち返ることの重要性を訴えました。

文部科学相「大変遺憾」

STAP細胞の問題で、小保方元研究員らが発表した論文の主な結論が否定されたことについて、下村文部科学大臣は「大変遺憾だ。
検証実験を含めて一連の問題について理化学研究所は責任を果たしつつあるが、文部科学省としては、再発防止の取り組みや信頼回復ができているかを見極めていきたい。
今回の問題は、誰がES細胞を入れたか、入れていないかということより、研究チームとして責任が問われるものだ。
小保方氏1人だけの問題ではなく、不正や見過ごしを含めてなぜそうなったのか、理化学研究所として説明責任が問われるものだ」と述べました。