大学病院ともなると、病理診断の件数もさることながら複雑な症例の頻度が上がる。近隣の病院から移ってくる患者さんが少なくなく、その分診断に手のかかる症例が増える。私の勤務先の病院もその医療圏内では唯一の大学病院であり、そんなわけで病理医は教授以下複数いるがみんな忙しい。お盆休みに一緒に休みたいが、病気には盆も正月もない。病理も臨床と同じく、誰かがずっと働いている。
大学病院とかそういう規模の病院でないからといって、病理医を取り巻く環境はどこも変わらない。病理医は各病院に1人のところが多いので、一般病院の病理医も仕事量は馬鹿にならず大変だ。症例数が少なくても、それぞれの症例に対して丁寧に対応したら結局大変で、あまり休みは取れない。
日本の病理医不足は慢性的で、今の二倍病理医がいたら、各医療施設に十分かと思うが、医療レベルの進歩がそれをはるかに上回っているようで、なかなか厳しい。それに、少し地方に行けば、足りないのは病理医だけではない。一人で頑張っている臨床医も少なくない。そういう先生は代診に来てもらうしかないのだが、それもいろいろと大変なようだ。
人間は生き物なので、ずっと働き続けるわけにはいかない。働いてばかりでは、精神的、肉体的に疲弊し、壊れてしまう。二泊三日で、丸一日休むことができたというだけで随分楽になったけど、明日から仕事かと思うと体はもうそれようになり始めている。
かといって、休むにもお金がかかるのでそれほど贅沢もできない。結局のところ、家でゆっくりしているのが一番いいのかもしれない。
テレビは消して