こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

人生あっという間、私の時間もあと少し。
よりよく生きるにはどうしたらいい?

使われる器具、使われていない器具

2012年06月12日 | 病理のこと、医療のこと、仕事のこと
病理組織標本を作るとき、手術検体を切り出すが、そのときによく使う器具と、あまり使わない器具とがある。
金属製の膿盆にピンセットだの、ハサミだの、ゾンデ(細い棒)だのをざらっと入れている。
切り出しを開始するときに使う器具をあらかじめこの中から取り出しておく。

最も使うのはこの鑷子(せつし)、オランダ語でPincet(ピンセット)。
英語ではtweezers。
前の前の病院にいた時から使っていて、今の病院まで連れてきた。

私とのつきあいは、15年以上。
未だかつてこれほどてにしっくり来る鑷子はない。
あまりの優れものなので、もったいないので隠居させようと、ほかの鑷子を探したが、あまり役に立たず、結局これを使い続けている。
マイ鑷子というのもおかしな具合なので、ほかの器具と一緒に出しているが、私以外の病理医がぞんざいに使っていたりするのを見るとちょっと悲しい。

さて、まあ、いつでも使えるようにと種々の用具を一緒くたにしているものの、ハサミにしてもゾンデにしても、いつも使うのは大体同じになってくる。
だから、おそらく、この中には使われていない器具、というのがいるはずだ。
だが、どれがそれなのかは、広げてみてもよくわからない。

どれも、少なくとも一度は使ったことがあるような気がしてしまう。
それに、「これ、使ったこと無い」と思っても、次の瞬間「あれ、これ使えるじゃない」と思う。

だから、病理診断科の膿盆の中の器具達は、エースがいる一方で、控えもたくさんいる。
だけど、どれもそれぞれ大切な器具達。
この間、先端部が錆びて、少し欠けていた古びた鑷子があった。
バカみたいに広がってしまっていたのだが、大きめの検体を挟んで持ち上げるのに重宝していたのに、ついに途中で折れてしまってなくなくサヨナラ(廃棄)した。
とても残念だった。

すっきりさせようとリストラを考えたこともあるが、どれにもそれなりに愛着があって、どうやらできそうにない。
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
器具 (ある)
2012-06-13 20:35:01
こんばんわ。
マイ器具を使って切り出しをされているのですね!
(・ω・)
私も研修医時代にゲットした器具(引き出しに眠っています・・・)を使ってみようかなあ?とちょっと思いました。
個人的にはコッヘルを結構使います。
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標本からはわかりませんが (colocolokenta)
2012-06-14 18:32:16
美しい標本は、美しい切り出しからしか生まれませんよね。
手に馴染んだ器具があればそれがいいのですが、器具出しをしてくれる技師さんに、「これだけ別にしておいて」なんていうのはよけいな仕事を増やすだけなので、なかなかできません。
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