徹底批判!「戦争立法」 「一体化」論① 戦闘機給油「殺す活動」へ
安倍政権が5月中旬にも国会提出し、今通常国会での成立を狙う「戦争立法」。米国がおこすあらゆる戦争に自衛隊が参戦・支援する憲法違反の法律づくりにもかかわらず、「他国の武力行使とは一体化しない」(安倍首相)と歴代政府の見解を繰り返します。その見解を「空洞化」させる「戦争立法」の危険を見ます。
自民、公明両党が「戦争立法」の骨子で合意した3月20日の参院予算委員会。日本共産党の井上哲士議員が追及したのは「武力行使の一体化」問題でした。
井上氏は、「戦争立法」では自衛隊の米軍支援メニューとして、これまで「含まない」とされてきた、米軍への弾薬提供や発進準備中の戦闘機への給油、機体整備などが入っているのかと追及しました。
「ドレン・ブリッツ」で海上自衛隊のヘリ空母に着艦する米海兵隊MV22オスプレイ=2013年6月、米西海岸沖(米海兵隊HPから)
米側要求認める
井上氏の質問に防衛省の黒江哲郎防衛政策局長は「米側にどのようなニーズがあるか、現在行っている日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の見直し作業と、この15年間以上の日米協力の中で、さまざまな形で確認している」と答弁。
弾薬提供、発進準備中の戦闘機への給油などを否定せず、それらが米側の要求としてあることを認めました。実際、自衛隊のヘリ空母「ひゅうが」等にMV22オスプレイを発着させる日米共同訓練がすでに実施されています(2013年6月、ドーン・ブリッツ)。
井上氏は、米国が9・11テロ事件の後、アフガニスタン戦争を仕掛けたとき、「自衛隊がインド洋で米艦船に給油し、その艦船から飛び立った米軍機がアフガニスタンで空爆し多くの市民の命を奪って大問題になった」と指摘。「今度は船を通じてではなく、直接戦闘の準備中の航空機に給油することを可能にすることだ」と批判しました。まさに日本が米国の空爆支援に直接乗り出し、「殺す活動」に入り込むことになります。
違憲結論出さず
元政府高官の一人は証言します。
「周辺事態法のとき(1999年)、弾薬の輸送・提供と、戦闘機への給油はダメだと内閣法制局は譲らなかった。そのため法律には入らなかったが、外務省は、はっきり憲法違反という結論を出さず、『米軍のニーズ(需要)がないヒことに逃げたのだ」
現在の周辺事態法などでは、米軍への支援活動のメニューを「別表」で規定。武器・弾薬の輸送・提供や、発進準備中の戦闘機への給油、整備は物品・役務の提供に「含まない」と明記しています。
政府はそれを「米側のニーズがないから」と説明してきたし、昨年7月の「閣議決定」以降の政府答弁でもそう繰り返しています。しかし、周辺事態法案の審議の中で、大森政輔内閣法制局長官(当時)は「最終的にその需要がないことで詰めた検討に至っていない」
としつつ、「大いに憲法上の適否について慎重な検討を要する」(97年11月20日)と答弁していました。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年4月11日付掲載
アブガン戦争の時は艦船への給油だったが、今度は戦闘へ出発する戦闘機へ直接給油できると言う。米軍への直接支援により深く組み込まれることになる。
安倍政権が5月中旬にも国会提出し、今通常国会での成立を狙う「戦争立法」。米国がおこすあらゆる戦争に自衛隊が参戦・支援する憲法違反の法律づくりにもかかわらず、「他国の武力行使とは一体化しない」(安倍首相)と歴代政府の見解を繰り返します。その見解を「空洞化」させる「戦争立法」の危険を見ます。
自民、公明両党が「戦争立法」の骨子で合意した3月20日の参院予算委員会。日本共産党の井上哲士議員が追及したのは「武力行使の一体化」問題でした。
井上氏は、「戦争立法」では自衛隊の米軍支援メニューとして、これまで「含まない」とされてきた、米軍への弾薬提供や発進準備中の戦闘機への給油、機体整備などが入っているのかと追及しました。
「ドレン・ブリッツ」で海上自衛隊のヘリ空母に着艦する米海兵隊MV22オスプレイ=2013年6月、米西海岸沖(米海兵隊HPから)
米側要求認める
井上氏の質問に防衛省の黒江哲郎防衛政策局長は「米側にどのようなニーズがあるか、現在行っている日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の見直し作業と、この15年間以上の日米協力の中で、さまざまな形で確認している」と答弁。
弾薬提供、発進準備中の戦闘機への給油などを否定せず、それらが米側の要求としてあることを認めました。実際、自衛隊のヘリ空母「ひゅうが」等にMV22オスプレイを発着させる日米共同訓練がすでに実施されています(2013年6月、ドーン・ブリッツ)。
井上氏は、米国が9・11テロ事件の後、アフガニスタン戦争を仕掛けたとき、「自衛隊がインド洋で米艦船に給油し、その艦船から飛び立った米軍機がアフガニスタンで空爆し多くの市民の命を奪って大問題になった」と指摘。「今度は船を通じてではなく、直接戦闘の準備中の航空機に給油することを可能にすることだ」と批判しました。まさに日本が米国の空爆支援に直接乗り出し、「殺す活動」に入り込むことになります。
違憲結論出さず
元政府高官の一人は証言します。
「周辺事態法のとき(1999年)、弾薬の輸送・提供と、戦闘機への給油はダメだと内閣法制局は譲らなかった。そのため法律には入らなかったが、外務省は、はっきり憲法違反という結論を出さず、『米軍のニーズ(需要)がないヒことに逃げたのだ」
現在の周辺事態法などでは、米軍への支援活動のメニューを「別表」で規定。武器・弾薬の輸送・提供や、発進準備中の戦闘機への給油、整備は物品・役務の提供に「含まない」と明記しています。
政府はそれを「米側のニーズがないから」と説明してきたし、昨年7月の「閣議決定」以降の政府答弁でもそう繰り返しています。しかし、周辺事態法案の審議の中で、大森政輔内閣法制局長官(当時)は「最終的にその需要がないことで詰めた検討に至っていない」
としつつ、「大いに憲法上の適否について慎重な検討を要する」(97年11月20日)と答弁していました。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年4月11日付掲載
アブガン戦争の時は艦船への給油だったが、今度は戦闘へ出発する戦闘機へ直接給油できると言う。米軍への直接支援により深く組み込まれることになる。