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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

酷暑の祭典 東京五輪・パラリンピック② サッカー プレーの質低下に懸念

2017-08-20 10:16:23 | スポーツ・運動について
酷暑の祭典 東京五輪・パラリンピック② サッカー プレーの質低下に懸念

「こんな日程、気候の下で試合をするなんて、まったく人間的でない。クレイジー(狂ってる)だ」
2年前の7月、新潟で開かれた国際ユース大会で、セルビアの2選手が試合中に熱中症で救急搬送され、試合が途中で打ち切られる事態となりました。試合開始は午後2時すぎ、気温31度で3日間の大会の最終日。この前日、セルビアの監督が話していたことが現実のものとなった形でした。
日本の高温多湿のもと、サッカーをする東京五輪の選手たちが、どんな状況に置かれるか。

走りが20%減
日本の夏場は熱中症の危険が高いため、日本サッカー協会は1998年に「サッカーにおける暑さ対策マニュアル」を作成。昨年は「熱中症対策ガイドライン」も発表し、警鐘を鳴らしてきました。
暑さがプレーにどう影響するか。先のマニュアルを作成した一人、立教大学の安松幹展(やすまつ・みきのぶ)教授は指摘します。
「Jリーグ2部のあるチームを対象に気温16度と29度のとき、運動量がどう違うかを調査したことがあります。それによると試合での総移動距離はほぼ変わらないものの、暑いときはウオーキングやジョギングが増え、軽いダッシュ程度の走りが20%ほど減っていました」
暑さのため、スプリント系の走りが減少する。これがサッカーの内容や質の低下につながることは間違いありません。
なぜ、暑さが選手の動きを奪うのか。安松教授は「体温上昇と、発汗による脱水の二つが大きな要因」と指摘します。
体温は臨界点の40度を超えると体力の消耗が激しくなり、筋力を調整する脳機能が低下。判断力も下がり、熱中症の危険も出てくるといわれています。「脳が体温上昇を抑えるため制御をかけている状態ともいえる」(安松教授)のです。
また、脱水症状でも運動能力の発揮が妨げられます。一般的に脱水が体重の2%を超えると、運動量が約20%落ちるといわれています。
海外では、試合前から冷水の補給や冷却ベスト着用で、深部の体温を下げる対策を進めているといわれます。



北京五輪サッカー男子決勝でナイジェリア選手(左)と競り合うアルゼンチンのメッシ選手(共同)

給水タイムも
東京五輪の試合は早くて午後5時開始ながら、決勝は正午です。
実は、2008年北京五輪のサッカー決勝も8月の同じ時刻でした。
メッシ選手率いるアルゼンチンと暑さに慣れているはずのナイジェリア。気温は32度。直射日光が降り注ぐピッチは42度もありました。熱中症を引き起こす危険から、国際サッカー連盟の医療担当チームの助言で給水タイムを設けました。それでも選手たちの動きは鈍く、ひざに手をあてる場面も目につきました。
勝ったメッシ選手は「プレーするには暑すぎた」と語り、ナイジェリアの監督も「暑さで選手が十分に能力を出せない。正午開始はいい考えとは思えない」と苦言を呈していました。
東京五輪・パラリンピック組織委員会は「会場とともに、開始時間の変更の検討をしている」といいます。
五輪のサッカーはただでさえ、中2日の試合が連続する「殺人的な日程」です。高温多湿の気候の中で試合を重ねることが、どんな問題をはらむのか。海外から「クレイジーだ」といわれない大会を準備する必要があります。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年8月19日付掲載


サッカーの場合は北京五輪の経験があるんですね。「給水タイム」、確かに「ハーフタイム」などと同様に取り入れることが必要です。
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