きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

読者の投稿 私の「寄り道」「回り道」

2021-02-18 08:00:47 | 赤旗記事特集
読者の投稿 私の「寄り道」「回り道」

ウキウキ花が呼ぶ
群馬県高崎市 福島博美 72歳
今日もまた、車のハンドルがJAの直売所へ向く。勤め帰りに毎日のように寄っていた。目的は花木コーナー。それも生産者の棚。普通の花売り場と違い、自分で花を育てている人が並べているので珍しいものが多い。
まだ珍しかったクリスマスローズ、山野草の代表で森の妖精と呼ばれるレンゲショウマ、東北旅行で目にして気に入って、やっと見つけたキレンゲショウマなど。
今、家にあるものの多くはここで買った。この寒い時期に満開のウインタークレマチスも、ここで白い花を咲かせていた。スノードロップもそう。白い花が私を呼んでいた。
職場からの帰り道にあるこの直売所は、私の癒やしスポットだった。足を踏み入れるだけで心が和み躍った。私の大好きな場所。
退職して10年余り。ストレスを感じることもあまりない。でも1カ月に何回かは訪れたい。家から15キロは遠いと思いつつ、今度はいつ行こうかなと思うだけでウキウキしてしまう。





レンゲショウマ、キレンゲシショウマ。僕も六甲高山植物園でおなじみの花。大好きです。

居場所だった神社
千葉県 森みどり 61歳
私の記憶の中には、いつも手をあわせる母の姿と神社があります。
夏休みのラジオ体操や宿題も、村中の子どもが神社に集まって行いました。
悲しいことがあって一人になりたい時、決まって神社に行きました。うっそうとした木々に囲まれて、静まりかえった神社は、私の居場所だったのです。
そのせいでしょうか、
引っ越しのたび、私は自分と相性のいいたたずまいの神社を、見つけておきます。
そして、どこかへ行く時は、機会をみては回り道して、神社で手をあわせて家族の平穏を祈ります。ささやかな私の心のお守りです。
(イラストも)




セミ捕りのひと時
大阪府茨木市 岡本欣治 55歳 団体職員
2人の娘がまだ保育園に通っていた頃の夏。保育園からの帰り道、ちょっと回り道をして公園に立ち寄り、セミ捕りをしていたことを思い出します。
私に抱っこや肩車された娘は、いとも簡単に素手で次々にセミを捕り、放し、また捕って放すことの繰り返し。たったそれだけのことですが、とてもうれしそうで楽しそうで、私が「もう帰ろう」と言うまで、飽きることなく繰り返していました。
夏は私が保育園に迎えに行くと、「セミ!」といつもせがまれたものでした。
忙しい毎日、正直早く帰りたい思いもありました。
しかし、今にして思えば、例えようのないくらいに心がほっこりする、忘れられない貴重な貴重な宝物のようなひとときでした。
今でも、思い出しては一人ニンマリと笑っています。
今、その娘2人は「セミを手づかみするなんて信じられへん!何が楽しかったんやろうな」
「わからんわ」なんて言っています。


いつものパン屋
長野県飯田市 土井祐子 66歳
朝8時から9時のアルバイトを終えて、さて、どこへ寄って帰ろうかなと考えながら運転しつつ、結局いつものパン屋さんに寄ってしまいます。
そこは、おいしいりんご入りパンや、ひれカツサンドがおすすめです。さらに、なんといってもうれしいのが、サービスのコーヒーです。夏にはアイスコーヒーも用意されています。
おいしいコーヒーと、ふわふわのパンを食べると、明日もがんばってみよう!!と不思議な元気が出ます。
コロナ禍で、お客さんが減って心配ですが、ずっと続けてほしいです。


会社帰り先輩と
大阪府四條畷市 須山朋子 83
思えば60数年もの昔、大阪中之島のOL時代、月曜日から金曜日まで連日、会社帰りにまっすぐ帰宅する日はなかった。
同僚先輩のM子さんと梅田のお初天神商店街に寄り道し、“甘党屋さん”では、ぜんざい、かき氷等を食べた。舶来物といわれる美しい布地屋さんは、ウインドー越しにながめた。
M子さんの影響で、次第に政治や世の中の動きに関心を持った。やがては合唱団に入り、居住地域の民主青年同盟の集まりに参加。安保闘争のまっただ中で知り合った夫と結婚。同時に夫は民青同盟の専従となった。
私の人生も大きく変わった。あのOL時代の寄り道がなかったら、平々凡々と親の勧める人と共に暮らしていたかも?
当時は寄り道して祖父母にしかられてばかりいたけれど、私はあの時の寄り道に悔いなしと思っている。M子さんに感謝も忘れずに日々暮らしている。


つい赤ちょうちん
広島県世羅町 植田香代子 64歳
駅からわが家までは、下町の商店街を通って帰る。当時は夫婦共働き、3女も働いていて、それぞれがバラバラの帰宅時間だった。
ある時、夫が商店街のラーメン屋に入り、壁に貼られたメニューを見ようと横を向くと、隣の席に若い女性が。「ん?」と思ってよく見ると、3女がラーメン食べていたそうだ。
娘も「変なおじさん、嫌だなあ」と思い、見返すと、そこにいたのが父親でびっくり。お互いに「ずるしちゃって、お母さんに怒られるよ」と話しつつ、2人でしっかり食べて飲んで帰ってきたそうである。
私も仕事で遅くなった日は、もう少しで家なんだけど、つい赤ちょうちんに誘われて居酒屋に寄り道したことを、思い出す。
頑張った自分にごほうびだと思って、一杯やって帰るのが至福のひととき。「寄り道最高」の思い出である。


のんびり歩く一駅
大阪府和泉市 猪尾伸子 72歳
会社勤めをしていた40歳前後の頃、子どもの高校受験や父親との同居で、職場以外でもストレスの多い日々でした。
仕事を終えて家に帰る電車の中で、気持ちを仕事モードから家庭モードに切り替えるのですが、混んだ電車の中ではさらにストレスが重なりました。
家に帰り着くと、話し相手を待っていた父親の矢継ぎ早のおしゃべりが、またまたストレス。
そんなある日、仕事を終えて電車に乗る前、地下鉄の一駅をのんびり歩くと気持ちが軽くなりました。もう少し、もう少しと、1時間余り歩きました。
それ以来、時々、会社帰りにしばらく歩いて、時にはおしゃれな喫茶店で一息ついて、仕事モードをすっかり振り切ってから帰宅しました。
帰宅は少し遅くなりましたが、家事の効率はかえって良く、気持ちにゆとりをもって家族と接することができました。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年2月16日付掲載


共感を呼ぶ投稿でした。
「ウキウキ花が呼ぶ」。レンゲショウマやキレンゲシショウマは実感。
「いつものパン屋」。神戸中地区に勤務していた時は、宇治川商店街のパン屋さん「バードえびす」にお世話になりました。
「つい赤ちょうちん」。プログラミングの派遣会社CSKに勤めていた時。勤務地の神戸から会社の寮の尼崎・園田に帰って、阪急園田駅前でちょっと一杯したものです。