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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

グリーン成長戦略 世界から立ち遅れる日本

2021-02-09 07:50:33 | 環境問題・気候変動・地球温暖化について
グリーン成長戦略 世界から立ち遅れる日本
政府は2050年の実質炭素排出ゼロを目指す「グリーン成長戦略」を打ち出しました。国内最大の炭素排出源は発電所などで、排出量の40・1%を占めています。発電所の炭素排出減が肝心です。それには、再生可能エネルギーの比率を高めなければなりません。
(吉川方人)

日本を含む世界160力国と欧州連合(EU)が加盟する国際再生可能エネルギー機関は、50年に脱炭素を実現するのに必要となる、発電に占める再生可能エネルギーの比率として86%を示しています。
ところが、政府が目標の参考値として示した50年の発電構成では、脱炭素の再生可能エネルギーの比率は50~60%です。炭素を出す火力発電と危険な原発が合計で30~40%を占めます。これでは原発と火力発電の恒久化です。日本は世界水準から大きく立ち遅れているのです。
アメリカの投資銀行ラザードによると、発電コスト(建設費と解体費を含み、財政支援なし)は、風力や太陽光がすでに原子力や石炭火力を下回っています。世界最大の投資ファンドのブラックロックは、石炭関連会社への投資削減を表明し、脱炭素計画を投資先企業に求めています。炭素排出企業には、投資が集まりにくくなっています。






目標かかげて
グリーン成長戦略は、「重要な14分野」を列挙しています。その中で、再生可能エネルギーは、洋上風力発電と、住宅・建築物産業の一部としての次世代型太陽光産業だけです。その他に、補助技術としてのアンモニアや水素による燃料産業と自動車、航空、船舶の電動化のための蓄電池を挙げ、原子力産業、5Gなどのデジタル化による半導体・情報通信産業まで盛り込んでいます。
これらを税財政で優遇し、2兆円の税金による基金投入で国内の「民間企業が保有する240兆円の現預金」と世界からの投資を集める青写真です。30年に年額90兆円、50年に年額190兆円の経済効果をもくろんでいます。
しかし、国内企業は風力発電機の製造からすでに撤退し、太陽光パネル製造からもほぼ撤退しているため、日本での経済効果も限られます。
再生可能エネルギーの電気をためておく蓄電池や水素などの技術は、再生可能エネルギーの発電構成比率が椙・当高くなるまで必要となりません。既存の揚水発電などが利用できるからです。再生可能エネルギーの高い目標を前提としなければ、こうした技術も有効に活用することができません。

規制を成長に
再生可能エネルギーへの世界の取り組みはどうでしょうか。
欧州連合では、発電量で再生可能エネルギーが化石燃料をすでに上回っています。20年からは、自動車メーカーごとの炭素排出量を走行1キロあたり平均95グラム以下にすることを義務付け、未達成は販売1台ごとに1グラム当たり95ユーロの罰金が課されます。
企業などからは、再生可能エネルギー100%での事業運営を目標として宣言する「RE100プロジェクト」が進んでおり、世界で280社以上、日本からリコーなど50社が参加しています。アップルなどは、部品メーカーにも再生可能エネルギー100%の目標を求め、日本企業も対応を迫られています。
アメリカで1970年、自動車排ガスを9割減にするマスキー法が制定されました。アメリカでは同法の規制が緩和、延期されましたが、日本は同様の規制を完全実施するため、技術革新を起こしました。2002年の「環境白書」は、このことを「世界市場への日本製自動車躍進の一因ともなりました」と評価しています。
かつての日本は環境規制を成長につなげたのです。今、脱炭素を成長につなげるには、速やかに火発や原発から撤退し、再生可能工、ネルギー100%を実現するための支援と規制が求められます。同時に、産業転換した労働者の処遇改善で国内需要を増やすことが必要です。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年2月6日付掲載


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