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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

安倍改憲 自衛隊明記の危険⑦ 改憲先取り「提言」 敵基地攻撃能力を保持

2017-07-26 11:39:15 | 平和・憲法・歴史問題について
安倍改憲 自衛隊明記の危険⑦ 改憲先取り「提言」 敵基地攻撃能力を保持

憲法への自衛隊明記を打ち出した安倍晋三首相の改憲発言に先立つ3月30日、自民党政務調査会は、北朝鮮による相次ぐ核実験やミサイル発射実験に対し、「提言」をまとめ政府に提出しました。提言は、①弾道ミサイル防衛能力強化のための新規アセット(装備)の導入②日本独自の敵基地攻撃能力の保有③排他的経済水域に飛来する弾道ミサイルへの対処を求めるなど、軍事的対応一色の内容です。
敵基地攻撃能力とは、武力攻撃による現実の侵害が発生する前でも、武力攻撃が始まったか「着手」があったといえるときに、相手のミサイル発射基地などを攻撃する能力です。

「直ちに検討を」
提言は「巡航ミサイルをはじめ、わが国としての『敵基地攻撃能力』を保有すべく、政府において直ちに検討を開始する」ことを求めています。小野寺五典元防衛相は、北朝鮮が「日本にある在日米軍基地を攻撃する」と発信したことが、本格的検討のきっかけだと発言しています。
敵基地攻撃能力の保有は、「日本に対する武力攻撃の発生」があるといえるかに加え、敵国領土内へ侵入しての攻撃が許されるかという問題をはらみます。
「座して死を待つのが憲法の趣旨ではない」として、敵基地攻撃は法理(理論)の問題としてはありうるとされてきました。
しかし、先制攻撃との区別は微妙です。また、攻撃的兵器を常時保持することは他国への脅威となりうることや、日米安保体制のもとでこうした攻撃は米軍の活動に期待するという建前で「他に手段がありうる」ことなどから、現実の課題とはされませんでした。
自民党の提言は、具体的検討を直ちに始めよとするもので、「専守防衛」を大きく変える危険があります。



自民党政務調査会提言(3月30日)。弾道ミサイル防衛や敵基地攻撃能力の構築について検討を求めています

全面戦争の危険
提言が保有に言及している「巡航ミサイル」は迎撃用ミサイルではなく、敵国の軍事拠点を破壊する攻撃用ミサイルです。敵国の地形をコンピューターに記憶し、低空飛行でレーダーによる捕捉を避け、目標を一撃で破壊する先端兵器です。攻撃的兵器は保有できないという憲法解釈との矛盾が生じます。「法理上可能」といわれても、現実に実行しようとすれば、深刻な矛盾が生じます。
敵国が日本への攻撃態勢にあることを前提としても、相手にミサイル攻撃をすれば全面戦争に発展する危険があります。
これまで見てきたように、自衛隊の憲法明記で、従来の自衛隊に対する制約は消滅し、攻撃的兵器の保有にも大きく道を開きます。自民党の敵基地攻撃能力保有の主張は、安倍改憲の先取りであり、自衛隊の活動範囲拡大の口実となります。
また、北朝鮮がICBM(大陸間弾道弾)の実験に成功したとされ、米国本土やハワイ・グアムを射程に入れつつある状況のもと、無制限の集団的自衛権の行使への圧力が米側から強まることも予想されます。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年7月21日付掲載


たとえ自衛による反撃とは言え、他国の領土への攻撃が許されるのか。
自衛隊の憲法への明記で、その自衛隊の任務の範囲が拡大される懸念。
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安倍改憲 自衛隊明記の危険⑥ 最低でも戦争法追認 憲法への実質的取り込み

2017-07-25 20:16:04 | 平和・憲法・歴史問題について
安倍改憲 自衛隊明記の危険⑥ 最低でも戦争法追認 憲法への実質的取り込み

安倍晋三首相が、憲法に「自衛隊を明文で書き込む」というとき、その自衛隊は「現在の自衛隊」であり、安保法制闘戦争法(2015年)によって集団的自衛権の行使や、戦闘地域での米軍支援を行うことが可能になった自衛隊です。
公明党の北側一雄副代表は、安倍首相の「憲法に自衛隊を書き込む」という提起に対し、「平和安全法制(安保法制=戦争法)を含めて、憲法の解釈を超えるような改憲であれば、反対です」(5月16日、BS番組)と述べています。

国民批判かわす
北側氏は、憲法に自衛隊を明記することに反対しているのではなく、戦争法を「追認」=合憲化することを明確にしているのです。
これが自衛隊の憲法明記による安倍改憲の最低ラインです。
戦争法に対する「憲法違反」という、いまだにやまない厳しい国民的批判の根拠をなくすものです。憲法への自衛隊明記で、戦争法を超える無制限の武力行使に道を開く危険があることは、見てきた通りです。
安倍首相が、自衛隊明記をめぐり、「『自衛隊が違憲かもしれない』などの議論が生まれる余地をなくす」「9条2項が残り従来の制約は受ける」というとき、戦争法以前の、災害救助や「本土防衛」に取り組む自衛隊の存在を「合憲化」することと意図的にすり替え、「同一視」している節があります。
戦争法は、従来の政府解釈を百八十度転換して集団的自衛権行使を容認したもので、「閣議決定」と法律(戦争法)による憲法の破壊でした。自衛隊明記による戦争法の「合憲化」は、立憲主義破壊の暴挙を、三たび国民を愚弄(ぐろう)して「正当化」することを目指すもの。恐るべき憲法と主権者への挑戦です。



米艦防護に参加した海上自衛艦「いずも」=海上自衛隊公式ウェブサイトから

地球規模で展開
同時に、戦争法は日米新ガイドライン(軍事協力の指針)の具体化、実行法であり、日米同盟強化の最新の到達点です。自衛隊の憲法明記は、戦争法に基づき自衛隊が米軍と地球規模で協力、共同で武力行使する体制を実質的に憲法に組み込むものです。
南スーダンPKO(国連平和維持活動)への自衛隊派兵と「駆け付け警護」など新任務付与、北朝鮮の核・ミサイル危機の中での米艦防護など、戦争法はすでに発動されています。元陸上自衛隊北部方面総監の志方俊之氏は、米艦防護の実施について「平時やグレーゾーン事態における日米協力が実行段階に入った」として「歓迎」。日米共同司令部として「同盟調整メカニズム」が稼働し、自衛隊は実質的に米太平洋軍の指揮下に入って動き始めています。
自衛隊はもともと日米安保体制と一体で、米国による日本の再軍備の要請で創設(1954年)された対米従属の軍隊としての性格を持ちます。しかし、憲法9条とこれを擁護する国民運動によって、自衛隊は海外での武力行使は行わず、日本の防衛と関係のない米国との海外での共同作戦は行わないことになってきました。これを大きく破壊したのが戦争法です。
それを憲法に実質的に取り込む―。日米安保体制のもとで9条に手を付けることの本質的危険があらわれています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年7月19日付掲載


安保法制による自衛隊の活動範囲の拡大。その自衛隊を憲法で追認する事の危険さは計り知れない。
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安倍改憲 自衛隊明記の危険⑤ 「但し」書きなくても 政府解釈の「制約」消滅

2017-07-24 10:40:59 | 平和・憲法・歴史問題について
安倍改憲 自衛隊明記の危険⑤ 「但し」書きなくても 政府解釈の「制約」消滅

日本会議国会議員懇談会の中心メンバーの一人で、安倍晋三首相と盟友関係にある自民党の古屋圭司選対委員長は、首相が9条改憲のビデオメッセージを寄せた5月3日の改憲集会にパネリストとして参加していました。

2項空文化狙う
古屋氏は集会で、首相のビデオメッセージを受け、9条に自衛隊を明記する案として「1項、2項は不変で、3項を、前項の規定にもかかわらず、自衛のための自衛隊をおくことができる」としたいと述べました。
「前項の規定にもかかわらず」とは、「戦力不保持規定(2項)はあるが、その例外として」という意味です。つまり、「戦力」として自衛隊を保有することになり、2項は完全に空文化します。
古屋氏は、かつて日本会議国会議員懇談会の「新憲法制定促進委員会・準備の座長を務めた人物。9条2項空文化の野望丸出しの発言です。
また改憲勢力が自衛隊明記に関連して持ち出している「但し」という表現も、原則に対し例外を表す言葉です。9条2項の「戦力を保持しない」を受けて「但し、自衛隊の保有はこの限りではない」と書けば、自衛隊は「戦力」となります。
このように2項を受けて「にもかかわらず」「但し」と自衛隊規定に書き込むだけで、2項は空文化してしまうのです。
「例外規定」を設けなくても、日本会議国会議員懇談会が3月15日に決定した案のように「国際法に基づく自衛権を行使する組織」というように広範な権限を書き込めば、自衛隊は無制限の集団的自衛権を行使するものとなります。「国際の平和と安全を守る」と自衛隊の任務が書き込まれれば、武力行使を伴う国連の集団安全保障活動はもちろん、国連決議に基づかない有志連合・多国籍軍への参加も可能となります。
憲法に自衛隊を明記する場合、呼称(自衛隊)、組織の性格、任務・権限、さらに最高指揮権、シビリアンコントロールなどが書き込まれることが考えられます。



衆院憲法審査会で発言する自民党の古屋圭司選対委員長

その先保障なし
重要なことは、「但し書き」方式や、任務規定による権限拡大をせずとも、自衛隊が憲法に書き込まれた途端、従来の政府解釈として設けられてきた「制約」が消滅し、無制限な海外での武力行使に道を開くことです。何がどこまで可能となるか、解釈・立法の再編成の検討はすでに始まっているでしょう。自民党関係者の一人は「原案の検討には、内閣法制局も参加する」と語ります。
これに対し、自民党は「9条解釈を1ミリも動かさない」と言います。しかし、これまでの政府解釈上の「制限」をすべて憲法に具体的に書き込むことは難しい。「動かさない」とは、当面は解釈を変えないというだけで、その先に変化しない保障はありません。
民間憲法臨調副代表の西修駒沢大名誉教授は、自衛隊明記の案として「日本国の平和と独立を守り、国の安全を守るため、自衛隊を保持する」(『明日への選択』7月号)と提案しています。
このように正面から自衛権の規定が設けられれば、無制限の集団的自衛権を排除する保障は全くありません。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年7月17日付掲載


「但し書き」方式や、任務規定による権限拡大をせずとも、自衛隊が憲法に書き込まれた途端、従来の政府解釈として設けられてきた「制約」が消滅。
そんなことは許されません。
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安倍改憲 自衛隊明記の危険④ 日本会議発 2項「空文化」 首相との異常な関係示す

2017-07-23 12:39:17 | 平和・憲法・歴史問題について
安倍改憲 自衛隊明記の危険④ 日本会議発 2項「空文化」 首相との異常な関係示す

改憲右翼団体「日本会議」と一心同体の議員連盟「日本会議国会議員懇談会」が3月15日に総会を開き、2017年度の運動方針を決定しました。

国際法に基づく
「憲法改正の優先課題」を確認し、緊急事態条項の創設と並んで、憲法に自衛隊を位置づけることを明記―。「憲法上に明文の根拠を持たない『自衛隊』の存在を、国際法に基づく自衛権を行使する組織として、憲法に位置づける」としました。
憲法への自衛隊明記は、安倍晋三首相が打ち出した9条改憲案そのもの。さらに「国際法に基づく自衛権」とは国連憲章51条の個別的・集団的自衛権の双方を含むものです。自衛隊を「国際法に基づく自衛権」を行使する組織と位置付ければ、無制限の海外での武力行使が可能になります。
一方、日本会議の政策委員で、右派シンクタンク「日本政策研究センター」の伊藤哲夫代表は、同センター機関誌『明日への選択』(16年9月号)で「加憲」を提案。「憲法九条に三項を加え、『但し前項の規定は確立された国際法に基づく自衛のための実力の保持を否定するものではない』といった規定をいれること」を提起していました。日本会議国会議員懇談会の方針とそっくりの内容です。
伊藤氏は、第1次安倍政権のときから安倍首相の“ブレーン”として寄り添ってきました。安倍首相自身も日本会議国会議員懇談会の副幹事長など役員を歴任した間柄です。
さらに『明日への選択』(同11月号)で、同センター研究部の小坂実部長は、中国や北朝鮮などの“脅威”を強調し、自衛隊の能力を制限する9条2項は「障害物」だと明言。「速やかに九条二項を削除するか、あるいは自衛隊を明記した第三項を加えて二項を空文化させるべきである」と述べています。9条に3項を加え、自衛隊を位置づける狙いが、9条2項の空文化=死文化にあることをあけすけに語っているのです。



『明日への選択』昨年の11月号に掲載された小坂実日本政策研究センター研究部長の文章

国民の警戒緩和
自衛隊違憲論の「生まれる余地をなくす」などという安倍首相の言い分は、自民党憲法改正推進本部所属議員の1人がいうように「国民の警戒を緩和する」、レトリック(修辞)にすぎません。
安倍首相が突然持ち出した自衛隊明記の「加憲」論は、日本会議系の民間憲法臨調が開いた改憲集会へのビデオメッセージで示され嚢ました。その発信源は日本会議自身です。自民党には自民党改憲案がありますが、党総裁がこれを無視し、日本会議のシナリオを党総裁の方針として日本会議系集会で報告する―。安倍首相と日本会議の異常な関係を示すものです。
安倍改憲提案を受け、伊藤氏は6月30日、「安倍提案を支持し、実現を求める3つの理由」という論文を発表し、「この9条『加憲』は単なる現状追認には終わらない」と強調。自衛隊が軍隊ではないという現状が維持されるのは遺憾だとしつつ、「自衛隊の『地位』は大きく変わる」とうそぶいています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年7月16日付掲載


自民党の改憲案でも9条2項を削除するって言ってますが、それをさておいて、日本会議の改憲案を持ち出す。
内容は同じじゃないかと言ってしまえば、それまでですが、党よりも日本会議を優先する異常さ。
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安倍改憲 自衛隊明記の危険③ 「専守防衛」の原則も緩和 「戦力不保持」規定が「空文化」

2017-07-22 17:51:15 | 平和・憲法・歴史問題について
安倍改憲 自衛隊明記の危険③ 「専守防衛」の原則も緩和 「戦力不保持」規定が「空文化」

自衛隊が憲法に明記されることで、自衛隊の活動範囲をめぐる解釈・立法は全面的に再編成され、無制限の武力行使に道を開きます。
現行の9条2項の戦力不保持規定が残っても、憲法が「軍事力(自衛隊)で防衛をする」と定めれば、軍法や軍法会議を整備する根拠ができます。集団的自衛権の行使の議論の可能性が出てくるし、さらに「専守防衛」=守りに徹するという原則も緩和されます。



自衛隊が保有するヘリ空母ひゅうが(海上自衛隊HPから)

“何でも可能に”
専守防衛とは、日本への攻撃に対する反撃に際し、敵国領土内まで追撃したり、相手国を降伏させ占領行政を行ったりはできないなどとする、抑制的な防衛原則です。
斎藤隆元統合幕僚長は「読売」5月30日付インタビューで、「『戦力不保持』との関連性を重視するあまり、極端な専守防衛論議が蒸し返されるようなことは絶対に避けなければならない」として、航空機の航続距離を長くすることへの批判は的外れで、空中給油も許容すべきとの主張も行っています。
改憲右翼団体「日本会議」政策委員で安倍晋三首相のブレーンの一人でもある胆藤哲夫氏らも、「憲法によって自衛隊の活動が不必要に制約される状況を放置してよいはずもない」「自衛隊が憲法に明記されず、法的には九条二項に反しないような解釈にのみ根拠づけられていることに問題の根源がある」(共著『これがわれらの憲法改正提案だ 護憲派よ、それでも憲法改正に反対か?』)としています。
伊藤氏の共著は、「不必要な制約」の例の一つとして「(防衛の戦闘)現場での臨機応変の対応が難しく、逆に自衛隊員を不要な危険にさらす」ことをあげ、いちいちの法的権限なしに「柔軟な」戦闘を可能にするよう求めています。
いわゆるポジティブリストのネガティブリスト化(できる行為のみを法律に定めるのではなく、禁止行為以外は何でもできるようにする)を可能とする主張です。自衛隊が従来の次元を超え、活動範囲を広げる可能性があることを意識的に追求するものです。
自衛隊に対する制約は、憲法の下にあるからこそ認められるもの。憲法が自衛隊という「軍事力による防衛」を認めた途端、防衛活動に対する従来の規制は、全面的見直しに道を開きます。

9条2項と矛盾
石破茂元防衛相は6月27日付「読売」インタビューで、自衛隊が憲法に明記されることについて「どう書こうと、9条2項の『陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない』とは矛盾し、むしろ2項を空文化させる」と指摘。「近代戦争遂行能力を備えた自衛隊が『戦力』に至らないといわれても、普通の人はまず理解できない。国際社会から見れば軍隊だ。首相の案は、国民が『おかしいよね』と思っていることを憲法で固定する」とし、「そうではない書き方があるなら教えてほしい」と述べています。
「空文化」とは、憲法の規定が無意味で規制する力のないものになってしまうことです。実態的には“戦力”である自衛隊が憲法上の存在になれば「戦力不保持」規定の意味はなくなり、自衛隊に対する規制も及ばなくなるという指摘です。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年7月15日付掲載


石破さんは軍事オタクだけれども、専守防衛はわきまえている。
「禁止行為以外は何でもできるようにする」って、かなり怖い事。
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