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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

安倍改憲 自衛隊明記の危険② 従来の解釈上の「制約」消滅 無制限の武力行使に道開く

2017-07-21 15:15:33 | 平和・憲法・歴史問題について
安倍改憲 自衛隊明記の危険② 従来の解釈上の「制約」消滅 無制限の武力行使に道開く

イラク特措法で自衛隊イラク派兵の先遣隊長を務めた佐藤正久参院議員(自民党)は、「『憲法違反』と言われることは当然、自衛官の胸に突き刺さりますよ。
自衛隊を憲法に明記することで『違憲かもしれない』と言われなくなるだけでも意義は大きい」「自衛官が誇りを持って任務を遂行できる環境を」と語っています(「産経」7月1日付)。

活動範囲に変化
安倍首相は5月3日の改憲派の集会へのメッセージで「『自衛隊が違憲かもしれない』などの議論が生まれる余地をなくすべきである」と述べていました。
自衛隊の「合憲化」それ自体に意義があり、自衛隊員の「誇り」のための改憲1。自衛隊の活動範囲に影響はないという「印象」を与えています。
これに対し、自衛隊の憲法明記によって、自衛隊の組織の性格や活動範囲に大きな変化が生じることを明確に意識した発言があります。
元自衛隊統合幕僚長の斎藤隆氏は「読売」5月30日付インタビューで、次のようにのべています。
「2項が維持されれば、自衛隊は『陸海空軍』とは切り離された特殊な存在であり続ける可能性はある」が、「根拠規定が明記され、合憲と整理された後に、軍隊とは何か、自衛隊とどう違うのかなどのかみ合った議論につながっていくのではないか。軍事法廷の要否、戦死者の問題、本格的な集団的自衛権に踏み込むべきか否かなどの論点もある」
憲法が「軍事による平和」という立場に立てば、自衛隊と軍隊との関係が正面から議論の対象となり、軍法会議の必要性や、戦死者の国家的追悼の問題に加え、本格的な集団的自衛権行使に踏み込む可能性すらあるというのです。
海外での武力行使の禁止など、従来の自衛隊に対する「諸制約」は、自衛隊が憲法の下にあり、9条2項の「戦力不保持」規定に違反するという批判にこたえ合憲性を担保するため、国会での政府答弁などを通じて形成されてきたものです。



米空母カールビンソンなどが参加した日米共同巡航訓練(4月28日、航空自衛隊提供)

まさに独り歩き
自衛隊の存在が憲法に明記されれば、自衛隊の合憲性をめぐる論争は消失し、従来の解釈上の「制約」の存在意義も消滅します。自衛隊は、従来の「制約」から解き放たれ、まさに独り歩きがはじまります。無制限の武力行使に道を開くのです。
「自衛隊の追認」どころか、全く次元の異なる“大変革”です。
自民党憲法改正推進本部の保岡興治本部長は「9条の政府解釈を1ミリも動かさない」と述べますが、同本部所属議員の一人は、「自衛隊の権限や活動範囲について解釈がどのくらい変化するかはまだわからない。その変化を最小限に止める方向だ」と語ります。
「変化は起こる」、しかし「動かさない」―。自衛隊が憲法に明記されることで、自衛隊の活動範囲に関する解釈の全面的再編成に道が開かれます。変化の可能性を憲法上封ずるというのか、単に解釈として「動かさない」というにとどまるのか、不明です。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年7月14日付掲載


自衛隊の存在が憲法に明記されれば、自衛隊の合憲性をめぐる論争は消失。
「自衛隊の追認」どころか、全く次元の異なる“大変革”。

安倍改憲 自衛隊明記の危険① 政府解釈「1ミリも動かさない」? 憲法の性格 根本的に変化

2017-07-20 20:56:19 | 平和・憲法・歴史問題について
安倍改憲 自衛隊明記の危険① 政府解釈「1ミリも動かさない」? 憲法の性格 根本的に変化

安倍晋三首相は、「9条1項、2項を残しつつ、明文で自衛隊を書き込む」との9条改憲案を提示し、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と期限まで区切りました(5月3日、「読売」インタビュー、改憲派集会へのビデオメッセージ)。その後も矢継ぎ早に、改憲スケジュールや議論の進行ペースを速め、東京都議選(2日投開票)で大惨敗の審判を受けても、秋の臨時国会に改憲案を提出する方針は「変わっていない」と断言しています。自衛隊を憲法に明記する安倍9条改憲の危険について考えます。

自民党憲法改正推進本部が6月12日に開いた会合の冒頭、保岡興治本部長・衆」院議員はあいさつで「われ・われは改憲の一つの大きな項目として、9条の政府解釈をー。ゾも動かさないで自衛隊を明確に位置づける」と発言しました。
「9条の政府解釈を1ミリも動かさない」とは意味深長です。自衛隊を憲法に明記しても9条の解釈は「変わらない」とは言っていません。「変化の可能性はある」が「動かさない」という姿勢を示したものと読み取れます。




「憲法上の制約」
9条改憲提案の1週間後の参院予算委員会(5月9日)で安倍首相は、日本共産党の小池晃書記局長の質問に対し「1項、2項を残すということでありますから、当然今まで受けている憲法上の制約は受けるわけです」と述べています。
「今まで受けている憲法上の制約」とは何か。自衛隊は「戦力」ではなく「自衛のための必要最小限度の実力」であり、「専守防衛」に徹し、集団的自衛権の行使、武力行使を伴う国連の集団安全保障活動への参加、海外での武力行使は、憲法上許されないというものです。その装備面への反映として、戦略爆撃機や航空母艦など、攻撃的兵器は保有しないとされてきました。保岡氏のいう「9条の政府解釈」とはこうした内容です。
安倍政権は、集団的自衛権の行使等をめぐって、「解釈変更」と戦争法で解禁するという立憲主義破壊の暴挙を強行しました(14年の「閣議決定」、15年の安保法制=戦争法)。それでも、建前上は無制限な集団的自衛権は行使できないとされています。また日本に対する武力攻撃への反撃=個別自衛をめぐっても、「専守防衛」の原則は維持するとしています。
憲法に自衛隊を明記しても、これらの制約を「動かさない」「維持する」というが、本当か―。

「軍事価値」承認
憲法上、自衛隊の活動範囲が変わるかどうかを考えるとき、まず重大なことは、自衛隊が憲法に明記されれば、日本国憲法の性格が根本的に変化することです。
2項の「戦力不保持」規定は世界でも類いまれな「武力なき平和」の理念を掲げたもので、軍事的価値を一切認めないものです。
これに対し、自衛隊を憲法に書き込めば、「武力による平和(自衛)」の理念に大きく転換します。軍事的価値が憲法によって承認され、自衛隊の存在は全く異なる「重み」をもつからです。軍事による人権制約の可能性も公然化し、秘密保護法などへの憲法上の根拠がもたらされます。
自衛隊の憲法明記は、9条破壊の宣言そのものにほかなりません。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年7月13日付掲載


自衛隊が憲法に書きこまれれば、軍事的価値が憲法によって承認される。価値観が180度転換される。

校閲の目 盛り土 「盛り土がなかった」

2017-07-18 15:09:28 | 政治・社会問題について
校閲の目 盛り土 「盛り土がなかった」



―昨年、共産党東京都議団が豊洲市場の地下空間を発見し、流行語になった「盛り土」。今ではほとんどの方が「もりど」と読むでしょう。
当初、私は「もりつち」だと思っていました。国語辞書でも見出し語はほとんどが「もりつち」です。ところが、テレビでは「もりど」と言っていました。
NHKの『ことばのハンドブック』によると「ニュースや一般番組では、〔モリツチ〕と言う」としていますが、「土木関係などの専門番組では、〔モリド〕と言ってもよい」と解説。専門用語が一般化したようです。
なお公文書では「盛土」と送りが入りませんが「セイド」とは読みません。




ところで「盛る」という言葉はこれまでは「ご飯を盛る」とか「毒を盛る」のように使いました。それが最近では、大げさに言う意味で「彼は話を盛っている」、髪をボリュームたっぷりに見せることを「髪を盛る」などと使います。これらは三省堂国語辞典第7版から俗語として採用されました。
さらにスマホの普及により写真画像を加工してきれいに見せることも「写真を盛る」のように使われています。
安倍政権を追及する共産党には話を盛る必要はありませんが、都議選につづき総選挙では野党共闘で議席を大盛りにしたい。(河邑哲也)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年7月12日付掲載


「しんぶん赤旗」日曜版の記事では、「土は盛らずに、建設費盛った」というコピーが、流行りましたね。

核兵器禁止条約と世界そして日本⑤ 完全廃絶めざして

2017-07-16 14:59:23 | 平和・憲法・歴史問題について
核兵器禁止条約と世界そして日本⑤ 完全廃絶めざして

「ここまできたんだ」。横浜市内の自宅でパソコン画面を見つめる被爆者の和田征子(まさこ)さん(73)は、涙を抑えられませんでした。7日深夜、国連本部の電光掲示板に表示された「賛成122、反対1、棄権1」。核兵器禁止条約が採択された瞬間でした。
被爆者を先頭に原水爆禁止運動が長年にわたって訴え続けてきた「核兵器の非人道性」が国際社会の共通認識となり、核兵器に「悪の烙印(らくいん)」を押す歴史的な条約となって実現したのです。



被爆者が横断幕を持ち、先頭を歩いた「核兵器なくそう!6・17おりつるパレード」=6月17日、東京都新宿区

続けられてきた原水爆禁止運動
条約前文には「ヒバクシャ」という言葉が2カ所使われ、核兵器の犠牲者となっただけでなく、「核兵器のない世界」をつくるクリエーター(創造者)だと明記されました。
未曽有の惨禍を被ったにもかかわらず、被爆者は、米軍占領下で、被爆の実相を語ることも許されず、まともな医療を受けることもなく亡くなっていきました。それでも、被爆者と国民は屈しませんでした。
1954年3月1日のビキニ事件を契機に、原水爆禁止署名運動が国民的な規模に発展し、3千万人を突破。55年8月、第1回原水爆禁止世界大会が広島で開催されました。
同年9月、原水爆禁止日本協議会(日本原水協)が結成され、56年8月には日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が結成されました。
それ以降、85年からの「ヒロシマ・ナガサキからのアピール」署名をはじめ、核兵器廃絶を求める署名運動、国民平和大行進など、草の根の一人ひとりが核兵器廃絶を求める声と行動を日本と世界に広げてきたのです。
日本被団協顧問の岩佐幹三(みきぞう)さん(88)は、核兵器禁止条約の採択を、「母や妹をはじめ、原爆で亡くなっていった人の死が、むだでなかったということを明らかにしてくれた」と喜びつつ、「彼らの名誉が本当に回復されるのは、核兵器がなくなり、人類が死滅の危機から脱却したときだ」と語りました。

「三つの力」を合わせることが
核兵器の完全廃絶にすすむうえで、禁止条約そのものが持つ力と、条約をつくりあげた各国政府と市民社会の力、核保有国と同盟国で禁止条約に参加を求める運動という「三つの力」を合わせることが重要になっています。
2016年4月に内外の被爆者がよびかけた「ヒバクシャ国際署名」が、幅広い団体でつくる同署名連絡会によって全世界で取り組まれています。
長崎で被爆した、日本被団協の田中煕巳代表委員(85)はいいます。「世界で数億人の署名を集め、核兵器禁止条約に背をむけている、核兵器保有国と、日本など同盟国の政府の姿勢を変えよう」
(おわり)(この連載は、池田晋、遠藤誠二、桑野白馬、原田浩一朗が担当しました)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年7月14日付掲載


「ヒバクシャ」は「核兵器のない世界」をつくる「創造者」なんだ。
地道な活動が報われましたね。

核兵器禁止条約と世界そして日本④ 廃絶掲げた党の貢献

2017-07-15 16:36:17 | 平和・憲法・歴史問題について
核兵器禁止条約と世界そして日本④ 廃絶掲げた党の貢献

7日午前(米国東部時間)。歴史的な核兵器禁止条約が圧倒的多数で採択されたニューヨーク国連本部の第1会議場では、日本共産党の志位和夫委員長が右手こぶしをあげ、うれしさのあまり立ち上がった市民社会代表とともに喜びを分かち合いました。
条約採択の会合後、志位氏はホワイト議長に駆け寄り会議の成功をたたえました。ホワイト議長は満面の笑みを浮かべ「第1会期、第2会期とも会議に参加してくれ感謝します」とこたえました。
志位委員長らは3月下旬の国連会議第1会期で、ホワイト議長をはじめ、各国代表団に党の考えを示した要請文を渡して積極的な「ロビー活動」を展開しました。要請したポイントは核兵器保有国の参加を追求しつつ、それが得られなくても核兵器を禁止する条約制定に向け前進しよう、条約の内容は核廃絶の詳細な手続きを定めるものではなく、まず禁止条約を一致できるところで作成し、核廃絶への第一歩を踏み出そうというものでした。



条約採択を受けて、ホワイト議長(左端)と握手する志位委員長=7月7日、国連本部(遠藤誠二撮影)

政府のかわりに「声をアピール」
第1会期3日目には、志位氏が「市民社会」代表として演説(ステートメント)。「日本政府のかわりに日本の声をアピールした」(オランダ反核NGO「パックス・クリスティ」メンバー)などと評価されるなど、政府不在のなかで存在感を示しました。
日本共産党は戦後一貫して、被団協、原水協とともに、核戦争阻止、核兵器禁止・廃絶、被爆者援護の三大課題を掲げて奮闘してきました。
原水爆禁止運動では、外国の干渉などで困難に直面した時期も、運動の大義を守り抜き、原水爆禁止世界大会の成功に力を尽くしてきました。
日本共産党は「核戦争の脅威を根絶するためには核兵器の廃絶にかわる代案はない」と指摘し、核兵器廃絶を重要課題と掲げる綱領をもつ日本で唯一の政党です。

各国議会批准へ国会議員の役割
5月22日に発表された条約案の前文は、「人道の諸原則を推進するための市民的良心の役割を強調」したうえで、国連、国際赤十字、非政府組織、ヒバクシャの取り組みを認識することが明記されていました。会議での議論を経て、7日に採択された条約の前文はこれら個人・組織に、「学術研究者」「宗教指導者」とともに「国会議員」が加わりました。
核保有国や同盟国を含め、各国が条約を署名した後には、おのおのの議会で批准する必要があります。核兵器禁止条約を実効あるものにするには、今後、議会、議員、政党の役割は小さくありません。
7日、国連内で会見を開いた志位氏は報道陣に抱負を語りました。
「日本の政治を変え、この条約を調印できるような新しい政府をつくる、この条約を批准できるような議会をつくる、そういう道も追求したい」
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年7月13日付掲載


核兵器禁止条約の中身を充実させるうえで、力を発揮した日本共産党。こんどは、日本が調印して、議会で批准できるように奮闘する。