きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

朝鮮半島の激動と北東アジアの平和④ 戦争の危機 「すべてをかけ防ぐ」

2018-08-23 11:36:27 | 国際政治
朝鮮半島の激動と北東アジアの平和④ 戦争の危機 「すべてをかけ防ぐ」
今年2月初め、米国の次期駐韓大使に内定していたビクター・チャ氏はワシントン・ポスト紙に寄稿し、政権内で北朝鮮へのピンポイント攻撃=Bloody・Nose(鼻血作戦)が計画されていると告発。へーゲル元米国防長官は、同時期に軍事情報専門サイト「ディフェンスニュース」のインタビューで、政権内で検討されているとされる北への軍事攻撃について、報復がないと考えるなら「無謀な賭けだ」とし、「韓国で数百万の死者が出て、数万人の米国人も犠牲になる。大惨事もなく日本も切り抜けることはない」と強く警告しました。チャ氏の大使内定は取り消され、太平洋軍のハリス司令官が駐韓大使に決まりました。


米の軍事作戦を告発したビクター・チャ氏の寄稿文を掲載したワシントン・ポスト紙電子版より

2500万人影響
米国の議会調査局(CRS)は昨年10月末の報告書「北朝鮮の核の挑戦―軍事的選択肢と議会の論点」で、次のような分析結果を示していました。北朝鮮が1分間に1万発の砲弾をソウルに撃ちこめるとすれば、通常兵器だけでも戦闘開始から数日で3万~30万人が死亡し、戦闘開始から数時間で数十万人の韓国国民が死亡し、米国民10万人(または50万人)を含め南北で2500万人以上に影響が及ぶ。
一方、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は年初から北朝鮮との対話の道を追求。平昌冬季五輪開会式に北朝鮮高官を招待し、金永南(キムヨンナム)最高人民会議常任委員長や金正恩(キムジョンウン)氏の妹・金与正(キムヨジョン)氏らとの面会を実現し、南北首脳会談の開催とともに米朝首脳の直接対話を促しました。南北の接近・対話路線の強まりに世界中が注目しました。
このとき安倍晋三首相は、平昌五輪・パラリンピック期間中延期となった米韓合同軍事演習について、五輪終了後は「予定通り実施することが重要だ」と発言しました。これに対し文大統領は「これはわれわれの主権・内政に関連した問題だ」と不快感を示しました。

何もできず
日本の元外務省高官は「昨年から今年にかけて戦争の一歩手前までいった。意図がなくても計算違いで戦争が始まる非常に危険な状態だった」と指摘。「圧力の先に何が起こるか、戦争か交渉かの二つだ。戦争になれば、北は滅亡するがその時日本に向かって撃つ。ミサイルに核を載せれば大惨害が起きる。そんな戦争を起こさせてはならない、それが日本の総理に課せられた責任であり安全保障の根本だ。圧力の先に交渉があるとして動くべきだった。ところが何もできなかった」。元高官は憤然とした表情を見せました。
戦争回避―。南北、米朝会談で当面の重大な危機が回避されたのです。
文大統領は昨年8月15日の演説で次のように決意を語っていました。「二度と戦争はあってはならない。すべてをかけて戦争だけは防ぐ」(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年8月18日付掲載


「北と南の軍事衝突が起これば数百万の死傷者が出る」という指摘。それだけは防がないといけないと対話へ舵を切る。
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朝鮮半島の激動と北東アジアの平和③ 世界史的転換 新しい可能性を前に

2018-08-22 10:20:37 | 国際政治
朝鮮半島の激動と北東アジアの平和③ 世界史的転換 新しい可能性を前に
「今必要なのは、新しい可能性を前に進めること。その可能性はまだ小さいが、その意味はとても大きい」。在京の韓国メディアの関係者の一人はこう述べます。

交渉に貢献
7月29日に都内で開かれた原水爆禁止2018年世界大会・科学者集会で基調報告した和田春樹東京大学名誉教授は、朝鮮戦争以降の軍事対立の歴史を振り返ったうえで、現在の米朝協議の歴史的意味を強調しました。和田氏は「朝鮮半島の完全な非核化は朝鮮半島の完全な平和と切り離すことはできず、単に(北の)非核化にとどまらない」として、米韓合同演習、在韓米軍問題、在日米軍の問題などに影響を与えると指摘。そのうえで「非常に難しい交渉だが失敗は許されない。そして成功すれば東北アジア世界を決定的に変えることになる。だからこの地域の全ての国家がこの交渉に参加し、これを助け、貢献しなければならず、これを傍観することは許されない。特に日本の責任は大きい」と力を込めました。
米朝共同声明にうたわれた完全非核化の「対価」とされる北朝鮮の「安全の保証」は、北朝鮮の国家承認、戦争状態の終結につながります。戦争状態の終結は、韓国に駐留する国連軍、在韓米軍の存在意義にかかわり、北朝鮮有事への対応を中心任務とする在日米軍と日米同盟体制にも影響をもたらします。まさに北東アジアの軍事的対立構造を平和のルールに置き換える世界史的転換の可能性があるのです。



原水爆禁止2018年世界大会・科学者集会で報告した日韓の研究者ら=都内、7月29日

米軍撤退へ
トランプ米大統領は米朝首脳会談後の記者会見で、3万2000人の在韓米軍を「将来、本国に戻したい」と発言し衝撃が走りました。4月末の南北会談直後、韓国の大統領特別補佐官が米外交雑誌への寄稿で「米国が平和条約にサインしたら、在韓米軍の存在を正当化するのは難しくなる」として物議をかもしました。
文在寅(ムンジェイン)政権は打ち消していますが、日米同盟派の安保研究者の一人は、「在韓米軍撤退はもともと米政権内にある議論。今の流れで出てきても不思議はない。韓国政府高官の発言を米韓当局が関知しないわけがない」と“警戒感”を示します。
元外務省国際情報局長の孫崎享氏は、「トランプ大統領は、『交渉が順調に進む間は軍事演習はしない、挑発的だ』という姿勢だ。11月の中間選挙が終わればすぐ次の大統領選挙の動きとなる。この期間は平和のプロセスを進める大きなチャンス」と指摘。韓国がASEANと協力を進める動きを高く評価しつつ、「南北がどんどん和平の動きを世界に示すことは、懐疑的な内外世論を動かす力となる。日本としては、北朝鮮との国交正常化交渉を進めることが重要だ」と語ります。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年8月17日付掲載


「在韓米軍を将来、本国に戻す」―。トランプ大統領らしい突拍子のないような発言ですが…。
平和条約が結ばれた後は、あながちないこともないかもしれません。まさに新しい可能性なのです。
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朝鮮半島の激動と北東アジアの平和② 始まった平和プロセス 「膠着」打開へ南北動く

2018-08-21 17:39:29 | 国際政治
朝鮮半島の激動と北東アジアの平和② 始まった平和プロセス 「膠着」打開へ南北動く
平和プロセスは始まったばかり。困難も曲折も予想されます。
7月初めにポンペオ米国務長官が訪朝して米朝高官級協議が行われました。協議の内容は明らかにされていませんが、核廃棄の実行を迫る米国と経済制裁の緩和や朝鮮戦争終結の政治宣言の早期履行を求める北朝鮮側との間で膠着状態になっていると報じられています。終戦宣言の年内履行は、南北間の板門店宣言に明記されています。
こうした中、北朝鮮が唯一参加する多国間対話の枠組みであるASEAN(東南アジア諸国連合)地域フォーラム(ARF)外相会議が4日にシンガポールで開催されました。会合には韓国の康京和(カンギョンファ)、北朝鮮の李容浩(リヨンホ)、米国のポンペオの3外相が参加。南北米3力国外相会談が実現するかどうかが注目されましたが、実現しませんでした。



8月13日、板門店の北朝鮮側施設「統一閣」で開かれた南北閣僚級会談で握手する北朝鮮の李善権・祖国平和統一委員会委員長(左)と韓国の趙明均統一相(AFP時事)」

国際的注目
日本の元外務省高官の一人は「終戦宣言が出ても平和条約に至るかは非核化の実行にかかっており決定的な意味はない。米国は、政治宣言が制裁緩和に利用されることを嫌っている」と語ります。
他方、同会合で北朝鮮の李外相は「朝米共同声明を誠意と責任をもって履行する決意を堅持している」と表明。また参加各国が、李外相との会談を希望し、次々と会談が開かれるなど、平和プロセスの開始への国際的注目の強さを示しました。
13日には南北の高官級協議が急きょ行われ、9月に韓国の文在寅大統領が訪朝し今年3回目となる南北首脳会談の開催が決まりました。また文大統領は15日の演説で「北朝鮮の完全な非核化履行、それに相応する米国の包括的な措置が迅速に推進されるよう願う」とのべ、米朝の歩み寄りを促しました。「膠着」状態打開に向け南北の積極的な動きが続きます。ポンペオ米国務長官の再訪朝準備も報じられています。

非核化の道
7月29日に都内で開かれた原水爆禁止2018年世界大会・科学者集会で発言した韓国キョレハナ平和研究センターの李俊揆(イジュンギュ)研究員は、「北に核を放棄させるためには、もっと米国の方が体制安全保証の方法を提示すべきだ」と強調。韓国政府が9月の国連総会での終戦宣言を目指す報道があると紹介し、「韓米日の核同盟が北を囲んでいる情勢をどう変えるのかのロードマップを北に示しながら北に対し非核化のタイムラインを要求するのが基本」だと述べました。北朝鮮は北東部・豊渓里(プンゲリ)の核施設の一部を爆破し、東倉里(トンチャンリ)のミサイル実験場を解体するなどの措置をとっています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年8月16日付掲載


朝鮮半島の非核化と平和条約、朝鮮戦争の終結を並行して進めていくことが大事。
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朝鮮半島の激動と北東アジアの平和① 南北、米朝会談 「歴史の方向変えた」

2018-08-20 08:46:39 | 国際政治
朝鮮半島の激動と北東アジアの平和① 南北、米朝会談 「歴史の方向変えた」
「南北間の『板門店宣言』と米朝首脳会談を通じて、南・北・米の首脳は歴史の方向を変えた」
米朝首脳会談から1カ月後の7月13日。韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領はシンガポールで行った講演でこう述べ、「南北関係の正常化は米朝関係の正常化につながり、日朝関係の正常化につながる。日朝関係の正常化は、朝鮮半島の平和と北東アジアの平和と安定に大きく寄与する」と強調しました。シンガポールは歴史的な米朝首脳会談の開催地です。



南北アジア研究所で演説する韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領=7月13日、シンガポール(ロイター)

歴史的地点
米朝首脳会談から2カ月が経過した現在、米韓合同軍事演習は中止され、7月6~7日にはポンペオ米国務長官が訪朝して非核化合意の具体化に向けた高官級協議が始まりました。朝鮮戦争で戦死した米兵遺骨の返還も行われ、式典が在韓米軍基地内やハワイで行われました。(1日)
北朝鮮に対する経済制裁は維持されていますが、南北間では戦争での離散家族の面会事業や鉄道の連結事業もはじまり、韓国のテレビ局JTBCが北朝鮮に支局を開設する動きも進んでいると報じられています。
9月には今年3回目の南北首脳会談が開かれます。
こうした現状をどう見るのか。7月26日、日本記者クラブで講演した韓国の保守系シンクタンク・世宗(セジョン)研究所の陳昌洙(カンチャンス)日本所長は、「韓国政府は(米朝)首脳が会ったこと自体がこれからの平和プロセスに入る歴史的地点だと考えています。いまの焦点は朝鮮戦争の終戦宣言。9月の国連総会でできればいいと思っているが、時期は不透明です」と解説しました。
一方で、「本当に非核化が進むのか。日本や米国では悲観的な見方が強い」ことを認めつつ、「楽観的な立場も悲観的な立場もいまだ存在するが、冷戦時代から新冷戦時代に移るのはもう無理だ」「互いが信じることができれば、そこで協力し、お互いが利益を得ることがいい。一番いいのは、韓半島が平和体制を保って、そこから北東アジアの新しいルールを日本と韓国が一緒になってつくることだ」と力説しました。



共同声明を記者団に見せるトランプ米大統領(右)と金正恩・北朝鮮国務委員長=6月13日、シンガポール(ロイター)

地域全体に
日本共産党の志位和夫委員長は同11日の日本共産党創立96周年記念講演会で、米朝、南北会談を受けて始まった平和のプロセスの進展で「北朝鮮の脅威」を口実に進められた「戦争する国づくり」は根拠を失うと強調。そのうえで平和のプロセスがある程度進展したときに「北東アジア地域全体の平和体制をどうするか―この地域の多国間の安全保障メカニズムをどう構築するか」が問題になるとし、日本共産党がASEAN(東南アジア諸国連合)の経験と実践に学んで打ちだした「北東アジア平和協力構想」を紹介しました。
その核心は、紛争を話し合いで解決することを定めた,TAC(東南アジア友好協力条約)の北東アジア版を地域に広げ、北東アジアに平和の共同体を実現することにあります。


韓国、ASEANを重視
ASEAN(東南アジア諸国連合)は、紛争を武力で解決しないというTAC(東南アジア友好協力条約)を中心に、対話による平和外交を実践し、平和の地域共同体づくりで成果を上げてきました。


東南アジア研究所で演説後、シンガポール人のテオ副首相と壇上に並ぶ韓国の文在寅大統領=8月13日、シンガポール(ロイター)

いま韓国も安保外交面でASEANとの関係強化を強調しています。文在寅大統領は、7月13日のシンガポールでの講演後の質疑で「ASEANとの関係を韓国周辺の米中日露の周辺4大国レベルに格上げする」と強調。その中で「韓国とASEANの関係を経済的観点だけから見ていない」「外交・安保など全分野で協力を高めていく」と述べ、昨年来の「新南方政策」を改めて強調しました。
韓国がいまASEANとの協ASEAN(東南アジア諸国連合)は、紛争を武力で解決しないというTAC(東南アジア友好協力条約)を中心に、対話による平和外交を実践し、平和の地域共同体づくりで成果を上げてきました。
いま韓国も安保外交面でASEANとの関係強化を強調しています。文在寅大統領は、7月13日のシンガポールでの講演後の質疑で「ASEANとの関係を韓国周辺の米中日露の周辺4大国レベルに格上げする」と強調。その中で「韓国とASEANの関係を経済的観点だけから見ていない」「外交・安保など全分野で協力を高めていく」と述べ、昨年来の「新南方政策」を改めて強調しました。
韓国がいまASEANとの協力重視を打ち出した背景に何があるのか。
韓国の建国大学の金容民(キム・ヨンミン)助教授は、「ASEAN重視については、現在の重要性、未来の可能性、(大国との関係だけでない)外交の多変化が言われている。特にASEANで政治安保共同体の設立を目指し、北朝鮮との平和に積極的に利用しょういう考えがある」と指摘。「今までの北との話し合いと違い、経済的メリットを北に与えないと真の平和は達成できないというのが文政権の中心的な考えだ」と語ります。

開始された平和のプロセス―この歴史的事業が成功したら北東アジアと日本の情勢にどんな展望が開かれるのかを探っていきます。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年8月15日付掲載


この間の朝鮮半島をめぐる核戦争の緊張緩和に、韓国の果たした役割は大きいのですね。
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資本主義の病巣 君臨するアマゾン⑪ たたかう欧州労働者

2018-08-19 12:48:39 | 経済・産業・中小企業対策など
資本主義の病巣 君臨するアマゾン⑪ たたかう欧州労働者
「世界最悪の経営者」をインターネットで検索します。一人の人物が上位にずらりと並んで表示されます。ネット通販大手アマゾンの最高経営責任者(CEO)ジェフ・ベゾス氏。
国際的なアンケート調査(2014年5月)で「最悪の経営者」に選ばれたのがベゾス氏だったからです。
調査を実施したのは1億8千万人が加盟する国際労働組合総連合(ITUC)でした。労働者の権利の侵害などを理由に2万以上の票が9人の経営者に投じられました。ベゾス氏は得票率22・7%でトップになりました。

「非人間性」告発
結果発表に際してIT UCは強調しました。税逃れと劣悪な労働条件の最前線を走るのがアマゾンだ、と。
「倉庫労働者は1日に24キロメートルも歩く。施設の外には常に救急車が待機している。労働者を収容するためだ」
アマゾンの「非人間性」を、ITUCのシャラン・バロー書記長は告発しました。
「物流センターで働く労働者はデジタル機器を装着させられる。その人のすべての動きを監視する端末を搭載した機器だ。休憩時間や作業速度が同意なしに決められ、いじめやハラスメントの文化がまん延している。他人と話したり、立ち止まって一息ついたりしただけで叱責される」
「ドイツで操業するアマゾンは労働者をロボットのように扱う」
「ベゾス氏は米国企業モデルを推進する雇用者の非人間性を象徴している」
欧州の労働者と市民はアマゾンを相手に息の長いたたかいを繰り広げています。求めているのは労働条件の改善や公正な納税です。
ドイツの統一サービス労働組合(ベルディ)はアマゾンに労働協約の締結を迫っています。労働者の使い捨てをやめ、健康を守るよう訴えてストライキも実施してきました。市民は「メイク・アマゾン・ペイ(アマゾンに支払わせよう)」という団体を設立。正当な賃金や税金の支払いを求め、労組とともに行動してきました。
7月にはスペインの労組が低賃金や病休保障の欠如をめぐって3日間のストライキを実施しました。アマゾンが「プライムデー」と呼ぶ安売り期間に合わせた行動でした。他の欧州諸国にも連帯行動が広がりました。ドイツでは6カ所の物流センターでベルディがストライキを実施。ポーランドでは最低限の仕事しかしない「順法闘争」が行われました。



「アマゾンでのよりよい仕事をともに求める労働組合」と書かれた横断幕を掲げて行進する統一サービス労組の組合員=4月24日、ベルリン(伊藤寿庸撮影)

過酷な現場報道
ジャーナリストはアマゾンの労働現場を果敢に調査し、報じています。英紙ミラー(電子版)の記者は英サセックスの物流センターに労働者として潜入しました。動作を常時カメラで監視され、1時間に300個の商品を処理する目標を課されました。疲労でめまいがするほど懸命に働いても、上司に成績を注意されたといいます。労働者たちは口々に不満を述べました。
「なぜ仕事が少なくて暇なときでも座っちゃいけないんだ。私たちは人間だ。奴隷でも動物でもない」
「ここはなぜ離職率が高いのかと聞かれたことがある。会社が人々を殺しているからだ。友人はみんな、私が死んでいると思っている。すっかり疲れ果てているんだ」
「最悪の経営者」調査を実施した意図を、ITUCのバロー書記長が明かしています。
「企業の権力は制御不能になっている。企業は(低コストの外国に)資本が逃避すると脅して政府を萎縮させている。政府は99%の人々よりも、1%の人々の強欲に大きな関心を払っている」
「私たちは心に決めた。最悪の経営者現象を暴く活動を始めようと。それは民主主義をむしばみ、労働者の権利を掘り崩し、奴隷制を支えているのだ」
世界を股に掛けて君臨する巨大企業アマゾン。その「非人間性」とのたたかいは、1%の富裕層の強欲に支配されたグローバル資本主義への異議申し立てでもあります。
(おわり)(金子豊弘、斎藤和紀、杉本恒如が担当しました。)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年8月18日付掲載


アマゾンの労働現場で、人間らしい労働条件を求めてストライキなどのたたかい。
ポーランドの最低限の仕事しかしない「順法闘争」というのも、よく考えたものですね。

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