Kobby loves 埼玉&レッズ

埼玉と浦和レッズを愛する管理者のブログです。

神が宿った日(貴乃花対武蔵丸)

2011-05-17 21:28:03 | 他スポーツ
過去の技量審査場所を振り返ることは、技量審査場所自体が不祥事に揺れた相撲界がやむを得ず開催した前代未聞の出来事なのでできません。そのため、夏場所の思い出をたどると、貴乃花最後の優勝になった2001年夏場所の武蔵丸との優勝決定戦を思い出します。

当時、千秋楽を前にして、貴乃花は星一つリードしていましたが、膝の半月板を損傷していて、本来ならば歩くのも辛いほど痛い状況でした。彼の相撲人生のためには休場した方が良かったと思いますが、父の先代貴ノ花が骨折していても強行出場していた姿を子供の頃に見ていて影響を受けていた貴乃花は千秋楽の土俵に上がります。

本割りの相撲は、貴乃花は一方的に押し出され、とても相撲を取るのは無理だとテレビで見ていた人は皆思ったでしょう。この結果、もつれ込んだ優勝決定戦の相手は武蔵丸で、たぶんふた突きくらいで土俵下だろうなと、私も予想していました。武蔵丸の方が、相手の負傷を悪化させたくないと変に気を使って、立ち合いから組みに来るかもしれないという可能性も考えてはいましたが。

優勝決定戦の実際の土俵は、後者でした。貴乃花が勝つとしたらこれしかない四つ相撲です。しかし、負傷したひざのどこにそんな力があったのか、立ち合いで武蔵丸を押し込んで、十分の上手まわしを引きます。長い相撲になったら貴乃花の不利は明らかなので、貴乃花はこの上手を命綱と信じて、素早く投げを打ちます。

これが決まって、貴乃花は22回目の優勝を手にしますが、一番印象に残っているのは武蔵丸を投げ捨てた直後の貴乃花の「鬼の形相」です。普段は優しい人と言われている貴乃花が、あんな表情をしたのは一度も見たことがありません。ひょっとしたら、奇跡を起こすために神が降臨したのかと思うような表情でした。

もっとも、この奇跡の代償は大きく、痛めていた半月板が破裂してひざの関節のいろいろな部分に入り込んで、それを一つ一つ取り除かない限り痛みがなくなることはないという、大重傷になってしまいました。1年近い場所を休場して治療に専念した貴乃花ですが、ついにこの負傷から復活することはなく、優勝はできぬまま引退ということになりました。

当時の小泉首相の「痛みに耐えてよく頑張った。感動した。」という総理大臣杯を渡すときのコメントで有名なこのシーンですが、夏場所だったのはネットで調べてようやくわかりました。東京場所でなければ小泉さんが来られないので、たぶん間違いないだろうとは思っていましたが、確証を得たので書きます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする