7月23日(木)に行われた定例に東京都教育委員会で、中高一貫校の中学校と特別支援学校で、来年度から4年間使用する教科書が選ばれた。予想された通り、今回もまた(前回に続き)、社会科の歴史と公民両分野ですべての学校で育鵬社が採択された。くわしい採択結果は、都教委HPの「平成28年度使用都立中学校及び都立中等教育学校(前期課程)用教科書並びに都立特別支援学校(小学部・中学部)用教科書の採択結果について」に掲載されている。
毎回のことだが、今のところ何の理由説明もない。実に不思議なのだが、例えば中高一貫校の国語と地理を見てみたい。国語は全10校のうち、光村図書が7校(白鴎、小石川、両国、桜修館、立川国際、大泉、南多摩)、学校図書が2校(武蔵、三鷹)、東京書籍が1校(富士)と3社の教科書に分かれている。社会科でも地理分野は、東京書籍(7校)、日本文教出版(2校)、帝国書院(1校)と3社に分かれている。中高一貫といえども、各校で重視する所は少しずつ違うので、教科書が違ってもいいだろう。だけど、歴史と公民に限って、すべての学校で育鵬社なのである。右派系だったら自由社もあるというのに、「なんで自由社ではないのか」さえ判らない。今は細かく分析しないが、「平成28~31年度使用教科書調査研究資料(中学校)について」という資料を見ても、何にも判らないのも例年と同じ。
もっともこの結果は、大方の人が事前に予測していたことである。決めたのは、教育委員の6人である。新たに今年の4月から、教育長になった中井敬三氏(それまでは東京都の財務局長)の他、木村孟(きむらつとむ、元東工大学長、前独立行政法人大学評価・学位授与機構機構長)、竹花豊(元東京都副知事、元警察庁生活安全局長)、乙武洋匡、山口香(筑波大准教授、女子柔道指導者)、遠藤勝裕 (日本学生支援機構理事長、元日銀神戸支店長)の計6人が現在の委員である。木村、竹花両氏が石原知事時代、乙武、山口両氏が猪瀬知事時代、中井、遠藤両氏が舛添知事時代の任命である。だから、もう「石原元知事の意向」などではありえないだろうが、この間に作り上げられてきた強権的教育行政には目だった変化が起こっていない。やはり石原時代以来の路線を支持する多数派が形成されていると考えられるのである。
今回は投票が割れた。前回も一人他社だったが、今回は二人である。歴史では、全校で4人が育鵬社、2人が東京書籍。公民では、全校で4人が育鵬社、6校で教育出版、4校で東京書籍。以上の投票結果を見ると、4人が多数派(育鵬社支持)で、2人の反対派が存在する。無記名投票なので、誰がどの社を推したかは不明である。ただ、7月24日の乙武氏のツイッターには「全会一致だったわけではなく、育鵬社に票を入れなかった教育委員が6名中2名いたことも、きちんと報道してほしい。 /都教委 育鵬社の教科書を採択 - NHK 首都圏 NEWS WEB 」というNHKニュースの報道にかんする「つぶやき」が投稿されている。ニュースが採択結果だけを報じるのは当然ではないかと思うけど、自分が育鵬社だったら、こういうことは言わないだろう。常識的に考えると、乙武氏は他社を推したのだろう。
今回注目されるのは、採択理由を公表すると教育長が発言していることである。23日付の東京新聞では、以下のように報じている。「委員会後に取材に応じた中井敬三教育長は「採択理由は各委員から聞き取りをして、一カ月後に都教委のホームページに載せる」と話した。」これは期待できるのだろうか。いつものように、法令に基づいて適切に採択したなどというだけではないかとも思う。普通、採択理由といえば、なぜその社の教科書がふさわしいかの中身がなければ無意味である。ぜひ、理由ある説明を聞きたいと思う。また、竹花委員は今年9月、木村委員は来年10月で任期を迎える。それぞれ、2期、3期と長期間委員だったので、時期が来れば勇退すると思われる。その後の新委員が誰になるか、非常に重大ではないだろうか。場合によっては、多数派が交代する可能性もありうるのだから。なお、今回の都教委を傍聴していた小松久子都議(生活者ネットワーク、杉並区)のブログもぜひ参照を。また根津公子さんの都議会傍聴記も参考になるので、ぜひ。
毎回のことだが、今のところ何の理由説明もない。実に不思議なのだが、例えば中高一貫校の国語と地理を見てみたい。国語は全10校のうち、光村図書が7校(白鴎、小石川、両国、桜修館、立川国際、大泉、南多摩)、学校図書が2校(武蔵、三鷹)、東京書籍が1校(富士)と3社の教科書に分かれている。社会科でも地理分野は、東京書籍(7校)、日本文教出版(2校)、帝国書院(1校)と3社に分かれている。中高一貫といえども、各校で重視する所は少しずつ違うので、教科書が違ってもいいだろう。だけど、歴史と公民に限って、すべての学校で育鵬社なのである。右派系だったら自由社もあるというのに、「なんで自由社ではないのか」さえ判らない。今は細かく分析しないが、「平成28~31年度使用教科書調査研究資料(中学校)について」という資料を見ても、何にも判らないのも例年と同じ。
もっともこの結果は、大方の人が事前に予測していたことである。決めたのは、教育委員の6人である。新たに今年の4月から、教育長になった中井敬三氏(それまでは東京都の財務局長)の他、木村孟(きむらつとむ、元東工大学長、前独立行政法人大学評価・学位授与機構機構長)、竹花豊(元東京都副知事、元警察庁生活安全局長)、乙武洋匡、山口香(筑波大准教授、女子柔道指導者)、遠藤勝裕 (日本学生支援機構理事長、元日銀神戸支店長)の計6人が現在の委員である。木村、竹花両氏が石原知事時代、乙武、山口両氏が猪瀬知事時代、中井、遠藤両氏が舛添知事時代の任命である。だから、もう「石原元知事の意向」などではありえないだろうが、この間に作り上げられてきた強権的教育行政には目だった変化が起こっていない。やはり石原時代以来の路線を支持する多数派が形成されていると考えられるのである。
今回は投票が割れた。前回も一人他社だったが、今回は二人である。歴史では、全校で4人が育鵬社、2人が東京書籍。公民では、全校で4人が育鵬社、6校で教育出版、4校で東京書籍。以上の投票結果を見ると、4人が多数派(育鵬社支持)で、2人の反対派が存在する。無記名投票なので、誰がどの社を推したかは不明である。ただ、7月24日の乙武氏のツイッターには「全会一致だったわけではなく、育鵬社に票を入れなかった教育委員が6名中2名いたことも、きちんと報道してほしい。 /都教委 育鵬社の教科書を採択 - NHK 首都圏 NEWS WEB 」というNHKニュースの報道にかんする「つぶやき」が投稿されている。ニュースが採択結果だけを報じるのは当然ではないかと思うけど、自分が育鵬社だったら、こういうことは言わないだろう。常識的に考えると、乙武氏は他社を推したのだろう。
今回注目されるのは、採択理由を公表すると教育長が発言していることである。23日付の東京新聞では、以下のように報じている。「委員会後に取材に応じた中井敬三教育長は「採択理由は各委員から聞き取りをして、一カ月後に都教委のホームページに載せる」と話した。」これは期待できるのだろうか。いつものように、法令に基づいて適切に採択したなどというだけではないかとも思う。普通、採択理由といえば、なぜその社の教科書がふさわしいかの中身がなければ無意味である。ぜひ、理由ある説明を聞きたいと思う。また、竹花委員は今年9月、木村委員は来年10月で任期を迎える。それぞれ、2期、3期と長期間委員だったので、時期が来れば勇退すると思われる。その後の新委員が誰になるか、非常に重大ではないだろうか。場合によっては、多数派が交代する可能性もありうるのだから。なお、今回の都教委を傍聴していた小松久子都議(生活者ネットワーク、杉並区)のブログもぜひ参照を。また根津公子さんの都議会傍聴記も参考になるので、ぜひ。