何本かの新作映画について簡単に。まずはソフィア・コッポラ監督の「The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ」。あまり宣伝もないまま公開され、それほど評判にもなっていないが、まあ仕方ないと思う。でも、これは2017年のカンヌ映画祭監督賞受賞作である。そして、それ以上に1971年のドン・シーゲル監督「白い肌の異常な夜」と同じ原作のリメイクなのである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/1b/bf/4c55bee5859b83287e687345f408bced_s.jpg)
「白い肌の異常な夜」なんて、もう覚えている人も少ないだろう。あれはドン・シーゲルや主演のクリント・イーストウッドが単なるアクション映画の作り手じゃないことを証明した作品だった。南北戦争中の南部ヴァージニア州。北軍を脱走した負傷兵が森で倒れている。それを見つけた少女が、森の奥にある寄宿制の女子学校に連れて行く。そこには戦火を逃れて学んでいた女性教師と女生徒が住んでいた。敵兵ながら人道的な配慮で傷が治るまでは看病することにするが…。
この北軍兵はコリン・ファレルで、初めはむさ苦しいが傷が治ってきてヒゲも剃れば、なかなかいい男。学園の園長はニコール・キッドマン、教員はキルスティン・ダンスト、年長の生徒はエル・ファニング。異常な環境で、異常な出会い方をした一人の男と多くの女性たち。こりゃあ、何かが起こるに違いない。ということで実際に起きるわけだが、もう副題が「欲望のめざめ」なんだから、何が起きるか大体判り切っている。
戦争という異常な時代に「閉じ込められた女性たち」の憂愁。思えばソフィア・コッポラはいつもそういう女性たちの孤独を描いてきた。「ロスト・イン・トランスレーション」でも、「マリー・アントワネット」でも「SOMEWHERE」でも。でも何か独りよがりな、少女趣味のような世界を脱しきれなかったように思う。偉大な父を持った、森茉莉のような世界。今度の映画も同じような感じはするけど、美しい映像で磨き上げられた怪しい魅力を持っているのも事実だ。
ドン・シーゲルの「白い肌の異常な夜」は、これはまたすごい邦題を付けたものだが、クリント・イーストウッドを中心に作られていたと思う。「ビガイルド」は、より女性たちの葛藤を描き出している。トーマス・カリナンという作家の原作をもとにしているが、原作とは少し違っているらしい。サザン・ゴシック(アメリカ南部を舞台にした異様な設定のゴシックロマン)として、なかなか楽しめたが、カンヌで監督賞というのは過大評価じゃないか。まだ見てないけど、「女は二度決断する」のファティ・アキンや「ラブレス」のアンドレイ・ズビャギンツェフなどもいたんだから。
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「白い肌の異常な夜」なんて、もう覚えている人も少ないだろう。あれはドン・シーゲルや主演のクリント・イーストウッドが単なるアクション映画の作り手じゃないことを証明した作品だった。南北戦争中の南部ヴァージニア州。北軍を脱走した負傷兵が森で倒れている。それを見つけた少女が、森の奥にある寄宿制の女子学校に連れて行く。そこには戦火を逃れて学んでいた女性教師と女生徒が住んでいた。敵兵ながら人道的な配慮で傷が治るまでは看病することにするが…。
この北軍兵はコリン・ファレルで、初めはむさ苦しいが傷が治ってきてヒゲも剃れば、なかなかいい男。学園の園長はニコール・キッドマン、教員はキルスティン・ダンスト、年長の生徒はエル・ファニング。異常な環境で、異常な出会い方をした一人の男と多くの女性たち。こりゃあ、何かが起こるに違いない。ということで実際に起きるわけだが、もう副題が「欲望のめざめ」なんだから、何が起きるか大体判り切っている。
戦争という異常な時代に「閉じ込められた女性たち」の憂愁。思えばソフィア・コッポラはいつもそういう女性たちの孤独を描いてきた。「ロスト・イン・トランスレーション」でも、「マリー・アントワネット」でも「SOMEWHERE」でも。でも何か独りよがりな、少女趣味のような世界を脱しきれなかったように思う。偉大な父を持った、森茉莉のような世界。今度の映画も同じような感じはするけど、美しい映像で磨き上げられた怪しい魅力を持っているのも事実だ。
ドン・シーゲルの「白い肌の異常な夜」は、これはまたすごい邦題を付けたものだが、クリント・イーストウッドを中心に作られていたと思う。「ビガイルド」は、より女性たちの葛藤を描き出している。トーマス・カリナンという作家の原作をもとにしているが、原作とは少し違っているらしい。サザン・ゴシック(アメリカ南部を舞台にした異様な設定のゴシックロマン)として、なかなか楽しめたが、カンヌで監督賞というのは過大評価じゃないか。まだ見てないけど、「女は二度決断する」のファティ・アキンや「ラブレス」のアンドレイ・ズビャギンツェフなどもいたんだから。