尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

『文枝と小朝の二人会』を聴くー文枝傘寿の老人噺

2024年06月11日 23時02分25秒 | 落語(講談・浪曲)
 上方落語の6代目桂文枝(1943~)は、昨年傘寿を迎えた。「傘寿」(さんじゅ)というのは、もちろん80歳のことだ。ええっ、もうそんなになるのか。この人は2012年に亡き師匠の文枝を襲名するまで、長い間(45年間)桂三枝として活躍していた。若い頃には東京のラジオで深夜放送をしていて、僕はそれを聞いていたのである。ということで、東京でも何回か記念公演があったけれど、去年は忙しかったので行けなかった。今回東京で春風亭小朝と二人会をやるというので、思わずチケットを買ってしまった。

 そうしたら、何だ上野の鈴本演芸場で10日間トリをとるというじゃないか。落語協会100年でいろんな企画がある中の一つである。それなら、夜じゃなくてそっちの方が良かったかな。今回は10日間鈴本でやったあと、連日夜にも公演をやるんだという。凄い80歳である。実は大昔(20~30年前)の三枝時代にも鈴本でトリを取ったことがあり、それを聴きに行った思い出がある。上方落語でも有名な師匠になると、東京でも結構聴ける機会はある。しかし、まあフラッと寄席に行ったら出てたということはないから、わざわざチケットを取る必要がある。だから文枝(三枝)も前に聞いたのはその一回切り。今回が二度目になる。
(桂文枝)
 高齢になると、「病人あるある」がマクラになる。今回も「病院はネタの宝庫」と言って始まったが、待合室はともかく診察室の会話は聞こえないだろうから、作った噺なんだろう。昔は威張っていた夫も高齢になると妻に引きずられて病院に連れて行かれる。まあ身につまされるテーマである。それに続いて88歳の米寿を迎えた男の噺になった。還暦の長男が一家を集めて今やホテルでパーティが開かれる。しかし、今や孫・ひ孫どころか子どもの名前もおぼろになっている。そしてパーティ直前にトイレに行くと行ったまま男性トイレにいない…。そこから爆笑、微苦笑の『誕生日』というネタ。文枝の老人落語道は注目。
(春風亭小朝)
 前座は鈴々舎美馬(れいれいしゃ・みーま)という二つ目昇進直後の女性落語家。「マッチングアプリ」という新作で笑わせる。次が文枝で休憩。後半は僕のごひいきの「のだゆき」さんの音楽パフォーマンス。初めての人も多いようで、受けていた。そして最後に春風亭小朝。ホントは文枝師匠がトリなんだけど、80歳を超えると夜8時以降仕事してはいけない決まりがあるなどとまず笑わせた。歌舞伎の話題などから入って、ネタは「中村仲蔵」。講談でもよくやられる江戸時代の歌舞伎役者中村仲蔵の人情噺。長い噺なので、ホール落語じゃないとなかなか聴けない。小朝はこういうサゲなのか。まあ安定した実力で安心して聴けるけど、席の関係で聞こえが悪かった。鈴本にも行こうかな。(中央会館=銀座ブロッサム)
*(鈴本演芸場で桂三枝がトリを取ったのは18年前だった。6.12追記)

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