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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

原点なのかも

2014-04-19 16:20:33 | 好きな本

3部作の最後の巻を読み終えて、さて次はどれにしようと
思っていた時に、絵本の棚にあって、ずっと視界には入っていたこの本を
ものすごーく久しぶりに開いてみました。



村上春樹 文、安西水丸 絵

今発売されているのは、文庫版のこの表紙のものですが、


私が持っている上の写真のは、雑誌での連載が終わったあとに光文社から
でた本で、大きさがわかりにくいですが、文庫本よりずっと大きくて‥
A4のコピー用紙よりひとまわり小さいくらいです。(こう説明すると
さらにわかりにくいかも・苦笑)
昭和61年11月30日 初版第1刷 と書いてありました。

文庫版の方は中を見たことがないので知りませんが、大きい方は
見開きの右ページ真ん中にタイトルがあって、右下には水丸さんのイラスト。
左ページに縦書き2段で春樹さんのエッセイ。そして、次に見開きページには
大きな水丸さんのイラスト‥エッセイの内容に関連した絵になっている‥
という形式です。

もう長い間開いてなかったので忘れていましたが、ものすごくふんだんに
水丸さんの絵があって、エッセイ+挿し絵、というより、水丸さんの絵に
春樹氏が文をつけた?というような感さえあり、たっぷりと、ゆっくりと
水丸さんのセカイを楽しむことができる内容です。

あとがきによりますと、1984年に雑誌CLASSYが創刊され、それと
同時にはじまった連載で、2年間続いたとのことです。
2代目ウォークマンの話あり、シェイプパンツという言葉あり、
ああ懐かしの80年代、懐かしの大学時代、、、です。

春樹氏のエッセイも、元々エッセイの時は文体がものすごーく軽いですが
それプラス若いということもあり(この時まだ30代半ばくらい)、
ついこの間まで、お店でオンザロックを作っていたんだけど、少し前から
小説家になっちゃったので…という感じがとてもリアルに伝わってきます。

当時の私、ここに書かれていた文を読み、水丸さんの絵の中にある
かわいい外国の雑貨やおもちゃや文具なんかを見て、きっと憧れていたん
でしょうね。次のステップ踏み出したら、きっとそういうものが見えて
くるみたいな。

小確幸 のことも、しばらく忘れていたけれど、文字を見たらすぐに
思い出しました。春樹ファンにはおなじみだと思うし、ファンサイトみたいな
ものには、最初にこの言葉が出たのは、この本だとも書いてあったし。

小確幸  人生における小さくはあるが確固とした幸せのひとつ

そんなふうに定義されているのですが、では何が当時の春樹氏の小確幸と
書かれているかといえば、引き出しの中にきちんと折ってくるくる丸められた
奇麗なパンツが沢山詰まっていること なんですって。
(春樹ファンは、いえ、私は、ムラカミハルキのこういうところが好きなんです。)

そして、20代前半から半ばくらいだった私は、今思えばですけど、
水丸さんの絵のようで、小確幸を理解できる人と共に暮らしたいと望み、
その望みは叶えられたみたいです・笑。

 
もし、この本に興味を持ち、読んでみようかなと思われた方は、
図書館にはあるかもしれないので、ぜひ大きい方を探してみてください。
水丸さんの絵が、ほんとうに、すごくよいのです。
そして、春樹氏の、軽妙な日常エッセイだけじゃなく、くっきりと印象を残す
短編小説にも繋がっていく(かもしれない)ような文章を読むこともできますので。
「 葡萄」とか本全体のタイトルにもなった「ランゲルハンス島の午後」とかは、
特に好きな作品です。

 

コメント (2)
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