昨年の秋ごろだったか、冬に入っていた頃かー。
朝、ラジオを聴いていたら、この本を書いた方がゲストで登場し、
別所さんとお話していました。
その時は、人工知能(AI)のことを、わかりやすく解説している本だと
思いこみ、題名だけで図書館に予約をしたのですが、手元に来て、
ちゃんと題名を見てみると‥私が思っていたのとちょっと違ってました。
人工知能とはどんなものなのかを、教えてくれる本ではなく、
人工知能から考える「人と言葉」、なっています。
そうなんですよ、この本は、言葉についての本だったのです。
視点が面白いというか、コンセプト勝ちというか‥
題名通り、働きたくないと思ったイタチが、なんでもできるロボットさえ
作れば、なんでもロボットにやらせて楽ができるにちがいない
→そのためには、(指示出しのための)言葉がわかるロボットを作る
必要がある、と考えたところから、すべてが始まるのです。
普段、論理的な本を読み慣れていないので、心配しましたが、
表紙の絵からもわかる通り、主人公は「働きたくないイタチ」で、
彼らはすこしでも楽をするために、耳を持つロボットを開発したという
噂のモグラ村に行ったり、おしゃべりロボットを作ったという
カメレオン村に行ったり、という具合に「おはなし」形式で進んで
いくのでとても読みやすい構成になっています。
そして章ごとに、詳しい解説が添えられているので、イタチたちが
何を期待し、それを叶えるために何が足りなかったのか、をきちんと
知ることができるようになっています。
ロボットとかコンピューターとか、AIとか。
私もイタチとさほど変わらぬレベルで、指示さえ与えれば、すいすいと
処理してくれるものだと思っていました。
いやいやいやいや‥ものごとはそう簡単にはできていないのですね。
まして、言葉となると、ざっと目次をみただけでも、そうか、そうだったのか、
と思い知りました。
1 言葉が聞き取れること
2 おしゃべりができること
3 質問に正しく答えること
4 言葉と外の世界を関係づけられること
5 文と文との論理的な関係が分かること(1)
6 文と文との論理的な関係が分かること(2)
7 単語の意味についての知識を持っていること
8 話し手の意図を推測すること
9 その後のイタチたち
作者の川添愛さん、序章でこう書いています。
「言葉が分かるとはどういうことか」の一部を知るだけでも、
「人と機械の知性」について考えたり、また「言葉の使い方」や
「理解の仕方」を振り返ったりする手がかりになると信じています。
ゴム版画のイラストに助けられながら、普段使っていない脳の一部が
すこしだけ活性化されたような、この本を読んだどなたかと、語り合いたい
ような高揚感に似たものを、感じています。