my favorite things

絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

13歳とおかあさん

2009-08-07 16:18:38 | 好きな本
不覚にも、この本読んで、泣いてしまいました。

卵と小麦粉それからマドレーヌ
      石井睦美 作  長新太 挿絵


BL出版の「児童文学新シリーズ」と銘打ってあるので、
小学校高学年ぐらいを対象にしたものなのでしょうか。
大人だったら1時間もあれば、読み終わってしまうくらい、です。

読み始めるまで知らなかったのですが、主人公の設定が似ているのです、うちのrと。

中学1年生・女子・夏生まれ(夏休みに13歳になる)・ひとりっこ・
おかあさんと仲良し‥
違っているのは、中学受験をして女子中へ通っていることと、
おかあさんの年が私より若いこと(笑)です。


菜穂と、中学校で知り合った亜矢との関係も、こんなこと中1女子は思っているのかなあと
興味深く読みましたが、私の泣きどころは、おかあさんが家族みんなの前で
「赤い靴」の話をするくだりでした。
その場面は、おかあさんの「爆弾発言」は単なるわがままに過ぎないと、
おかあさんのおかあさん(菜穂のおばあちゃん)が、怒って登場するところです。

菜穂のおかあさんは、「象徴としての赤い靴」の話の最後をこうまとめます。

わたしは一度にふたつの風船をつかめるタイプの人間
じゃないと思ってた。どっちかを選ばなくちゃならない
と思って過ごしてきたけれど、菜穂が、小学校1年生のときに
「ママは大きくなったらなにになるの?」と訊ねてきたことで
あたしにも両手があるってことに気づいたの。
ひとつづつ持てば
いいんじゃないかってね。


主人公菜穂と、rの共通点もうひとつありました。
小学校1年生のときに、私も、rから訊かれました。
「大きくなったら、ママは何になりたい?」って。

自分と同じように思っているだけだって、わかっていても、面とむかって
そう訊かれて、返事に困ったことをはっきりと覚えています。


本の中の、菜穂のおかあさんは、それから自分の好きなものへむかって
まっすぐに進んでいきました。
私はー私はどうなんでしょう?
寄り道だと思っていた道に入り込んで、その居心地の良さに満足し、
元々歩いていた道を見失ってしまったのかもしれないし、
寄り道だと思っていた道こそが、やっと見つけた私の道なのかもしれませんよね。

寄り道…先日、琴子さんのブログで読んで、いい言葉だなあと思っているのです。






コメント (5)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« トマト・カフェ@ことり文庫 | トップ | クルミトリのフェルトあそび... »
最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
jasuminさんへ (ruca)
2009-08-11 22:05:17
こんばんは。
あっという間に読めてしまいますよね。
そんな家ってある?とちょっとつっこみいれたくなる箇所も
ないわけではないですが(笑)、それを差し引いても
なかなかおもしろかったなあと思っています。

私もね、菜穂のママのように、大きくなったらなんになりたい?を
真剣に受け止めて、もやもやしましたー
今もまだ、うっすら靄がかかっているかな。

ひとりの時間に慣れてきたころに、こどもは戻って
くるんですよね・笑
返信する
早速・・・! (jasumin)
2009-08-11 12:35:30
暇な昨夜、読んでしまいました。
とっても爽やかなお話でした。
rucaさんとrちゃんに似ているという感じ、こんなところかな・・?
と思うところがあり、それも含めて楽しませて頂きました。
中学生になりたての頃を思い出しても、私は母にべったり
ではなかったし、家で焼き菓子の匂いはしなかったし(笑)
今、中学生のいる家だけれども、やはり「おかえり」を
返してあげられる家庭にはなり損ねています。ちょっと憧れちゃう!
菜穂の家庭は、パパも含めてすごく爽やかだから。

ふたつの手や赤い靴の件は、昔何かを追っていた母親たちにとっては
見に覚えのある・・・というか、お尻がもぞもぞする感覚もありました。
楽しかったです。
返信する
Unknown (jasumin)
2009-08-10 14:14:17
なんだか、お洒落なレシピ本みたいですね。

ちょうど、昨日からひとりになって(子供たちが2泊のお泊りに行って)
「ひとりだから○○ができる!」と思うことがないわけじゃないのに
ポーンとどこかに飛んで行ってしまい、ひたすらに自分のことを
なさけないなーと思っているところです。
私に将来やりたいことなんてあるはずないって、子供たちに思われそうですよ(苦笑)

近くの図書館にありました。私も読んでみます。
返信する
琴子さんへ (ruca)
2009-08-09 22:22:51
こんばんは。

「より道」のところはなんかとても心に残りました。
いせさんのお話、聴きたかったです。
迷いながらでも、ひとり旅とかしなくちゃ、という
気持に、読んでるだけで、なりました。

この物語の設定とか、内容は全然うちには
似てないんです。
ただ、主人公の年齢と、一人っ子というところと
小1のときに同じ質問をしたというだけかな。

今は、続編の「群青の空に~」を読んでます。
返信する
Unknown (琴子)
2009-08-08 21:39:31
最後にどっきりでした・笑

このお話の設定が、そんなにrucaさんちに似ているなんて
読んでみなくては。
このおいしそうな題名と表紙に惹かれまくっていましたが、
ますます興味深いです。
これ、シリーズなんでしょうか。
『群青の空に茗荷の匂い』も、タイトルといい、装丁といい、印象的ですね。
積ん読メモメモ、追加です~・笑
返信する

コメントを投稿

好きな本」カテゴリの最新記事