図書館で、目についた棚から、まとめて何冊か本を借りました。
偶然目にして、偶然手にとって、読む順番も、そんなに考えたわけでもないのに、
続けて読んだこの2冊は、気持ちの中で繋がってきているのです。
ルチアさん
高楼方子 文 出久根育 絵
人魚の島で
シンシア・ライラント文 竹下文子訳 ささめやゆき絵
2つの本を結んだキーワードは、「不思議」でしょうか‥
『ルチアさん』の不思議は、水色の玉。
表紙に描かれている女の子たち(姉妹です)が住む、たそがれ屋敷に
ある日、ルチアさん、という名前のお手伝いさんがやってきます。
スゥとルゥルゥの姉妹は、目をまるくして挨拶をするルチアさんを見つめます。
だって、ルチアさんは、水色のコートを脱いだあとでも、まだ全体に
水色っぽく、ぴかぴか光って見えるのです。
それは、二人が宝物にしている、水色の玉(宝石と二人は呼んでいます)に
そっくりです。
水色の宝石は、遠い異国にいるお父様からのおみやげでした。
「金と銀の粉が踊っているみたい」
「海の夕陽だって溶けてるみたい」 と二人は、飽きずにそれを眺めます。
水色の玉のように、なぜ、ルチアさんは光っているのでしょう。
そもそも、ほんとに光っているのでしょうか。
不思議の糸は、ルチアさんの娘(ボビー)をも巻き込み、時間を超えて
最後は、大人になったスゥのところで静かな終わりを迎えます。
母の心を満たしていたものは、「どこか遠くのきらきらしたところ」
だったにちがいありません。そのような場所が、からだの中に
溶け込んでいたからこそ、つねに、静かな喜びとともにいられたのだ、
そう思うのです。
ルチアさんの娘のボビーは、スゥ宛の手紙で、母のことをそう語っています。
『人魚の島で』の不思議は、鍵。 人魚からもらった鍵です。
主人公の男の子、ダニエルは、小さな島でおじいさんと二人で暮らしています。
題名や、冒頭から人魚が登場することで、おとぎ話のような感じを受けますが、
この物語は、内気で孤独な子供だったダニエルの、成長ものがたりです。
ぼくが人魚に会ったのは子どものときだ。
もちろん、だれも信じてくれなかったけれど、それはどうでもよかった。
ぼくはひとりでいることの多い孤独な子だったから、(中略)
人魚は、きっと、ぼくになら姿を見せても安心だと知っていたのだ。
ぼくには祖父しかいなかったし、その祖父は、ぼくに読み書きだけは
教えてくれたものの、あとはひとりで勉強しろといって、ハンノキ材の
彫刻で生計をたてていた。人魚は、それも知っていたにちがいない。
冒頭の部分を読むと、ダニエルが人魚に出会ったのは、偶然でもなんでもなく、
ダニエルもそれをむしろ「必然だった」と捉えているようにも思えます。
それほど、ダニエルの孤独は深かったのでしょう。
人魚からもらった鍵は、少年期のダニエルの「お守り」になりました。
ダニエルの孤独を思うとき、私は、何度も読んだ春樹作品の、それぞれの主人公が
抱える孤独を、思い出していました。(もちろん、全然違うよと、お思いになる方も
いらっしゃるでしょうが)
ルチアさんに戻れば、ルチアさんが見ていた「ここではない、どこか」
二人の姉妹の父が夢見た「ここではない、どこか」も、今まで読んできた幾冊かの
本を思い出させてくれました。(こちらは誰の、なんという本とは言えないのですが)
不思議な話、不思議な気持ち、不思議な現象、不思議な出来事‥
いちばん不思議なのは、どこに繋がっていくかわからない、人の心の中です、きっと。
お話も絵も、作られた方の組み合わせがなんて素敵でしょう!!
結構前ですが、ささめやゆきさんは、私、rucaさんのお話で好きになりましたよ。
漢字の高楼さんのお話も、読んでみたいですもん。
世の中から<不思議>がなくなったら
きっと、ものすごくツマンナイですね。
気温は低いですが、それでも、たっぷりの陽射しと
青い空が気持ちいい日です。
そちらも、同じような陽気かなと想像しています。
この2冊。とっても魅力的な方々がお作りになっている
こと、わかってもらえてうれしいです。
どちらもすぐに読み終わってしまったので、
別々のレビューにしようかなとも思ったのですが、
なんか、この2冊を続けて読んだことから、「不思議」は
始まっていた気がするんです。
どっちの本も、jasuminさんと、お花ちゃん、きっと
好きになると思います。
12歳の女の子にも、ぜひ読んでもらいたいなあ。
(娘にも薦めているのですが、読むかな‥です)
そうそう、また、青山ブックセンターで、荒井良二さんの
トーク&サイン会がありますね。12月13日です。
新作「えほんのこどもたち」の原画展も‥
詳細は、青山ブックセンターのHPの、イベントのところに載ってます。
もし、ご存知じゃなかったら、と思い、念のための
お知らせでした。
ルチアという名前の意味が、"光”なのだそうですね。
北欧で祝われているセントルチア祭にも、何かつながりが
あるのかしら・・・と、いろいろ読む中でつながってきて、
不思議な雰囲気と青い光が広がっています。
細かい筋は、例によってまたすっかり忘れているのですけどね。
「人魚の島で」も何か不思議な感じが漂うのですね。
また読む楽しみが増えました♪
どこにつながるかわからない人の心・・・本当に
しみじみそうですね。
10年前には今の自分は想像できませんでした。
昨日から、冷え込んできましたね~
「ルチアさん」は、きっと琴子さんは読んでいるだろうなあと
思っていました。
ルチア=光 なのですね‥
素敵な響きの言葉ですよね。
セントルチア祭との繋がり、なにかありそうな感じですね、また何かわかったら教えてください♪
「人魚の島で」は、主人公ダニエルの孤独がひしひしと
伝わってきて‥児童書の棚に置いておくのは惜しいと
思ってしまいました。
本や、音楽との出会いは、とても偶然とは思えない
ところがありますよね~不思議、不思議です。
ようやくコメントをする余裕ができました(笑)
しばらく読めなかった記事を、ぼちぼち読ませていただきますね。
↑の2冊の本が並んでいると、表紙の色がどちらも
同じくすんだ水色なのでびっくりしました。
高楼方子さんの本、いいですね。
(この表紙の出久根育さんの絵がすてき!)
最近めっきり児童書を読む機会が減ってしまったのですが、
また読んでみたいなあと思います。
出会いや縁も不思議なものですね~
この年になって、最近つくづくそう思います。
お返事遅くなりました。
今まで、乾いた青空が続いていた関東地方ですが、
今日は予報通り、昼過ぎから冷たい雨が降り出しました。
明日は、久しぶりに雨の週明けかなあと(ほんとは今日は週明けですけどね)
思っています。
この2冊。
表紙の色も偶然似てますよね。たかどのさんの本は
題名にひかれて手にしましたが、表紙を見たら
すぐに借りよう!と思いました。
児童書とはいえ、まったく侮れません。
どちらの本でも、幾度も泣きそうな箇所にあって
しまいました。